こにゃんこ追い掛けるっ!

 

 

「嫌われた原因…一体なんですかっ…!?(泣)」

こにゃんこにはまったく心当たりはありません。

こにゃんこ的には、本懐かなって、祝いたくも幸せ満タン。きょうもラブラブイチャイチャをくわだってていたのです。

 

――――しかし、そのにゃんこ自身がいません。

 

「しくしくしくっ…(泣)」

キノコが生えてきそうなじめ〜っとした雰囲気でこにゃんこは泣きます。

もし、そのこにゃんこの近くにちょうどよい高さの木があれば、まちがいなくこにゃんこをそこから移動させたことでしょう。…それほど、自殺しそうなムードなのです。

そして、そこに通りかかったにゃんこが一匹。

 

「…………」

 

久々に登場したクルガン氏です。…この思いだしたような登場はべつに、「炎の蜃気楼」を読んでいるせいではありません。きっと。

「…」

クルガン氏的にはそのまま見なかったことにして、通過してもよかったのですが、そんなことを後でシードにゃんこに知られたしまったなら、「人非人(猫非猫?)ッ!」とののしられることはまちがいありません。

クルガン氏は一つ息をついてからこにゃんこの方へと向きなおりました。

「よろしいかな?」

「…あークルガンざ〜ん、お久しぶりでず〜。どーぞーー」

まだ一応あいさつができるだけの思考はあるようです。

「…何かあったのですか?」

「――――――――――――――うわーーんっ!!聞いて下さいーっ!!(号泣)」

 

 

こにゃんこは語りました。

漢(にゃんこ)泣きに泣いて、時おりのろけをまぜつつも、にゃんこさんに逃げられたことやうれし恥ずかし昨日のできごとなどを―――

 

きっとカイルにばれたら、一生口を聞いてもらえなくなるでしょう。ちなみに、シードにゃんこならば、鉄拳制裁が加えられることでしょう。

 

 

「――――っていう訳なんですっ!(泣)」

「………………」

クルガン氏は黙しています。

あきれているのかもしれませんが、その無表情さではなにを考えているのかうかがいしることはできません。

こにゃんこの方を見てみると、みみもしっぽもすっかり下向きになってしまっています。

ため息をまた一つついて、クルガン氏はいいました。

「………照れているのではありませんか?」

「――――――――――――――照れ?」

…パァ〜〜〜♪

こにゃんこの瞳に生気がもどりました。

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜カイルさーーーん♪♪♪」

「…やれやれ、」

ありがとーございます!と遠ざかって行く声を聞きながら、クルガン氏も腰を上げました…。