桜吹雪

 

 

幻水学園(仮)、その中で出会った新一年生カナタ少年と、高等部最高学年のカイルさん。その人が羨む程のラブラブカップル(一方的な上に、羨むかはどうかは不明。) になったと言うそのそもそもの由来、そう出会いについてようやく今回、語ってみたいと思う。

 

 

4月。

入学式、まだ咲き誇っている桜が、風に煽られてチラチラと散っている…。

こんな日には、限り無く入学式と言う行事が似合うのだろうが、元々やる気のない生徒や、新入生には、とことん逃避行動を起こさせてしまう時期である。

「むにゃむにゃvカナタ〜…お姉ちゃんの分もあげるからいっぱい食べてね〜vぐ〜〜…」

「ナナミ!さっきから先生睨んでるよっ!頼むから起きてくれっ…ああ;カナタも途中でトイレに行ったまま戻ってこないしっ…!」

とっくの昔に退屈な行事から逃げ出したカナタに、ジョウイは隣に座るナナミ(丁度男子と女子の境目の列だったらしい)を揺さぶりながら、心の中で文句を並べるのだった…。

そんなカナタはと言うと…

 

 

「あ〜…いい天気で昼寝日和〜…入学式なんてヤってらんないって〜…」

 

かなり眠そうな声で、ぽてぽてと校舎横の桜並木を歩いている少年は退屈そうな表情だ。それに、まだ成長期前なのか、年齢よりも幼い顔立ちと身長をしていた。…しかし、それとは裏腹に言っている事は黒いが。

「中学から高校になろうと、何が変わるってもんでもないし〜」

ぷく〜と頬を膨らませて、振り散る桜の花びらをうっとおしそうに手で払い除けながら、どこへともなく歩いてゆく。

そんな中に、不意に人影が目に入った。

「むっ…;」

さすがに、こんな時間(入学式の最中)にうろうろしている事は、見つかると怒られる危険性がある為に、少年も嫌な顔になる。

 

桜の花びらに一瞬視界を奪われた、その次の瞬間…

 

「!」

 

桜吹雪はハートの乱舞へと変わり、その桜の木の下にいる人物は――――…

 

「?」

ニンジンの入ったカゴを抱えたまま、振り返った…

 

 

 

 

「でvその後で、迷子を装い!ラブラブに手を繋いで講堂まで戻ったんだ〜♪」

「きゃーーーvラブラブよーー!ラブラブな馴れ初めなのね〜vカナタ!お姉ちゃん感動したわよ〜!!」

「カナタ…やっぱり君サボってたんじゃないか…。あの時、幾ら聞いても迷子になったんだって…(怒)」

大分馴染んだ新一年生の教室の中…騒がしい三人組(騒がしいのは内の二名だけ)がいつも通 り何か騒いでいた。

「でもお姉ちゃんサボリはともかく!カイルさんに嘘つくのはダメだと思うわ〜」

「しかし、なんでカイルさんはニンジンを…?;」

「なんか、生物部の方でうさぎの餌運んでる所だったみたい。んで、嘘の方は、ばれなきゃOK☆愛の為!!」

「で、実は聞いていたりってか?どうする?カイル」

「………カナタ(怒)」

「はっ!!;」

背後にあった窓から、身体を乗り出したテッドとカイルの姿に、カナタはピシリと固まった…。

そう、先日。一緒にお弁当〜!しかもカイルさんの手作り弁当〜!とねだったのだった…。故に、カイルの姿がここにあると言う事は…(作ったのだろう、手作り弁当を…)

「没収…(怒)」

「あーーーっ!!;そんなーっ!!嫌です〜〜〜〜っっ!!(号泣)」

 

 

まあ、何はともあれ、平和な学園生活であった…。

 

END