一度はやってみたかったネタシリーズ - 子供編9-
とりあえず、子供は早く自分の片割れと合流しようと、屋上の入り口から顔を出した。
「る…」
ゴーーーッ!!
「ぎゃ!!;」
「危ない…!」
慌ててカナタは子供を確保した。
屋上への出入り口からは、炎の矢が霰のように降り注いでいる。
…もし、そのままそこにいたならば、この場に先程まで転がっていた黒焦げ兵士と同じ運命を辿っていた事だろう…。
―――どうやら、相手はパニック状態に陥っているらしい。
「来る者全てを倒そうとしていますね!;」
「………(汗)」
何故だか目を逸らすカイルだ。
「る〜!;」
カナタに抱えられながらも、とりあえず子供は声だけで相手に呼び掛けてみる。
…しかし、炎の矢が注がれる中、その轟音で声は掻き消されてしまっていた。
「うーんどうしますかねー;」
「早くなんとかしないと…(怖がってるままじゃ可哀想だから…)」
「迎えにいくー!」
「ええッ!?;」
炎の中でも突っ切ろうとする無謀な子供を抱きとめ、今度はこちらを説得する羽目になった。
「今行ったら丸焦げのミディアムにーーーッッ!!;」
「危ないから…ッ;」
「こげても行くーー!!るーー!!(怒)」
ギャースと暴れる姿は、まさにプチカナタ。
しかし、元祖カナタである少年(?)は、その瞬間キッ!と真面目な顔をし…
ベシッ!
「そんな事じゃダメだーーー!!(怒)」
「カナタ…;」
「おとーさん…」
カナタは珍しく怒った。
…しかし、叩いた音がしたのは、自分の手を相手の頬につけて自分の両手を打つという音だけの攻撃だ。なるべく、女子供には暴力を振わない性格なのである。
「今からそんな正攻法な作戦でどーすんですかッ!(怒) 単細胞な真直ぐ攻撃だと見せ掛け、裏から裏技を使った腹黒知能戦! 誰も考え付かないような妙な方向性からのアプローチで相手を自爆させる陰険な作戦…!! 入り口を一つだと思うな!正面 から突っ込むなんて面白くない真似は勝って確実な勝算がある時にしか使っちゃダメですーー!!」
…その性格に大分問題はあるが。
「カナタ…(怒)」
カイルからの厳しい視線が注がれる。
その視線の意味は、「そんな事いつも考えてたの…(怒)」と「子供に何を教えてるの…(怒)」のどちらだろうか?(が、子供の方は何故か素直にこくこくと頷き、真剣に何かを学び取り始めていたりする…。)
「ハッ!;―――と〜♪;とにかく、この場合、危ないですから、正面から突っ込んじゃダメですよ☆;」
「じゃあどうするの?おとーさん…」
じぃっ…と、期待する純真な瞳が、カナタを見つめて来る。
「そうですねー…」
「ムムーーー!!」
そんなタイミングで、一匹のムササビが飛んで来た。
「「ムクムク」」
「むささびー。」
「ムム〜ムムムムムー!」
「『やっぱり心配で戻って来た』って…ムクムク、僕とカイルさんの愛の結晶を知ってる!?抜け駆けかー!?」
「カナタ…;」
分からない会話をしないで…;と困るカイルだ。
「くっ…; あ。でもちょうどいいです。ムクムクにも協力してもらいますか。」
続く
まだ続いた…
終わるのだろうか…コレ…;