占い
「占い?」
「そうなのっ!お姉ちゃん今占いに凝ってるのよ〜っ!ジーン先生に教えてもらったの〜!」
昼休み、ちょうどお弁当を食べ終わり、心地よい満腹感が身体を支配している中、ナナミがそんな事を言い出した…。
「だからカナタも占ってあげるー♪」
「占うって…何を?」
「カイルさんとカナタの相性占いっ!」
「是非お願いします!」
キュピ〜ン!とカナタの瞳が輝いた…。
「まずね〜カードをくるのよ〜♪」
「タロット占い?」
神秘的と言うより、どちらかと言えば可愛らしい絵柄のカードをナナミは机の上に取り出した。そして、それをわさわさと広げ出す。
「混ぜて〜混ぜて〜」
「わくわくv」
…。
「…ナナミ〜まだぁ〜?」
「もうちょっとよ〜」
もたもた。
5分後、ようやくカードがまとめられる。
「さあ!始めるわよ!」
「まだ始まってなかったの!?」
ズゴーン!とショックを受けるカナタだ。
「ちょっと待ってね〜後は3回これを分けて…」
ナナミは、たどたどしい手付きでカードを分けようとしているのだが、そんな動きでは少しの衝撃が加わったとしても、カードが手から零れ落ちそうだ。カナタは息を飲んでナナミを見守っていた。
「カナターナナミ、次は移動教室だから早く用意しないと」
「あ。」
ぽん。―――――パラパラパラ…
「……………」
「あ〜せっかく頑張ってたのにー!」
「…か、カナタッ!!(滝汗)」
ガタンっ!と音を立ててカナタは席を立った…。
「はっ話せばわかるっ!わざとじゃ…」
ぎゃあああああああああああああああああああああ…!!!!!
「ってな事があった訳です!」
「…ジョウイ君どうなったの?(汗)」
今は放課後。2人は呑気に並んで歩いている。…数時間までの惨劇が嘘のような、カナタの姿だったりする。
「それはともかくv今日暇ですか?」
「え?」
「リベンジとばかりに一緒に相性占いやってほしいんですけど♪」
「うん、いいけど…?」
「わーいv」
嬉しそうに笑うと、カナタはカイルの手をギュッ!と握った。
「じゃあ校舎内へと逆行です〜♪」
「え?;」
「ジーン先生が趣味で占いもやってるそうなんですー♪ナナミにバッチリ聞いて来ましたー♪」
校門の方まで行きかけていたカナタとカイルは、再び学校の方へと戻る事になった…。どうせなら、もっと早く言えば良かった物を…。少しでもカイルと長く歩きたいと言う、カナタの男心だった…。
「と言う訳で、僕とカイルさんの相性占いをして下さい!無論恋愛運を!!」
「うふふ…」
妖艶に笑むのは、何の教師なのかはわからない、ジーン先生である。
「いいわよ、じゃあ何で占ってほしい…?」
「タロットカードでお願いします!」
「………(汗)」
口を挟む隙もないカイルだ。(挟むつもりもないだろうが、)
パラパラパラ…とナナミとは比べ物にならない動作で、カードが並べられてゆく。
そして、数分後、その動きが止まった。
「………」
「?」
「ど、どうしたんですか?」
何故かジーンは黙ったまま、2人を見て笑んでいた。
何故か人の不安を誘うような笑顔だ…。
「けっ結果はどうだったんですか!?」
「…どうしても、知りたい?うふふ…」
「え?」
「ふふ…」
見つめあう。
冷たい汗が流れ落ちる…。
だらだらだら…
「いっ、いいですっ!!(汗)」
「そう?」
「………(汗)」
カナタの敗北である。
結果の期待よりも、不安の方が勝ってしまったらしい…。
「こうなったらカイルさんっ!!レックナート先生にも占いやってもらいましょうっ!!水晶占いが良く当たるって評判です!!」
「カナタ…カナタっておみくじ凶引いたら、大吉が出るまで引き直し続けるタイプ…?(汗)」
「ですよ自分の運命は自分でつかみ取らなければいけません!!」
「使い方が違う…(汗)」
結局、カナタの気が済むまで引っぱり回されたカイルだった…。