遠足大作戦 その1

 

 

 

秋をすぎ、もうすぐ冬にはいろうかというそんな季節のことです。

あるひ、こにゃんこはこんなことをいいました。

 

「遠足しましょう!遠足ーーー!」

 

元気な野良にゃんこであるこにゃんこカナタは、茶トラのしっぽをパタパタさせながら、ゴロゴロのどをならしてのおねだりです。

おねだりの相手(にゃんこ)は、つややかな黒いみみとしっぽがかわいらしい、マクドール家のぼっちゃんにゃんこ、カイルさんです。

こにゃんこにとってこれは、デートのお誘いなのですね。

しかし、黒にゃんこさん…

「うん、いいけど…テッドとカイカさんは?」

「オレもか?」

「…(♪)」

「買Kーンッ!;」

でも、黒にゃんこさんはみんなへのおさそいだと思ってしまったようです。

親友にゃんこのテッドさんと、その隣にすわるカイカさんにも声をかけてしまいました。

こにゃんこはショックでかたまってしまいます。

テッドにゃんこさんは、マクドール家でおせわになっている半野良にゃんこさんで、カイカさんはひょんなことから、マクドール家にいそうろうをしている野良にゃんこさんです。

こにゃんことも(やや)仲良しさんな2匹ですが、デートはデートなのです。

こにゃんこ的にはじゃまをされたくないようすでしたが…

(はっ! でもこれはもしや噂のWデート!?)

キュピリーンとこにゃんこのめが野生の色をとりもどします。

「遠足っ皆で行きましょうーっ♪」

でもあくまで可愛らしくこにゃんこはいいます。

「オレは別にどっちでもいいケドな…」

「…(♪)」

テッドにゃんこが視線をうつした先には、カイカにゃんこが薄い茶のしっぽとみみをゆらす姿がありました。

表情はまるっきりかわっていませんが、とても遠足にいってみたいようすです。

「よーしっ!決まりですね! なら早速出立ですーーー!!」

カナタは、げんきいっぱいにそうせんげんして、外へととびだしたのでしたが。

 

 

 

ゴゴゴゴォオオオゴオォオッ

 

「ざあ”ああああっ出発でずよー!!;」

「素直に日取りを間違えたって言えよ…」

ビュゴオオオオオオッと北風がふきあれるくもり空のした、こにゃんこは半泣きでせんげんをしていました。

にゃんこらしくさむいのがニガテなカイルにゃんこは、身をちぢめてさむさにたえるばかりです。

「ヤです! 行くんですーーー! ―――なるべく暖かい場所へっ!」

こにゃんこは寒さのためでしょうか、こうふんのせいでしょうか?みみのさきからしっぽのさきまで、茶トラの毛並みを逆立てていますが、それでも行く気はなくならないようでした。

どうあってもデートにいきたいようです。

こにゃんこがいちどそうと決めたら、てこでも意見をかえないとしっている一同は、にゃんこのほんのうに逆らって、玄関さきからさむいさむいおそとへと一歩あしをふみだします。

 

 

 

「寒…寒っ…寒ッッ!;」

いくら、半野良にゃんこさんといえども、テッドにゃんこも寒いのはキライなようすです。

「…」

「?;」

さむいさむいと言うテッドにゃんこのおとなりに、ピトッとカイカにゃんこがくっつきます。

カイカにゃんこもさむいので、暖をとるためにくっついてきたのかとテッドにゃんこは思いましたが、それはちがいました。

…なんとなく、風のあたりが弱まっています。そう、カイカが風上に立ってくれたようです。

カイカにゃんこは、ここよりもあたたかい場所でそだったはずで、猫一倍さむいのはニガテなはずでした。

その証拠に、ながいしっぽをピルピルとみじかくまるめてふるえています。

「この…バカッ! ………こっちにいろ」

「…」

オスにゃんこのプライドをくじかれて、テッドにゃんこは怒鳴りましたが…かおをまっかにして、カイカをじぶんを盾に、風下にいどうさせたのを見ますと、ただ照れているだけのようですね。

なんとなく良いふんいきです。

…そして、そのいちぶしじゅうをみていたにゃんこが1匹…

 

(それです!)

 

こにゃんこはふるえる黒にゃんこの元へダッシュします。

どうやら、こにゃんこもさむさから黒にゃんこさんをまもってあげて、ラブラブしたいようですね。

 

「カイルさん!」

ビューッ!

ころんっ

「僕のっ」

ビューッ!

ころころっ

「後ろにーっ!」

ゴーッ!

ころころころころっ…!

 

…こにゃんこカナタは、つよい風にとばされ、にゃんこにちかづくたびにぺいっと転がされてしまいます…。

「うわーんっ!(泣)」

「大丈夫?;」

地面につめをたてながらころがっているこにゃんこに、カイルさんは手をさしのべます。

「…あ。あったかい…」

「! ほんとですかーっ!? じゃあv手繋いで行きましょうー!」

こにゃんこ特有の体温のたかさに、にゃんこは笑顔をみせました。

そして、その笑顔でこにゃんこもすっかりごきげんがなおりました。

 

…なんとなく、さむくてもほのぼのとした、あたたかい空気になっています。

 

 

ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!

 

 

…でも、そんなときでもおかまいなしに、冬のさむいさむい風はやまないのです。

今までで一番おおきい、台風かとおもってしまうようなこのふゆいちばんの大きな風に、にゃんこら4匹は「に”ゃーーー!」ととばされてしまいました。

そして、そのまま風にあそばれるまま、ころころとおうちからどんどんと転がっていってしまいます。

「あ”あ”っ!!; 坊ちゃんーーーーー!?こんな風の中一体どこへ行かれるつもりですかッッ!? 坊ちゃんーーーーー!!!;」

 

ようやくじたいにきづいた付き人さんの絶叫がひびく中、さあ!えんそくのはじまりです!

4匹はぶじにおうちにもどることができるのでしょうか?

 

 

 

にゃんこなリクが多かった(?)ので、やってみました。(笑)

ピクニック…春にやればよかったと多少後悔を…(爆)

お弁当はないので現地調達の方向でっ!