鬼ごっこ

 

ヒュ〜 ッ

 

冷たいこがらしがにゃんこ達の身体を撫でてゆきます。

(寒い…)

にゃんこは身体を縮こませながら、歩いています。

ムリヤリこにゃんこに連れ出されましたが、怒ってはいないようです。

 

「カイルさんッv鬼ごっこしましょう♪」

「…うん」

うきうきと楽しそうにこにゃんこが尋ねます。

その様子を微笑ましく思い、にゃんこも微笑んで返事を返しますが…

「わ〜いvvvじゃあ、僕鬼やりますから、カイルさんつかまったら、僕のお願い何でも聞いてもらいますからね♪」

「なんで!???」

「じゃあ、10数えたらスタートですvい〜ち…」

相変わらず、こにゃんこは人(ねこ)の言う事を聞きません。

こうなれば、にゃんこも逃げるだけです。

が、そこへ唐突に声が響き渡ります。

 

「ちょ〜っとまったーーー!!!」

 

「はっ!その声はッッ!!」

「?」

にゃんこには聞き覚えがないようですが、こにゃんこにはあるようでした。

 

「ジョウイッッ!!」

 

そうです、こにゃんこの親友にゃんこ、第一話から食あたりで倒れていたジョウイその人(ねこ)でした。

ようやく復活したようです。

毛並みの整った金色の耳としっぽが今は怒りによって逆立っていました。

「カナタ!君のおかげで回復が今日まで遅れたさっ!!」

どうやら倒れている最中もナナミの料理をえんえんと食べさせ続けられていたみたいです、いつもはこにゃんこが何とかするのですが、こにゃんこはソレどころではなかったので放置されっぱなしだったのですね。

「…生きてたんならいいじゃないか!」

こにゃんこ、死ぬまで放っておくつもりだったのでしょうか?

「!!!!(怒)一一一一一一一一一一一?」

ジョウイにゃんこはようやく、にゃんこの事に気づいたようです。

ふと目があったにゃんこはよくわからないながらも、無敵の花のような笑顔で微笑みます。(←無意識)

 

「!」

「?」

「!!(怒)」

 

「カナタ一一一一一一一…」

「…何?」

不機嫌丸出しでこにゃんこは答えます。カナタの嫌な予感はどうやら適中なようで、

 

「この勝負僕も参加させてもらうーーーーーーーーーッッッ!!!!!(燃)」(←話を聞いていた)

「望む所だーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!!!(激怒)」

 

「な、なんで???」

にゃんこはどっちらにしろ逃げなければいけないようでした。

 

 

 

「そ、そんなことがあったのか…」

隣まちまで逃げてきたカイルは、シードにゃんこのところに避難していました。

話を聞いたシードは他人(たねこ)事のように思えなくて、真紅のしっぽをゆらゆら揺らしています。

「はい…」

にゃんこは疲労しているようで黒みみをへにょっと垂らしていました。

「なあ、クルガン…」

シードにゃんこはどうすればいいか隣にいるクルガン氏に聞こうと思いましたが、聞けませんでした。

なぜなら永年付き添ってきたものにしかわからない程の笑みを口の端に浮かべていたからです…

それもとびっきりの鬼畜笑顔でした。

 

「ソレは、おもしろそうだなシード、」

 

その言葉が合図になったのか、シードにゃんこは飛び起き、にゃんこを小脇に抱えて逃走し始めました。

 

「逃げるぞぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッッ!!!(泣)」

ギャ〜ッと叫びながらシードにゃんこは遠ざかって行きます。

最近ちょっと知恵がついてきたようです。(失礼)

 

しかしながら、カイルに人(ねこ)権はないようですね、

 

                               続くv