『観用少年(プランツドール)』



街を歩いていた…
特に目的のない、ただのぶらぶら歩きだったはずだ…。
そう…そのはずだったのに――〜…
ふいにショーウィンドウを眺めていたら、妙な物が見えたのだ。
それは確かに人形のように整った、綺麗な姿をしていたのに…
ケースの中から、にっこりと嬉しそうに笑って俺に向かって手を振っていた…




今テッドの横には、どこか東洋の匂いがする衣装を着た少年がぺっとりとくっついていた。
とても機嫌の良さそうな「人形」とは裏腹に、くっつかれているテッドの表情はどこか不機嫌そうだ。
出されたお茶に口も付けず、テッドは店の主人に尋ねた。

「―――どういうことだよ?」
「どう、と申されますと?」
「〜〜〜コイツの事だよ!コイツの!」

ぶん!と勢いに任せて腕を振ると、観用少年と呼ばれる人形は、何かの遊びと勘違いしているのか、にこにこと嬉しそうにただ笑って振り回されている。
柔からそうな茶色の髪と、マリンブルーの瞳が、とても印象的な人形(プランツ)だ。

「どうして俺から離れないんだ!?」
「お客様は気に入られてしまったのですよ、」

主人は溜息を付きながら言う、ありありとその顔には「困った事に…」と書いてあった。

「気に入られたって…」
「このくらいの品になると、自分で人を選ぶのですよ。この子はお客様を選んだようで、」
「――――…」
「もうこうなってしまっては、お客様にお買い上げ頂くしかございません、」
「…ちなみに、幾らだよ?」
「通常でございますと―――…」

サラリ、と紙に筆で書かれた額を見ると――――…

「!!!!!」

思わず目玉が飛び出てしまった。ついでに、海にそのままダイブしようとも思ってしまう…。

「ですが、お客様の場合は―――…」

続いてかかれた値段は、先ほどからは考えられないような額で…

「―――?(汗)」

訝しげに主人を見つめるテッドに、主人も深い溜息をついた。

「目覚めてしまっては、メンテナンスをして調整し直すしかございませんし…何よりこの人形は貴方にどうしても買っていただきたがっているようですから。」
「…そうなのか?」
「…」

人形はにっこりとただ笑うだけだ。

「エサは一日3回ミルクを与えていただくだけで、手間もかかりませんし…ああ、でもこの子はどうしても一人で着替える事を覚えませんでしたから、それはお客様にやって頂かないといけませんが…」

この位の逸品になると、必ず覚えるはずなんですがね…と悩む主人だったが、テッドはそこよりも別 の部分が気にかかった…

「…じゃあ今までは誰が着替えさせてたんだ?」
「もちろんそれは、世話係である私が…」
「買う!(怒)」
「――――お買い上げありがとうございました、ですがお客様…人形に妙な事はしないで下さいよ?」

に〜っこりと笑って主人は伝票を筆でサラリと書いた…。

 


…という、妄想をしました。(爆)続きません。「観用少女」という作品のパロパロです。意外に嫉妬深いのがこのサイトのテッドさん…。(え?)