コンタクトレンズ

 

 

「あーーーーー!!カイルさん!!;動いちゃダメですーーーーっ!!;」

「!?」

珍しくも、カイルの方から下校デート(カナタ名称)を誘いに来たその時、カナタは教室の入り口で立ち止まるように制止したのだった。

「カナタ…?」

「話せば長い事ながら…;」

少年は何かを語り出そうとしたが、それは聞かずとも一目瞭然の事だった。

…クラス一同が、床にしゃがみ込んでいるという、同じ姿勢でいるのだ。

「…コンタクトレンズ、落としたの?;」

「そうなんですっ!(泣)」

 

どうにもこうにも、クラスメイトの1人がメガネからコンタクトレンズに変えたはいいが、まだ慣れない物だった為、落としてしまったらしい。

 

「手伝おうか?」

「「「ありがとうございますー!」」」

カイルがそう提案すると、カナタ他、一同からお礼の声が上がった。

「レンズって見つかりにくいですよね〜;」

「透明だから…;」

多少捜索は難航していた…。

「何やってるんだ?」

「あ、テッド…」

「コンタクトの危機なんですー!」

ひょっこりと窓から顔を出したテッドに、わかるようなわからないような説明をする。が、まあテッドにはわかったようだ。

「へ〜、じゃあ俺も暇だし手伝おうか〜?」

そう言ったのは、よかったのだが、上級生がいるとなんとなく目立ってしまう。

「なんだなんだ?」

と、他にも参加者が増えてしまった…。

…カイルが参加した事によって、バランスが崩れたのかも知れない。

一気に増えた捜索者に、ぎゅうぎゅうと鮨詰め状態になる教室だ。

「っ!!さすがにちょっと人出て下さいーーーーーーーーーっっ!!!!!;」

「あ、」

急に立ち上がると危ない…そう言おうとしたカイルだったが…

 

パキッ…

 

「「あ。」」

遅かった。

 

 

…弁償金、30000ポッチ也。