ある雨の日の物語

 

 

 

雨の日です。

こんな日、にゃんことこにゃんこはどうしているかと言いますと…

 

 

「探検です〜〜〜!!」

ごそごそと物置きの奥にはいり込むこにゃんこ。元気なのはいいことですが、ひとさまの家でそんなことはしてはいけません。…言って聞くこにゃんこではありませんが、

まっくらななかでも平気でダンボールとダンボールの間にはいりこみ、ピコピコと茶トラもようのしっぽがゆれています。

そう、あめの日はお外にカイルがでてこないので、こにゃんこはおうちまであそびに来ているのでした。

そして、おうちでできるあそびを考え、にゃんこと、ときには義姉にゃんこナナミをくわえ3匹であそぶのでした。

しかし、なかなかにハードなあそびを行うこにゃんこで、ついこの間などは天井裏にカイルとしのびこみ、真っ黒なはずの毛なみをしっぽのさきからお耳のさきまで真っ白に染めてしまうほどでした。

で、今もなお行っているのは、こにゃんこのさけび通り、探検ごっこです。

「宝探しーーー♪何か面白いものないですかね〜♪」

「カナタ大丈夫?;出て来れる??」

入り口の辺りで中をのぞきこんでいるにゃんこは、そうこにゃんこによびかけます。

「大丈夫ですー!ちょっと狭いですけど〜〜!!」

中はすでにぐちゃぐちゃに散らかっていて、にゃんこが1匹はいれるくらいの道しか残されていないのです。ここでカイルまではいってしまったならば、2匹して出られなくなってしまうかもしれません…。

いちおう言っておきますと、こにゃんこがこうまで荒らした訳ではなく、付き人グレミオさんの目の届かないばしょだった為、おなじく付き人のパーンさんとクレオさんがグチャグチャにしてしまったのです。

それだからこそ探しがいがあるとおもったこにゃんこカナタは、カイルがとめるのも聞かずに、大探検のさいちゅうでした。

にゃんこのしせんからは、しっぽの先しかみえませんが、こにゃんこはとても楽しく何かおもしろいものをさがしています。

ごそごそごそごそごそ♪――――ゴツン。

「あ。;」

こにゃんこは頭をぶつけてしまいました。

それじたいは痛くもなんともなかったのですが、これだけものが詰まっているばしょで衝撃をあたえてしまいますと―――…

 

 

ドンガラガッシャーーーーン!!!!!!

 

 

…お約束どおりダンボール箱がやまのようにふってきます。

「ぎゃーーーーー!!;」

「カナタ!?;」

みごとにこにゃんこは埋まってしまいました。

これにはにゃんこもあわてます!

「カナタ!?どこ!?;」

 

あわあわとカイルもひっしに物置きの中にはいり、こにゃんこのしっぽを何とかみつけ、それをしっかりとつかみました。そして、あわてた黒にゃんこさんはそれをひっぱってこにゃんこをひっぱりだします。

…こにゃんこは無傷は無傷でしたが、しっぽはちょっとダメージをおってしまいました…。

 

「死んじゃうかと思いました〜(泣)」

「ごめんね…?;(しっぽ…)」

「平気ですー!ありがとうございます〜(泣)」

ぶじだったのだからと、こにゃんこは気をとりなおそうとしたとき…ふいに自分がなにかを手にもっていることに気がつきました。

「あれ?コレは…!!」

 

 

 

 

「坊っちゃんの写真ですか?」

「コレー!こーゆーの見たいんです〜〜vv見せて下さいーーーーっっvvv」

「………;」

しっぽをわんこのようにはげしく振って、こにゃんこは付き人クレオさんにおねだりします。

こにゃんこが頭の上にささげるようにしてもっているのは、1枚のふるい写真でした。

おおきな黒い耳、やわらかそうな毛並みのしっぽを持つちいさいこにゃんこが真っ白なシーツに丸まり、しっぽをおなかの方にまわしている姿がうつっています。

…そうです、これは黒にゃんこさんのちいさな頃のしゃしんです。

「ええ、それならたしかここにアルバムがあるはずですよ、…はい、どうぞ?」

「ありがとうございます〜〜〜vv 僕よりちっちゃいカイルさんです〜〜〜〜vvvv」

しゃしんに映っているにゃんこの姿は、たしかにこにゃんこよりもちいさな頃のようです。こにゃんこは、こにゃんこといっても、もうこにゃんこ(子供)とにゃんこ(大人)の中間くらいのおおきさなのです。

「確かに…この頃の坊っちゃんは本当に小さかったんですよ?」

ホラ、これもとクレオさんはしゃしんをゆびで示します。

「ぎゃーーーーvvv洗濯物の山に埋まってますーーーー!!」

そのよこには、グレミオさんがかいたのでしょうか?『わんぱく時代』とかかれたシールがはられていました。

「外に初めて出た頃の写真なんかもここに…(笑)」

「可愛いですーーーーーッッ!!」

何があったのでしょう…、そのしゃしんの黒にゃんこさんは返り血でところどころ毛並みをあかく染めています…。とうそうしんをきらめかせた瞳は、なんだかとても殺気がただよっています。

「………(汗)」

「テッド君と知り合った頃はこんな感じの…」

「ずるいです〜〜〜ッッ!!!」

「あの…もう…;」

『いたずら盛り』と2人してうえき鉢を倒してしまっているすがたをみるカナタに、にゃんこはやめて…;と止めたそうにしています。

それはそうでしょう、恥ずかしくもあまずっぱい過去のおもい出をこにゃんこに見られているのですから…。

「カイルさんが僕よりちっちゃいんですーーーvvvかんどーです〜〜〜ッッvv!!」

「………(汗)」

しかし、しっぽを2ばいくらいに大きくしているこにゃんこを止めることなんて、にゃんこにできるはずがありません。みるからにとてもうれしそうです。

黒にゃんこはあきらめたようにため息をつきました。

「もうコレ以外ないんですかー!?」

「そんな事はないと思いますよ?…でも、ここにはないな…ああ、グレミオ!」

こにゃんこがわくわくとおねだり攻撃をしているとき、タイミングよくグレミオさんがとおりかかりました。

「はい、どうしましたか?」

「カナタ君が坊っちゃんの小さい頃のアルバムを見たいって言ってるんだけどね、どこにしまってある??」

「それでしたら、大掃除の時物置きの中に移動させたような…取って来ますね、」

「ああ、頼むよ。」

 

「「……………」」

 

物置き?

こにゃんこらは固まります。

さきほどの大探検のしっぱいで、ものおきはますます荒れ果てたことになってしまっていました…。

そんなところをグレミオさんに見つかったなら、2匹してはんせいさせられてしまうでしょう。

グレミオさんのせなかをみおくった後、2匹はそっとしのび足でそとへとむかい始めます。

「ごめん、クレオ…外に行って来るね?;」

「え?坊っちゃん?外って…今は雨が降って…」

「お邪魔しましたーーー!!カイルさん空き地の土管の中で遊びましょうーーー!!;」

「うん;」

2匹はダッシュでそとへ走ります。

とおくからグレミオさんのひめいが聞こえたようなきがしましたが、2匹はそれはムシしてにげました…。

しばらくしてほとぼりが冷めたなら、謝りにもどるでしょうが…今は、ね?;と顔をみあわせて、2匹は雨のなかを走りました。

 

 

6月に書いてました…(吐血)