再び過去編!
マクドール邸のある昼下がりのことです。
「…にぃ〜…」
おきにいりのふわふわ毛布の寝どこから、かわいい黒いみみとしっぽをのぞかせて、こにゃんこさんなカイルはおひる寝からめがさめました。
まだまだちいさいこにゃんこさんは、おおきくなるためにもいっぱいおひる寝をするのですね。
でも、それとおなじくらいにあそびもいたずらもします。
「…に〜?」
パチッと目をひらきますと、黒こにゃんこさんさんはみみをピーン!とたたせておっきしました。
まだおひる寝をしているじかんですから、まわりに付き人さんたちはいないようです。
おみみをピクピクさせてうかがってみると、グレミオさんはおやつつくりのまっ最中、クレオさんは居間でどくしょ中、パーンさんはおるすのようです。にゃんこのみみはよいおみみなのです!
さっそく黒こにゃんこは、よちよちとおぼつかないうごきでたちあがりますと、ゆっくりあるきだします。
こうきしんいっぱいなおとしごろのカイルさんは、1匹(ひとり)でたんけんが大好きでした。
なので…
「ぼっちゃ〜ん、そろそろおっきしませんか〜? おやつの甘いミルクが出来ました…よ?」
黒こにゃんこのいないぬけがらのもうふをみて、グレミオさんは硬直します。
かわいい黒こにゃんこのカイルさんは、家にゃんこさんです。
お外デビューはまだなのですが、おうちの中だけでもまだちいさい黒こにゃんこさんにとっては、とても広いテリトリーでした。
(きょうはなにをしようかなぁ?)
うにゃっとくびをかしげてかんがえます。
黒いしっぽをみぎへひだりへ…ぴこぴこぴこ…ぴたっ!とそのしっぽがとまったとき、黒こにゃんこはおもいつきました。
「に!」
そうだぼうけんしよう!と、
ちかごろ黒こにゃんこさんは、おうちのなかの探検にこっていました。―――このようなことがありましたので、マクドール家でこにゃんこカナタがたしょうムチャな探索をしてもおこられないのでした。
黒こにゃんこのむかったさきは、かいだんです。
かいだんのうえには、カイルさんのおきにいりのばしょがあるのです。
だれもつかっていないへやの、カーテンのうらがわは、黒こにゃんこさんのちょっとしたひみつの隠れ家なのです。
でも、その場所にいくには、いつも付き人さんのだれかにだっこをしてつれていってもらっていました。
黒こにゃんこさんはまだひとりでかいだんをのぼったことはありません。
「にぃ!」
そこできょうは、かいだんをひとりでのぼってみようとかんがえたようです。
じぶんのあたまのうえにみえるかいだんの縁に、えいっ!とてをのばします。
おちないように、しっかりとツメをたてて、かたあしをよいしょとかいだんのうえにのばします。
(できた!)
ピーンとみみとしっぽをたてて、とくいげな黒こにゃんこさんです。
いちどコツをおぼえたら、黒こにゃんこさんはじょうずになんでもできるのです。
とはいえ、まだちいさいちいさいこにゃんこさんなので、かいだんをのぼるさぎょうはじかんがかかってしまいます。
(もうちょっと〜…)
ちょうじょうまであとちょっと!カイルさんがりょうてで縁につかまってみあげていたとき………
「ぼっちゃん!!!;」
「に゛ゃ!」
付き人さんにみつかり、すってんころり!
まっさおになったグレミオさんのうでのなかにちゃくりくです。
「ぼっちゃん…!(怒)」
「ぐぇみぃょ…にぃ〜っ」
ちいさくないて、おこられるよりさきにゴメンナサイとしっぽをくるんとおなかのほうにまるめます。
………………これではおこるにおこれません。(甘やかし)
でも………
「これがそのぼっちゃんが残した階段の傷です、ぼっちゃんの成長の証に残してあるんですよ?」
「わーっ♪ちっさい時のカイルさんの爪痕ー!ちっちゃいです!細いです!何か感動ですー♪♪」
「恥ずかしいから、(昔の話をするの)やめて…///;」
おおきくなってから、想い出話としてはずかしいおもいをさせられてしまいました。