けっこん編
ある日のことです。
「カイルさんカイルさん♪」
こにゃんこカナタが、とてもうれしそうに耳をピーンとたてて、マクドール邸にかけこんできました。
茶トラもようのしっぽもふりふりと、黒にゃんこカイルのもとへはしってきます。
いつもこにゃんこのきげんというものは良いのですが、この日はいつもよりも良いようでした。
「?」
黒にゃんこさんも、少しぎもんにおもったものの、うれしいようすなのは良いことですので、とくに気にせずこにゃんこに「こんにちは」のあいさつをしました。
「カイルさん!四葉のクローバーです!」
「あ…本当だ、」
こにゃんこは、あいさつもそこそこに、いきなりそう言いました。
しっかりと手ににぎったクローバーは、たしかに四葉です。
「受け取ってください!」
「え?いいの?」
「はい♪」
四葉のクローバーを、クローバー畑のなかからみつけだすのは、すこしの苦労ではすみません。
それを黒にゃんこにおくるために、こにゃんこはみつけてきたようです。
「…ありがとう、」
と、黒にゃんこはうけとりました。
…うけとってしまいました。
「―――――」
「………カナタ?」
「っやったーーーー♪これでカイルさんと結婚ですー♪」
!?
こにゃんこのせんげんに、黒にゃんこは何ごとかと耳もしっぽもビビッとたてせました。
「え???;なんで???;」
「四葉のクローバーと言えば幸福を呼ぶ!イコールプロポーズにもってこい!つまり受け取ってもらえたら結婚する!…って昨日ナナミと考えてみました!」
「え?;…ええ!?;考えたって…;」
おもいっきり自作自演のようです。
「え??やっぱり前例のあるたんぽぽの花の方が良かったですか??」
「っ??;」
某絵本のネタのようですが、アレはうさぎのうえに、そういったやりとりではありません。
「シロツメクサの花冠なら作ってきましたけど♪」
「そうじゃなくて…っ;」
ぽすっと白い花かんむりをのせられ、黒にゃんこさんはひっしにいいつのります。
「結婚は…;」
「僕と結婚が嫌なんですか!?;」
ガーン!とこにゃんこは、あえて涙目でショックをうけます。(というか、ショックをうけたようすをみせます。)
「えっと…嫌じゃない、けど…;」
「じゃあいいですよね♪」
押しきられました。
ぎゅーとだきつかれては、黒にゃんこさんにはうなずくことしかできません…。
その日はそれから四葉のクローバーのけっこんゆびわと、シロツメクサの花かんむりで結婚式ゴッコになりました。
ほほえましさとはうらはらに、この日のけっこんがほんとうのけっこんしきとしてにんしきされているのは、言うまでもありません…。
そのじじつに、黒にゃんこさんが気づくのは、こにゃんこがもうすこーしおおきくなってからのことでした。
(ふとリクにあった結婚話などを…
相変わらずのノリです。;
)