オレの名前はテッド。
犬である。
飼い主はいない、所謂野良犬だ。人間からはそう呼ばれているものの、自由にさすらうこの生活は悪くはないと思っている。
………しかし、不自由を感じる瞬間というものはある。
今がその瞬間だ。

 

ハッハッハ…

うっかり乗り込んだ舟の上、水も飲めずに漂い漂い、辿り着いたのは見たこともない縄張りだった。
雨水やらなんやらで飢えと渇きを耐え忍んでいた身体は、何故だかグラグラ揺れていて、まともに食料確保に動くことも出来ない。

―――もうダメだ。

どこかの屋敷の庭に入りこんだ所で、体力が尽きる。
あちらこちらと行き交う気配がするものの、人間はたかが野良犬一匹に構うことなんてない。
せめてこのグラグラがなんとかなれば…と、目を閉じたその途端、

 

―――バシャン!!

 

どんな寒さにも耐え忍んだ自慢の毛皮に、思いっきり水がかけられた。
噛み付いてやろうかと唸りながら頭を起こすと、そこにはオレより寒そうな恰好をした小さい人間が立っていた。(きっとここは暑いからこんな恰好でも大丈夫なのだろう)

「おきた。」

オレが揺られてきた大きな水たまりの色をした目を少しだけ見開いて、そいつはパシパシとオレの頭を軽く叩いた。
続いて持っていた桶に残った残りの水をオレの鼻先にかける。
………これはオレに水を飲ませているつもりなのだろう、たまに小さい人間は悪気もなく大きい人間よりおかしなことをしてくる。
…しかし、確かに暑さはマシになったし、ここは礼をすべきだろう。
ウォン!と一声鳴いて礼を言うと、またそいつは目をパチパチさせた。他の人間と違って、まったく表情が変わらないヤツだ。
身体のグラグラも収まったので上体を起こすと、どこかから「カイカ!」と怒鳴り声が聞こえて、小さい人間が振り返った。
どうやらこの小さいのは『カイカ』というらしい。
そのカイカは声の方へと、空の桶を持ちテクテクと歩いて行った。

「まだ水汲みは終わらないのか!」
「…」

カイカを目にすると、呼び付けた大きい人間がそう怒鳴った。
オレは身体と地面に染み込んだ水を見つめる。
どうやらこの水はどこかへ運ぶものだったらしい。
………。
オレが考えている間にも、煩い大きい奴は、カイカを好きなだけ怒鳴りつけていて、無性にあの大きな身体に噛み付いてやりたくて仕方なかった。
オレの牙が唸る前に、煩いのは気がすんだのか、さっさとどこかへ行ってしまう。…次見つけた時には噛み付いてやる。
オレがそんな事を考えていると、カイカは空の桶を持って井戸まで歩いて行っていた。
井戸から汲み上げた水がたっぷり入った桶は、どうにも小さい人間には不釣り合いな大きさと重さだ。
………仕方ない。

―――グイッ

「、」

桶の底に頭を入れ、下からググッと持ち上げ、歩く。
これは、さっきの水の分の借りを返しているだけだからな。

「ありがとう。」

―――――まあ、水が集まるまでは手伝ってやるか。
一度だけ尻尾を揺らす。

 

 

 

更新のなさに出だしだけであっぷ。
友人と

「犬テド4ってエロスなシーンってご都合主義で人間化!?それとも…!」
「時と場合で合わせればいいよ。」

いやあ、さすがに獣●ショタはねぇ?
…大好物ですけど!!(←変態。)
ハッ!;無駄なあとがき?のせいで発禁になるっ!!;