よくワカラナイ話。ギャグからシリアスへと突っ走るなぞのリレー小説でした。

 

「ユ・ノ・さ〜んv遊びましょー!」

どこぞの小学生が、遊びに来たようにオレンジドラゴン軍リーダーカナタが微妙なアクセントで挨拶後そう切り出した。

かなり唐突だ…。

場所はグレッグミンスター、マクドール邸2階左端の部屋…の『窓』。

少年は、ブラーンと窓枠からぶら下がっていた。

この部屋の主ユノ=マクドールは少年の登場の仕方に少々驚いた顔をしたが、それも一瞬の事で、すぐにいつもの笑顔に切り替えた。

「珍しいね、一人?」

「一人です〜♪カイルさんがよーじで遊べないって言うんでみんなに外で遊んでこい〜!って追い出されました〜v」

あはははは〜!とのんきに笑ってはいるが、きっと物凄いことをやらかしたに違いない…そう考えを巡らせつつ、この突然の来訪者を拒否する理由もないユノは、

「そう、じゃあ僕で良かったら相手するよ」

心良く少年の窓からの侵入を許した。

「わ〜い!おじゃまします〜♪」

腕の力だけで上体を持ち上げると、軽々と室内に入り込む。

 

「ほえ〜」

何となくカナタは辺りを見回した。

こ綺麗に整頓された本棚には、何やら難しい本が隙間なく並べられている。 その他にあるのはベッドのみで、この部屋が長年使われずにいた事を物語っていた。

必要最低限の物しか置かれていない、無機質な部屋。

「さて、何して遊ぼうか」

「なんでもいーです〜♪」

その事に気付いていないのかはわからないが、カナタはいつもの調子で話し掛ける。

座る場所が見つからなかったのか、ぼすっとベッドに飛び乗り子供特有の笑顔でユノを見上げた。

表情からはえへへへ〜vとしか読み取ることしか出来ない。おそらく何も考えていないのだ。

ユノもカナタの隣へ腰を下ろし、同じく笑みを漏らす。

「何でもいい、かぁ…じゃあ、グレミオでもからかいに行く?」

真っ直ぐに瞳を向けるカナタに、ユノは人の良さそうな微笑みを浮かべた…。

そーですね〜とカナタも言葉を続ける。

「それもおもしろそうですね!あわよくば晩ゴハンつまみ食い出来ますし〜v」

愉快犯である。

「それじゃあ、いつもよりダイレクトにいこうか」

ユノの顔にも、昔そうであったであろうイタズラっ子の笑みがあった。

「バレナの香辛料に、カララギの葉っぱも入れた方がいいですかねぇ〜。それで数10分煮込む…っと♪」

一階の台所では、グレミオが新しいシチュー作りの為に奮闘していた。

「目標発見で〜す、ユノさんっ!」

小声でカナタはユノに呼び掛ける。

その手には大量の『爆竹』が握られている、

 

『グレミオさんには怨みはないんですけど、暇潰しの相手になってもらいます〜ユノさんノリ気ですし。』

きらりと少年の目が光る…。

「それじゃ、さっき打ち合わせた通りに…ね」

そういうユノの手にも、数個の煙幕弾があった。

「ふんふんふ〜ん♪」

グレミオの鼻唄がこちらにまで聞こえる程、2人はお互いの気配を消す。

コン…と、ユノが持っていた煙幕弾で壁を叩く。それが合図だった。

「てー!!!」

カナタは勢いよく跳躍すると、手にある爆竹に火を付けた。ちなみにジャンプに意味はない。

「うわ!?なんですか…!?(汗)」

グレミオが振り向いた瞬間物凄い音と煙があがった煙の方は、ユノの援護攻撃だ。

「こ、このいたずら(?)はぼっちゃんの仕業ですね!?」

犯人が分かった所で、グレミオには対処の仕様がなかった。

足下では爆竹が大量に火花を巻き散らしながら踊り、天井には色付きの煙幕がもうもうとその姿を広げている。その場から動きようがないのだ。

「坊ちゃん! 今回という今回は許しませんよ〜!!」

しかし、今晩の夕飯である新作シチューだけでも守らねば、と裏口の扉を開けようとした。

が、既に摘まれていた。

「いただきま〜す♪もぐv……むぐ!(汗)」

スプーン(味見用)を口に加えたままカナタは固まっている。

「あれ…カナタ君じゃないですか。と、いうか…劇薬のカララギの葉っぱを入れたのは、やはり間違いだったでしょうか………」

裏口の扉を開けたおかげで煙幕は消え去り、スプーンを加えたままのカナタの姿が現れる。

かたまったままの彼を見て、グレミオはイタズラを叱るよりも先にシチューの味見をしたカナタの身体を案じた。

確かに、カララギの葉は毒ではあるが即効性の物ではなかったはずだが…と訝しく思うがそれはすぐにその謎は解ける。

少年の絶叫で…

 

「かっ、辛いですーーーーー!!!!!(泣)」

 

そう、カナタは辛い物が弱点であった。

「えっ、えっ、どうしましょうっ!!」

グレミオはただオロオロするばかり。

燃えるように熱を発する口を抱えたまま、カナタは自分の身の危険を感じずにはいられなかった。

「くわあああああああ!!!!!」

開いたドアへとダッシュする。

ざっぱ〜ん 遠くから水音が上がった…。

 

 

 

 

 

「あ〜やっぱいたずらって命懸けですよね〜。」

平和を現すように、鳩が群れる噴水前のベンチに腰掛けてカナタがいう。

全身びしょ濡れの体だ。

しかし、毒が効いている様子は全くなかった…。これは後天的な特異体質と言えるだろう

「ね!ユノさんv」

目の前の青年に話し掛ける。

「楽しかった?」

ユノは無傷のまま、いつもの笑顔を携えていた。

どちらかというと質問したユノの方こそ、とても楽しそうに見える。

「はい♪けっこー楽しかったです〜vvv」

ニコッ笑ってと答える、

 

「……やっぱマクドールさんには笑っていて欲しいですよね…」

 

一人ごちるような言葉は、この少年の普段は見せる事のない深い部分から響いてきているようであった…。

 

「…もう、自分の家にお帰り」

自分の居場所へ…そう言わんがごとく、ユノは再び笑顔を送った。

それぞれの居るべき場所へ…。

 

「………そうですね、」

カナタは立ち上がる。

 

「帰ります、自分の『家』に…」

 

表情はいつもと変わらぬ、子供らしい笑顔………

しかし―――――…

「最後に一ついいですか?」

真っ直ぐに見つめてくる大地の色をした瞳…、

 

「貴方の傷は癒えますか?」

 

いつか―――――

例え遥かな時がすぎたとしても…

いつか、 いつかは癒す者に出会えますか…?

 

「僕達はもう出会ってるハズだけど?」

 

多くの仲間…

友と呼べる者…

そして…―――

 

「また、会おうね。次は君の大切な人も連れて」

「はい♪」

少年は満面の笑顔で返事を返すと、振り向かずに走って行った…。

 

 

 

 

 

〜エピローク〜

 

「カナタ、」

「カイルさんー!用事すんだんですか〜〜〜vvv」

うん、と答える愛しい人に抱き着き、頬ずりを送る。

「どこか行ってたの…?」

「はい!それに良いこともあったんですよ〜!」

「?」

 

しあわせに出来ることが解ったから…

 

 

 

はい。変更無しに載せました。

凄い事になりました。

海月さん、携帯購入してこういう事になったようです。

ははははは。第2弾もやってますよ。(汗)

まあ、とりあえず、ここに置いておこうと言った次第でございます。