ぬるぬるベタベタ


――――そんな音が聞こえて来そうな様子でカイカは座っていた。
顔からチョコ(しかもホワイト)を滴らせて。

「……………」
「…」

…冷静に観察してみた所、手に雑巾を持っている為、事故である事はわかる。
しかし。何故それがわざわざテッドの部屋であるのか、それに―――…


「〜〜〜〜まず顔から拭けーーーッ!!(怒)」
「!!!!!」


ゴシゴシゴシ!と力いっぱい顔を拭う中、テッドの怒声が船中に轟いた…。





Q.発案者に問う。何故カイカが部屋の中でチョコ塗れになっていたのか?
A.いちゃらぶぅーなバレンタインを過ごして欲しかったから、手作りチョコを作成させた。途中テンパリングしたチョコを被弾。その方が都合が良さそうだった為、そのまま作戦続行。

元保護者ズを呼び出した詰問の結果、とても単純かつ明確な答えが返された。

「―――ったく…!」

額に青筋を浮かべたテッドは、「何が『部屋で手作り大作戦☆いじらしさでラブラブUP』だ…失敗してたら意味がないだろうがッ!!(怒)」と、(多少混乱した事を)呟きながら、元保護者らを追い出したドアを閉める…。

「…」
「……………」

そして、カイカと視線が合う。

「…チョコ。」
「作り直すなよ?(怒)」
「…。」

…そこはかとなく、残念そうなと言うか、沈んだ気配が漂う。
それがわかってしまうテッドは、思わずうっ;と言葉に詰まる。…が、彼は彼なりの葛藤があって、受け取る訳にはいかない理由やら事情があるのだ。(今更だが)
事実上付き合っていたり、ヤっちゃっていたりしても、テッドなりの境界線とやらがあるのだ。

「……………」
「…」
「…………;」
「…」
「…〜〜〜;」
「…」

ここで負ける訳にはいかないと、頑として譲らないテッドだったが、何の計算もなく(無表情ながら)贈れなかったチョコを想って沈むカイカの姿に、ちくちくと罪悪感が募る…。

「…カイカ」
「?」

呼んで、カイカが顔を上げた所で、顔を両手で掴む。
そして先程までチョコでコーティングされていた頬を舐める。

「…甘いっ」
「…」

眉をしかめて言うテッドは、視線でこれで受け取った事にしろ!と告げる。
それを理解したのか(していないのか)、首を傾げてカイカは舐められた頬に手を当てている。

「あまい…」

訳してみると、そんなに甘いの?という感じだ。
しかし、自分で自分の頬を舐める訳にも行かず、視線は知らず知らずの内にテッドへと注がれ―――――


……………。








 




「作戦は?」
「クリアー!」
「それでは撤収ですね」
「無事にバレンタインになって良かった〜」

あっはっは☆と、気配を消してドアにへばり付いていた元騎士団員らは、作戦成功!とばかりに和やかに立ち去っていった…。
どこまでが彼らの計画の内かはわからないが…とりあえず、カイカの幸せが一番の最終目的である。

 

 

(何とかバレンタインに駆け足で間に合わせたSS… 
本当はエロスにしたかった事が、冒頭からバレバレ…>笑 
エロスな 声援(?)に答えてきたい所存であります! 
…でも、間に合わなかったら全く意味がないんですよね…orz >ダメじゃん!;)