天魁星3人日常劇(仮)11

 

 

この城には今現在、3人の天魁星がいる。

 

一人、現在の天魁星カナタ。

一人、3年前の天魁星、トランの英雄カイル。

一人、約150年前の天魁星、カイカ。

 

バランスが崩れたような、新たな均衡をとったような、それなりに上手く行っているような…

そんな彼らの日常。

今日も今日とて何かが起こる…。

 

 

今日はそんな訳でクリスマスである。

ジングルベールジングルベール♪

そんな呑気な歌声が聞こえるオレンジドラゴン群本拠地。今日はクリスマスである。

「カイルさーん♪飾り取って下さいー☆」

「うん、…カイカさん!危ない!;」

「??」

 

クリスマスツリーの飾りをするのは、一応全員天魁星な者らだ。

飾り途中のクリスマスツリーの前にはカナタが立ち、飾りを手渡そうとしていたカイルが、高い台の上からムリに手を伸ばして飾りを箱から取ろうとしているカイカに注意する…そんな光景だ。

平和と言えば平和だが…これでいいのか?とも言いたくなる。

 

「真っ赤なお鼻のー♪トナカイさんわぁ〜♪っとー☆」

「?」

ふいにカイカが手を止め、無表情にカナタを見た。

「どうかしましたかー?」

「…うた?」

どうやら知らない歌だったらしいので、気になったようだ。ちなみに、彼はクリスマスは少年から「飲んで歌って遊んで楽しむ祭りです!」と説明を受けている…。

「あ〜…正式めいしょーは忘れましたケド、「真っ赤なお鼻のトナカイさん」ですよ!」

「………;(無茶な説明しなきゃいいけど…;)」

「?(訳:どんな歌?)」

「要約しますとー」

カナタはにこやかに、子供に教えるように言った。

「仲間から鼻が赤いと虐められていたトナカイさんが、―――ついにはサンタクロースにまで虐められ、利用される歌です!」

「カナタッ!!;」

違うからッ!と慌てるカイルだ。

「だってカイルさん!鼻が赤いくらいでライト代わりになるはずないじゃないですかッッ!?苛めですよ!?言葉の暴力ですよ!?はっきり虐めていた仲間のトナカイよりタチ悪いですよ!?」

「そういう事じゃないから!;」

「野生で自由に生きていたトナカイをサンタは自分の乗り物にするんですよ!?鬼です!」

「子供の歌だから…!;」

「きっと乗り物代わりに使った後はポイ捨てされるんですーーー!!トナカイが可哀想ですよーーーッ!!」

「だから…;」

「???」

騒ぐ2人に、よくわからなくなったカイカは飾りを持ったまま首を傾げるばかりだ。

そして、その手からツルリとツリーの星が落ちる。

 

トス。

 

「あだーーーーーーーーーーー!!(汗)」

天罰である。

 

 

 

 

 

「ケーキです〜♪」

「まんじゅう…」

立ち直りの早い少年は、早々に飾りを仕上げ、お酒だけは絶対厳禁の場、それ以外はとてもクリスマスらしい料理が並ぶテーブルを用意した。

とにかく、今日は楽しいクリスマスなのである。

「じゃあ…」

「はいv」

「(こっくり)」

 

 

めりーくりすます

 

 

 

 

「…でも、今日ってホントはキリストの聖誕祭じゃないんですよね?実際の誕生日は全然12月じゃないらしいですし…」

「カナタッ!;」

「しかもクリスマスケーキというケーキを売っているのは限られた地域だけって聞いたんですけど!?」

「もういいからっ!!;」

「…(もぐもぐ)」

 

…あまり、ムードのないクリスマスとなってしまった…。

 

続く

 

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