秋のお話。〜おいも大作戦☆〜

 

 

 

秋晴れ晴天、いいてんき。

 

この日、こにゃんこはとても秋らしいあそびに、むちゅうになっていました。

 

 

 

「とりゃーーー!!」

わしゃわしゃと土をはねとばして、こにゃんこは土の中…。

畑のまん中で、こにゃんこはいきおいよくしっぽをゆらしながら、土をはねあげています。

まるでわんこのようですが、一応は茶トラのしっぽとみみがチャームポイントなにゃんこです。

そのこにゃんこ、カナタがなにをしているのかといいますと、野良にゃんこのちからをめいいっぱいはっきしての――――芋ほりでした。

「よし!これです!!」

いも畑の中で、いちばんりっぱな葉っぱの、いちばん大きいとおもうおイモをほりかえしますと、こにゃんこはまずは自分のほった穴からじたばたとよじのぼり、それから土の中から顔をだしている紫色をいっしょうけんめい引っぱりました。

「よいしょーよいしょー!!カイルさんのためなら、えんやこりゃー!です!!」

そんな声をあげながら、ひっぱりだしてみますと―――それはとてもりっぱで大きなおイモさんでした。

「これならバッチリですね!」

でーーん!とそびえたつようなそのおイモに、こにゃんこはひるむこともなく、ていっとかかえあげますと、いっきに畑から走りだしました。

 

 

つぎにこにゃんこがむかったのは、パチパチと火が燃えているたき火のまん前です。

ほどよくもえている炎をみて、こにゃんこはまんぞくげに笑います。そして、ほりあてたおイモに粘土状のドロをつけはじめました。

ぺしぺしぺしっ。

まんべんなく、ていねいに。

おイモのすっかりドロのかたまりになるまでにしますと、カナタはねこキックでたき火の中にそれをいれました。

 

待つこと数10分。

 

「ああ〜〜〜!!」

そろそろOKというころあいになったのですが、こにゃんこはガーン!という顔つきになりました。

(ど…どうしましょう!?)

そうです。

燃えさかる炎のなかにあるおイモを、どうやってとればいいのか…それがもんだいでした。

こにゃんこはしばらく、耳としっぽをピクピクさせてかんがえた後、はっ!とまだ燃えていない焚き木の1本をみつめます。

そして、それを両手でつかみますと―――

 

「どりゃーーー!!」

 

おもいっきり、火の中のおイモをつきました。

バッドでボールころがすような感じで(※間違ったつかいかたですね。)、焚き木をふり、みごとに焼けたおイモは火の中から飛びだします。

「やりましたーーーvvv―――て、ああっ;」

………でしたが。

「あああああああああ!!;」

ころ…

ころりん

ころ…コロコロコロコロコロコロコロコロ!!!!!

いきおいがつきすぎた為に、道に飛びだしたおイモは、みごとに坂をころがりおちはじめました。

「待てですーーー!!」

あわてて追いかけるこにゃんこ。

しかし、それはそれはみごとな坂でしたので―――――こにゃんこもころがりました。

「ふぎゃーーーーー!!;」

ころころころころころころころ!

 

 

 

 

 

マクドール邸。

マクドール家のぼっちゃんにゃんこのカイルさんは、まっ黒な耳としっぽがかわいいにゃんこさんです。

そのにゃんこさんでしたが、今はぽかぽかとあたたかい庭先にすわって、待ちにゃんこ中でした。

「カナタ…こないなぁ…?」

やくそくしていたこにゃんこがおとずれないのに、首をかしげています。

そんなときです。

 

ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ!!!!!

 

「に”ゃーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!;」

「!?」

その待ちにゃんこが何かといっしょにすごいスピードでころがってきます!!

あわてて塀のうえに飛びあがって、黒にゃんこは逃げます。

…さきほどまでにゃんこがすわっていた位置に、こにゃんことおイモが、ドカーン!と、とび込んできました…。

「だ…大丈夫?;逃げてゴメンね…?」

「大丈夫ですーーー!!; あ、これお土産ですっvv!」

クルクルと目をまわして、頭にたんこぶを作っていても…しっぽをじまんげにピーン!とたたせてこにゃんこはいいます。

 

「いっしょに食べましょうーっv」

「わあ…」

 

カナタが見せたものは――――ぱこっとふたつに割れて、おうごん色のなかみをホコホコと見せた、おいしそうで、大きくて、とてもりっぱな、焼きいもです。

 

 

 

 

この日の秋のおやつは、おいしいおいしい焼きいもさん。