新たなる生命の神秘編!〜後編〜

 

 

 

カイカにゃんこのもしやもしやの、妊娠ぎわくにいちばんあわてたのはテッドにゃんこでしょう。

 

「…どうりで、外でコイツらと暴れなくなったと思ったら………(怒)」

 

(元)こにゃんこをボコボコにしたかえり血をあびながら、テッドさんはプルプルといかりをおさえます。

しっていてだまっていた(元)こにゃんこには、さすがに黒にゃんこさんも親友にゃんこがボコボコにするのをとめられませんでした。(むしろとめませんでした。)

…むろん、ちびにゃんこたちの目は手でおおっていましたが。

「テッド…;それよりも、カイカさんを捜しに行かないと…」

「ああ…」

カイカにゃんこさんにホントウにこどもができたのか?もしできたのならなぜ逃げたのか?というぎもんを、かんがえるのは後まわしにし、ひとまずみつげだすことをさきにします。

「カナタ、何か知ってる?」

「えーっと〜;そうですね〜;」

はっきりきっぱりいわないと、またボコボコにされかねません。れんあいがからむと、人(にゃんこ)は人がかわるものなのですから。

我が子らのまえで、これいじょうボコられるのは、パパにゃんこの名にかけてみとめるわけにはいきません。

「そりゃお産の為に実家に戻ったんじゃないですか?」

「実家?」

(元)こにゃんこのことばにはんのうをみせたのは…

 

「あ」

 

(カイカにゃんこ失踪というじたいに、気がどうてんし)すっかり、カイカさんがとなり街からの流れにゃんこということをわすれていたテッドさんです。

 

 

…そして2匹のちびにゃんこは目かくしをされていても、『わざとないしょにする=ボコボコにされる』という方程式をしっかりとおぼえてプルプルしていました。

 

 

 

 

 

となり街は、うみのちかくの街なのでしょう。潮のにおいがふわりとにゃんこたちのはなにとどきます。

 

「海が近くにありますね!」

「うみー!」

「うみ?」

 

………そして、しんけんに辺りをみまわすテッドさんのはいごで、のんきなこえがひびきます…。

テッドにゃんこだけを行かせるのはしんぱいだった黒にゃんこさんがついてきたので、カナタはもとよりちびにゃんこもいっしょにきているのです。

めだつことこの上ないですね。

もしカイカにゃんこがあえて自分からかくれているのなら、すぐににげられてしまうことでしょう。

「……………」

そんなことをかんがえて、ふたたび落ち込むテッドです。

たしかにいまだ告白はしていません。

それでも子供ができたからといってにげだされるくらいに甲斐性なしだとおもわれていたなんて…。

子供ができるとかできないとかいうじょうしきはこの際さておき、とてもショックです。

 

「わっ!可愛い子供!」

「この辺りでは見ない顔ですね、」

 

そんなとき、ふいにあかるい声がひびきます。

どうやら、この街のにゃんこたちが、ちびにゃんこズをみてこえをあげたようです。

これが見知らぬ野郎でしたら、まちがいなくパパにゃんこがはいじょにはしったでしょうが、なんの下心もない女性にゃんこらがあいてでは、「我が子を褒められた!」とニコニコするだけです。

「「こんにちわ〜(…)」」

なかよくそろってあいさつをすると、あいてのにゃんこさんもますますえがおになってへんじをかえします。

「うわ〜可愛いー!」

「可愛いでしょう!僕とカイルさんの子供です!」

「どこから来たのですか?」

「隣街から…人を捜しに来たんです、」

「にゃがしにきたー!」

「さがにゅ…」

よゆうのないテッドさんは、だまったままそのやりとりをみつめます。

ここでさわぎをおこすのは、とくさくではないのですから。

 

「きっとカイカの子供も、この子達みたいに可愛いよね〜っ?」

「ええ、きっと。本当に楽しみですね」

 

……………。

いきなり手がかりにビンゴして、テッドにゃんこはかたまりました。

 

 

 

 

 

 

『あんたがカイカを傷物にした馬の骨ー!?ばかーっ!!早くカイカの所に行ってあげてよー!!』

『どんな理由があったとしても、責任をとって下さい。知らないなんて言ったら…』

 

などと、カイカにゃんこのしりあいだったらしいにゃんこらにののしられ、テッドにゃんこはすぐさまカイカがいるという家にむかうことになりました。

あんぜんにこにゃんこを産むために、しりあいのおうちにとまっているとのことなのです。(…むしろ、しぜんしゅっさんは身体のつくり上ムリなので、お医者さんのいるおうちにいかないと産めませんね♪)

 

「ここ…、か?;」

 

おしえられた道をきてみると、なぜだかヤシの木やらソテツやら、みため南国風な木がたくさんうえられたおやしきにたどりつきました。

しかし、南国風なつくりはともかく、とてもりっぱなおうちでした。

こんなりっぱなおうちにいるなんて…いったいカイカにゃんこは、どういった関係のあいてをたよってここにいるのでしょうか?

そんなばあいではないとわかっていながも、テッドにゃんこはピリピリとじぇらしーすとーむです。

 

「どなたかしら?」

 

そこへ声をかけてきたのは、金色の耳としっぽのにゃんこさんでした。

ととのってつやつやとした毛並みをみたところ、お嬢様にゃんこのようです。(もちろん、黒にゃんこさんやちびにゃんこズの毛並みもまけてはおりませんが。)

「すみません、人を捜しに来たんですが…ここにいると聞いたので、」

「きたのー!」

「捜しに…?」

ちびにゃんこを抱いたカイルさんがていねいにはなしかけると、めのまえのお嬢様にゃんこはけいかいをときました。

「そーです!このテッドさんが恋人に逃げられちゃったので皆で追い掛けて来たんですよ☆」

「かいかにゃ…どこ?」

 

そのことばを聞いたとたん、金色にゃんこ嬢は、ぐわあっ!と目をみひらき、テッドにゃんこをひっつかみました。

 

 

 

 

 

しつらえられた産やのまえ…

テッドにゃんこはがっくりとひざをつきました。

 

「…………間に合わなかったかっ;orz」

 

すでになかからは、ぉにゃぁ…ふにゃぁ…と、ちみにゃんこがはじめてのこえをあげるのがきこえていました。

そうです…テッドにゃんこは、ふめいよにも、―――――お産にたちあえなかったパパにゃんこの称号をえてしまったのです。

 

 

「わたしとカイカは…そうね、兄弟みたいな関係かしら? なんだか弟みたいで放っておけなくって」

「そうそう! だからカイカが子供を産むって言った時にも家に連れて来たんだよね?」

「さすがに子供が出来たと聞いた時には驚きましたが…」

 

いまこのおやしきは、お産中につきオスにゃんこのでいりはきんしされているのですが、(元)こにゃんこと黒にゃんこさん(とちびにゃんこズ)はとくべつにお家のなかにおよばれしています。

さきほど出会った2匹のにゃんこさん(ジュエルとポーラというなまえでした)もいっしょです。どうやら2匹は、カイカにゃんこのしりあいで、その代表としておやしきにおみまいにきているようです。

「それに、まさかずーっと隣街に行ったまま戻って来ないなんてねー?」

「戻って来たら来たで、子供が出来ててビックリって訳ですね!―――で、何だか昼メロ展開な感じなのに、あっさりテッドさんをカイカさんに会わせてあげた理由って何ですか?」

あっさりということばに、親友にゃんこが女性陣にいわれたことばの数々をおもいだし、すこしかおをひきつらせる黒にゃんこさんです。(ちなみにちびにゃんこたちは、つかれてしまったのか、ママにゃんこのひざのうえでおねむの時間です)

カナタのことばに、3匹のにゃんこさんはかおをみあわせ、そしてほほえみました。

 

「だってカイカ幸せそうだったから!」

「そうね、嫌で逃げ出して来たわけではなさそうだったし…」

「相手の方も遊びだとかそういった様子ではなさそうでしたから。」

多少風当たりが強いのはご愛嬌!

と、3匹はいいます。

「あはは〜♪むしろ、ラブラブじゃないって思ってるのは、本人だけじゃないですかー♪」

「……………(汗)」

すきかってないわれように、カイルさんだけが親友にゃんこのことをおもいやります。

………でも、はやくすなおに告白ればいいのにともおもっていました。

 

 

 

「てっど。」

まだ麻酔がからだからぬけていないのでしょう、カイカにゃんこはほやほやと笑いながら床についたままテッドさんをよびます。

そんな(こどもまで産んだのに)あどけないようすに、テッドにゃんこはためいきをつきます。安堵なのかそうでないのかは、じぶんでもよくわかりません。

というか、べつにあいそをつかせてにげられたとかそういう感じではないようです。

まあ、そのことにかんしましては、ほっとしましたが………かんじんのかけることばがでてきません。

あー、とか、うーとかいってテッドにゃんこは、わしわしとカイカさんのあたまをなでます。

「…お疲れ」

てれたようなそのことばに、カイカにゃんこはうれしそうにしました。

 

 

 

で。

 

 

 

「………………ホントに俺の子なのかッ!?;」

 

いのちしらずなぼうげんをさけんでいる、しんまいパパにゃんこテッド…。

そのまん前には、みごとな金色の毛並みをしたこにゃんこのすがたがありました。

うまれたてながらも、かわいらしいかおだちをしたこにゃんこは、とてもとてもあいらしいのですが………なんといいますか、テッドさんもカイカさんも色素はうすいのですが、金色とまではいかないのです。

むしろ金色なのは………

「テッド…;(それはさすがに言っちゃいけないと思うんだけど…;)」

「わ〜女の子ですね〜♪ 名前はもう決まってるんですかー?」

「『ふれあ』。」

「あらv」

「更に疑心暗鬼に陥るような名前を付けるなーッッ!!(怒汗)」

 

「かわいい〜」

「ちいしゃい…」

テッドにゃんこがどなる中、ちびにゃんこらだけがほのぼのとしたこうけいをくりひろげていました。

どうやらテッドにゃんこのくろうはまだまだつづくようです…。テッドさんに幸あれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ていうか生き別れの姉弟とかじゃないですか?(フレアさんとカイカさん。)」

「あ」

 

 

 

無事出産です。(笑)

失踪した理由に関しては、語られておりませんが…

 

「「びっくりさせるってゆってた!(…)」」

 

な感じです。(吐血)

 

 

ちなみに、うまれたお子さんの名前には、ちゃんとテッドさんとカイカさんの名前を入れてます。

どうでもいいのですが、本名をフレイティア嬢と名づけたらしいカイカさん。

テッドさんの『テ』とカイカさんの『イ』が入っているのですね。(笑)