天魁星3人日常劇(仮)5
この城には今現在、3人の天魁星がいる。
一人、現在の天魁星カナタ。
一人、3年前の天魁星、トランの英雄カイル。
一人、約150年前の天魁星、カイカ。
バランスが崩れたような、新たな均衡をとったような、それなりに上手く行っているような…
そんな彼らの日常。
今日も今日とて何かが起こる…。
「妙な誤解もありましたケド!あったまりましたし、どーせ溶けるまで雪はどうしようもないんですから!安全に雪遊びしましょう!!」
まだ少し残っている雪を指さし、カナタは言った。
子供は風の子を地で行く少年は、遊び妙な使命感を燃やすのだ。
「雪合戦ー♪―――――…は、」
「「?」」
カナタは顔触れを見た。
…
「…今日は止めときましょう」
意外に勘の鋭い少年だ。
そう、相手はカイルとカイカ…。
ぶつけられないという理由もあるが、一番大きな理由は…――――――こう見えて、とてつもなく相手が強い事を知っているからだ。
カイルが本気で雪合戦を始めれば、雪玉と言えども、物凄いスピードと力でカナタを強襲するだろうし、(即撃沈)
カイカはカイカで、元から加減を知らない。(こう見えて)一番レベルの高い彼は、相手が倒れようが何しようが、延々と雪玉 を投げるだろう。
しかも2人タッグを組まれる。
「―――あ、でも3人でチーム組んで、他の人と対戦すれば…」
「それは、ちょっと…(汗)」
「?」
間違いなく、恐怖チームの完成だ。
カイルがストッパーに代わるとはいえ、反則不意打ち闇討ち…何でもありのカナタが参戦すると、ロクな事にはならない。
「まあそんな訳で、雪うさぎ作りましょうかー♪」
「?」
「、葉っぱと小さな実で…」
「説明より実践ですー♪」
何なのかわからず、首を傾げるカイカに、カイルが説明しようとすると、カナタが元気よく雪を握り始めた。
「まずこう!」
きゅっきゅっきゅっ!
小さな音を立てて、雪がタワラ型に固められる。…多少手型が残っているのはご愛嬌だろう。
「で!葉っぱ×2と赤い実×2を飾るんです!」
バランス良く、雪の塊に耳と目を付けると、可愛らしい雪うさぎが完成した。
「こんな感じです!」
「…!(拍手)」
嬉しそうに拍手をするカイカだ。
カナタはとりあえず、そのうさぎを樽の上にとん、と乗せた。
「じゃあ後はいっぱい作るだけですね!」
「…いっぱい?」
カイカが首を傾げる、…それにカナタが強く断言した。
「そうです!よーいドン!」
「…(こくっ)」
「え?;(競争?)」
カイルが何か言う、その前に2人は別々の場所に走って行ってしまった―――――………ので、仕方なくその場に座って雪うさぎを作り始めた。
30分後…
「………(ネコ、)」
何となく、形を変えた葉や、しっぽを付けて、オリジナルに走ってみるカイルだった。
途中、面白くなって、アニマルシリーズを作ってしまったらしい。
「、」
はっ、と我に返るカイルだ。
そろそろカナタ達と合流し(というか止め)に行った方がいい。
「カイルさーーーーんっっ!!」
「カナタ…;」
丁度その時、タイミングよくと言うか何と言うか、カナタの声が響いた。
…あまりいい予感はしない。
しかし、行くしかない訳で…
「………(汗)」
「あははは…;どうしましょうね〜?」
「…」
わさ〜〜〜!!…と、雪うさぎの大軍がカイルを見つめていた。
「…作ったの?;」
「…つくった、」
「いえ、つい白熱しちゃいましてー☆…ていうか、―――――どうしましょう?」
「可愛いけど…;」
ちょっと怖い。
ここまで雪うさぎがあると、かなり怖い。
しかも、カイカはまだ作ろうとしている。(カナタが掴んで止めているが、)
「溶けると思うけど…;」
「溶けると可哀想ですよねー;これだけあると、」
「…」
なかなか悩める所だ。
「うん…;でも…」
「天寿を全うって事にしますかー;」
「…」
「せめて、あの…」
「あ、そうですね、」
「…」
とりあえず、
…池の周りに、うさぎが増えた。
続く