若葉マーク
幻水学園(仮) 、そこに通い始めたばっかりの少年の、少し前の話だ。
うららかな春の気候の中、一人の少年が新しい教室、新しいクラスメイトに囲まれた中…………放心していた。
「愛〜〜〜〜v恋ーーーーーv夢ぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜v」
しかも悦状態だ。
これには、長年の親友とはいえ、たじたじだ。
しかも、新たな顔ぶれの同級生達に至っては言うまでもない。
「ナナミ、一体どうしたんだい?カナタは…;」
朝からは何とか放置していたのだが、今はもう昼休みだ。さすがにもう放ってはおけないだろう。ジョウイは意を決して、もう一人の幼馴染みに声をかけた。
すると、その義姉は、嬉しそうな自慢げな表情になる。
「カナタね!今恋してるのよ!ラブよvラブ!!」
「ラブ〜〜〜〜〜〜〜〜…」
「………。」
なる程、確かに本人も言っている。
「昨日からね!クラス調べたり、下駄箱とかロッカーの位置とか調べたり、知り合ったり、お昼一緒に食べたり、朝からずーっと後をつけたり、家まで付いて行って黙って上がり込んだりするって張り切ってるのよ!ほら、今もv」
「萌〜〜〜〜〜…」
「今も!?;(アレの中には会話が含まれてるのか!?)」
ビクリと恐怖に身体を震わせるジョウイだ。
犯罪だろうそれは!?;
―――――ふいに、気づいた事が一つ、
「ナナミ…」
「なぁに〜?」
「……カナタ、もしかして、初恋かい?」
「そうよー♪他はお姉ちゃんも知らないものー!」
「なるほど…(汗)」
極端ではあるが、あれは確かに………
恋愛初心者。
顔にばっちり、若葉マークだ。
END