ハロウィンSS
ずらりと一面に並んだジャックランタン。
しかし、それは全てカブをくり抜かれて出来ていた。
見慣れていないせいか、独特の怖さがある。
「本格的にやってみようと思って、元祖らしいカブランタンを作ってみました!ついでに中身はカブのポタージュになりました!」
「うわぁ…;」
一面不気味なカブだらけになった城内を見たカイルの感想は、本当にうわあとしか言いようがなかった。
「なんでカブにしたの…?」
「今年はカイルさんがコスプレ…もとい、ハロウィンの仮装断固拒否の構えでしたから、時間が余ってつい…!」
「……………」
カボチャをランタンにするのも、カブをランタンにするのも、手間としてはあまり変わりはない気もする。
しかし、大きさがカブでは小ぶりなため、数を増やした結果不気味なことになっている。
…いや、カブの中に一つだけカボチャが見えた。
「カナタ、あれ…」
「そうです!あれが今回カボチャの出番がなかったということで化けて出たカボチャの妖怪、砂村の怨霊さん(仮)です。」
「!?」
「蔓と葉で出来た胴体で、頭のカボチャを自分で持ってるとこが面白いですよねー!」
ああいうタイプのモンスターは存在してそうなので、カナタは呑気にそんなコメントをしている。
「ついでに、カブを撤去して欲しければあれを討伐してカボチャをゲットするようにクエストを出しています!!」
「カナタ、今日…ハロウィンだよね?;」
「そうですよー!ハッピーハロウィーン!!トリックオアトリートで問答無用で先に悪戯を仕掛けさせてもらってます!!」
カイルが諦めてハロウィンの衣装を了承するまで、この戦いは続いたという…。