にゃんこ新たなる出合い

 

黒猫にゃんこ、カイルはこの前会ったこにゃんこカナタの事が今一つわかりません。

最後の『ちゅう』はあいさつだった気もしますが、本当の所はどうなのか…

そして、三日たってもあのこにゃんこはやってきません。

からだのどこかにもやもやがあって、何がなんだかわからなくなっていました。

そして、そうこうしていても仕方がなかったのでにゃんこは彼の付き人ににゃ〜んと一言声をかけると、とことことあてもなく出かけていきました。

そう、おとなりの町にでも、と思って…

 

 

「ふわ〜〜〜っ…なんかおもしれえ事ねえかなあ?」

真紅の耳としっぽをパタパタとイミなく動かし、シードにゃんこは退屈になったのか人気、いえ猫気の多い所へと歩いていきました。

するとどうでしょう、ガラの悪そうなにゃんこ達に小柄な黒いにゃんこ(もちろんカイルです、)が絡まれているではありませんか。

シードにゃんこは正義感の強いにゃんこでしたので、すぐに助けようと思いました。一一一が、

 

べきいいっっっっ

がりっっ

ぽいっ

 

「…え?」

あっという間に、小柄なにゃんこは周りのにゃんこ共をなぎ倒してしまいました。

猫は見かけによりません。

「………ふぅ、」

さすがに疲れたのか、にゃんこは軽く息をつきます

その瞬間、ダメージの少なかったにゃんこが立ち上がり、鋭く尖った爪を黒いにゃんこに向けました

「!」

「あぶねえ!!」

べきいっとシードにゃんこのとび蹴りが決まりました。

「…?」

「お前強いんだな、オレ、シードだよろしく♪」

にぱっと笑った人好きのする顔には、心からの賞賛の気持ちがこもっていました。

「ありがとうございました、僕はカイルです」

ぺこっと礼儀正しくにゃんこはおじぎをしました。

 

 

「・・〜〜〜っ、まだ頭とおなかがズキズキする…」

そうです、こにゃんこは病気(食中毒?)になっていたのです。

こうみえてもカナタは義姉猫思いでしたので、おかわりまでして料理を食べたのでした。

しかしいくら丈夫なこにゃんこでも、お花畑まで行って河を渡らずに帰ってくるのは容易ではなかったのです。

一緒に食べたこにゃんこの親友、ジョウイはまだ帰ってきません。

少し心配な所でしたが、こにゃんこの心配は別の所にありました。

あの時出会ったカイルさんの事です。

「いかなきゃ…」

ずるずると重い身体を引きずり、(ついでに隣で青黒い顔色で寝ているジョウイを踏み付け、)こにゃんこは出かけて行きました。

 

「め、目眩がする〜」

そう言うと、こにゃんこは道ばたにぱったり倒れました。

ここまでこのこにゃんこにダメージを残すとは、義姉にゃんこの料理も凄まじいものです。

「…如何為されたか、」

倒れたカナタの頭の上から、声がかけられます。

大人のにゃんこの声です。

「・〜どなたか、知りませんけど…僕を隣町まで運んでもらえますか〜…僕の一生がかかってるんです!!」

ゼーゼーと息をつきつつ、こにゃんこはそう訴えます。

「………まあ、よいでしょう」

声の主はしばらく黙り込んだ後に、こにゃんこを背に担ぎ上げました。

 

 

「へ〜、カイルは隣町から来たのか。オレここら辺が縄張りだからな〜」

「…えっと、あの、猫(ひと)探しに来たんですけど…」

「え?オレが知ってるやつなら教えられると思うぜ?」

にゃんこはカナタの事を尋ねようとしましたが、なぜだか躊躇ってしまいます。

「お、クルガン〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

シードのしっぽが嬉しそに跳ね、遠くの方にいる銀色のにゃんこに手を振ります。

「シードか、」

銀色のにゃんこは無表情にそう言います、いつもの事なのでしょう。シードは全く気にしていません。

「カイル、こいつクルガン。オレの〜…知り合い!!」

シードにゃんこ、そんな事言ってると後でどうなってもしりませんよ。

「クルガン、こいつカイルっていって…」

「知っている。」

「…何で知ってんだよ?」

シードは不機嫌そうに聞きます。

「カナタ殿から少々な、」

「カナタ?」

クルガンの背中を見ますと、こにゃんこが引っ付いています。

「あ!!カイルさ〜〜〜〜〜んッッッ!!!」

こにゃんこはうれしそうに飛び下ります。

そのままカイルに抱き着き身体を擦り付けました。

「道ばたで倒れていてな、食中毒で三日間も寝込んでいたらしい」

「へ〜、そりゃ大変だったんだな。一一一一クルガン、テメー何でオレの手掴んでるんだ?」

「さっき、私の事を『知り合い』だと言っていたな?」

「げ…」

「本当に知り合いかどうか試してみるか?」

あれよあれよと言う間にシードは遠くの茂みの方に連れ込まれていきました。

 

「…病気だったの?」

「はい……………すみませんでした、すぐに会いに行きたかったんですけど、」

その頃はお花畑に直行中v

「大丈夫?」

にゃんこはこのこにゃんこの事が心配でした。

出会ったばかりですが、気持ちはふくらんでいたのですから、

「はい!カイルさんに会ったら元気になりました♪」

にゃんこはなぜか、心が暖かくなるのを感じました。

 

「えっと、もっとちゃんとした時に言いたかったんですけど…僕は一…」

「?」

にゃんこは首を傾げました。

こにゃんこが何を言うのか予測できないからです、

「好きです!!」

「…え?」

「一目惚れなんです−!!!」

「えっと…」

にゃんこはたじたじになってしまいます。

こにゃんこのことは、どうやら好きらしいのですがその気持ちが今一つ理解していなかったのです。

一瞬の出合いでそこまで理解する方が難しいでしょう。

「僕の事嫌いですかッ!?」

「えっ!?す、好きだけど???」

「じゃあ♪両思いじゃないですかvvv」

「…そうなのかな?」

 

 

強引なこにゃんこに、にゃんこはついに負けて(?)しまいました。

お話の続きはこにゃんこのおなかが治ってからですね♪

 

 

 

         次回、シードにゃんことカイルにゃんこの駆け落ち…いえ。逃亡編(…これは嘘だろ。)