コレガ全テノ始マリ。

 

 

 

 

 

「――――…」

 

微かに鼻に付く錆びた匂い。

血の匂い……。

それはいつの間にか嗅ぎ慣れてしまった匂いで………

 

 

 

乾いた風が砂を巻き上げ、砂埃が舞う。視界を曇らせるまでに立ち込めた砂は、その場に立っている者が2人である事しか示さなかった。

 

「…………ぁ」

バンダナをつけた少年は、こわばった表情で何か話そうとするが、擦れた声が洩れただけだ。

「…………クッ…」

 

―――――――――何故か、無性に可笑しい

 

「あはははははははは……」

 

血の付いたトンファーが手から滑り落ちた。乾いた笑い声が止まらない。

少年の手には完全となった紋章が確かに宿っていた………

その場に満ちる笑い声…………。それに堪え切れないように、もう1人の少年がぎこちなく口を開こうとした………………その直前、笑い声がピタリと止まった。

 

「カナ……」

「――――――――――なんか、僕戻らないといけないみたいです、」

 

言葉を遮るように少年は口を開いた。

 

 

乾いた風が頬を撫で、通り過ぎてゆく、

唇が言葉を形作る…

 

「さよなら」

 

告げられた方の少年は、戸惑いもなく頷きを返した。

 

「さよなら…」

 

 

言葉は風の中に消えていった………。

 

 

 

 

 

 

-1-

 

元々何も持っていなかった――――――…そう思えば楽だ……。

きっとそうに違いない……元々何もなかった。

身体の中に澱んだ塊が広がる…

 

 

「――――――――国王様ッ!」

「……………」

 

フッと意識が戻る。どうやら又考え事をしていたらしい。

近頃――――…いや、ずっと以前から、すぐにそんな状態になる……。

それにしても―――――…

 

辺りに満ちる煙…

そして、肉の焦げる匂い……

 

よくこんな所で考え事が出来た物だ…。自嘲気味な笑みが洩れた。

「ここはもう燃え尽きます、お早くお戻り下さい」

「わかってる、先に退避を」

「はっ、」

何の疑問も抱かずに、ただ兵は命令通りに動く……。

 

こんな僕に従って――――――…?

 

少年の顔に更に笑みが広がった。

ガラガラと近くに柱が崩れ落ちる。

「…………」

少年は眉一つ動かさなかった。飛んできた火の粉を手で払うと、更に奥へと進む。

―――――切り捨てられ、焼け焦げた死体。

「―――――全部、僕がやった…」

クスクスと笑い、すでに使い慣れた剣に触れる。柄にまで血がこびりつき、それはもはやとれる事はない程に…。

 

目の前はただ真っ赤だ………!

 

――――――ガラッ…

また、ただ建物が崩れた音だろうとは思った…………でも、何となく振り返ってみたくなった。

 

 

「ヒッ………!」

 

 

「…………」

人。まだ残っていた。

小さく声を上げ、恐れるようにしてこっちを見ている。まだ幼い………

どうして逃げていないんだろう?

そんな疑問を抱きつつ、少年は近付いてみた。

「………………あぁ、」

落ちてきた瓦礫に足を挟まれ、動けなくなっていたんだ。―――――どうでもいいケド…

「…………」

「助けっ………て……!」

震える声でそう子供は懇願してきた。潤んだ黒い瞳――――…いや、灰色か?

不意に過去のあの人を思い出した………

昔、とても大切だった人――――――…

 

フッ……と少年の口元に笑みが浮かんだ。

 

「それでも……」

「っ………!?」

 

 

「今さらですよね――――――?」

 

 

少年は腰につけていた剣を引き抜いた

 

 

 

 

 

少年の名は『カナタ』――――――――………8年前、ハイランド王国を打ち倒した『英雄』…。

 

 

 

 

 

 

-2-

 

「国王殿はまだ戻らんのかッ!?」

「はっ、まだ民家の中に残っておいでです」

神経質そうな、長髪の軍師が叫ぶ。頬にはわずかに皺が目立ち始めているが、全身から放たれるオーラは衰えを見せてはいない……。

「ちぃっ………あの方の事だ、心配はいらんのだろうがっ…!軽率にも程がある………!」

イライラとそう一人ごちる。

 

 

同盟軍が勝利し、平和が戻ったのもつかの間……。五年程しか経たぬうちに、ハイランドの残党が動き始めたのだ……。

新たな戦乱。

そして、彼等の国王自体が領土を広げる事に積極的になった…。

それは彼等にとっても望ましい事だったのだが――――…

 

 

「遅いっ―――――…」

「―――!出てこられました!」

そう大きくもない民家が燃え尽きる瞬間に、中から少年が出てきた。

炭と泥に塗れても、凛とした鎧をつけた少年だ。

カナタは近くまで来ると、ただの儀礼とばかりに口を開く。

「遅くなった、」

「―――――何をしていらっしゃったのですか?」

「別に、」

特に会話を続けようとも思わず、軍師―――、シュウは伝令を辺りの者に伝える。

「国王殿が帰還、今すぐ帰城する。」

短い返事をし、数人の兵士が礼を取ると、それぞれの受け持つ隊に命令を伝えに戻った。

「国王様、お乗り下さいませ」

一人の兵士が待ち構えていたように、少年の騎馬の手綱を手渡す。

「、ありがとう」

「いえっ」

カナタはその者に子供らしい笑顔を向けて、礼を言った。

過去から一つも変わらぬ姿――――――…

それなのに、人々が恐れを抱かないのは、この笑顔の為だろう。

「はっ!」

すばやく騎乗すると、カナタはキッと前を見据える。

 

「――――――この戦いは、我等の勝利だ!皆喜び勇み凱旋せよ!それから―――一刻も早く、家族の者に無事な姿を見せよう!全軍進行!!」

 

熱気と歓声に包まれ、兵達は進みだす。

戦闘に位置する少年の姿………。

騎馬はそれほど秀でた外見を持つ訳でもないのだが、少年の髪と同色の毛並みが、絵画のような輝きを見せていた。

―――――シュウはその姿に満足げな笑みを見せる。

「見事になられた物だ…」

そして、隣につこうと、自らも馬に鞭打ち速度をあげる。相手は本気で速度を出していない為、追いつけない距離ではなかった。

 

「―――国王殿、」

「………」

特に何か用があって呼び掛けた訳ではなかったが、シュウはふとした事に気付き、質問を投げかけた。

「剣はどこへ…?たしか、帯剣されていたはずでは?」

 

 

――――――――――ふいに、少年は形容し難い笑みを漏らした。

 

 

「使い物にならなくなったから、捨てた」

 

決して、過去には見せなかった表情――――――…

 

 

その『頼もし気な』表情に、シュウは更に満足した。

 

 

 

 

 

 

-3-

 

―――――――ピシャッ……

 

水が跳ねた

―――――――――いや、少女…少年?どちらとも判断のつかない人物から滴り落ちた雫の音らしい。透き通 るまでの白い肌が薄闇の中でほのかに光を放っているように見える。それを更に目立たせるような漆黒の色合いの髪は、背後の闇に溶け込んでいた。

―――掌に透明な水をすくい上げ、落とす。

それを繰り返し続ける。

「…………」

中性的な雰囲気を持つその者は、緩やかな動きで、澄んだ泉の中で水浴びをしているようだった。泉自体はそれほど深い訳でなく、腰の辺りまで浸っているだけだった。周囲には、数匹の小動物たちが、何事かと覗き込んでいるような仕草で集まっている。その内の一匹が動きを見せた。

「キッ、」

「、」

中央まで伸びた枝から一匹のリスが伝ってくる。少年は手を伸ばして、肩の上に乗せてやるが、それでも表情は変わらない。

少年はまったくの無表情だった―――――――…

 

「―――――だ―…から――――」

「―――いや…今―――塩が売りだろ―――」

 

「………」

人の気配と声、

それを敏感に察知すると、その人物は素早く泉の中から上がり、薮の中に身を隠した。―――その中に、服喪おいてあったらしく、独特の赤い服装と白いTシャツが畳まれていた。半袖の上着にだけ手を通 す。

集まっていた動物も素早く辺りに散った。

 

「―――――――ふう、ようやく一息つけるな、」

「ああ。まったく…ここいらは人の通る場所じゃねえな。魔物でもでそうだぜ……」

商人風の男達が、重そうな荷を背に、泉のほとりまで歩いてきた。グルグルと巻きつけたターバンをつけた男と、口髭の生えた男。どちらとも中年以上の年齢の容姿だ。

ターバンの男が口髭を蓄えた男の言葉に、手拭いを取り出しながら答えた。

「そういや、近くの村でこの辺りは精霊がでるとかでないとかって噂があったなぁ?」

「よせやい、脅かしは無しだぜ」

本気で言い合っているのではないという事は、口元に浮かんだ笑みが告げている。

「まあそのせいだかどうかしらないが、ここらは野盗がでないだけマシってもんだろう?」

「ハハ、それはそうだ。」

本当に一息つくだけなのか荷を背から降ろさず、水で濡らした手拭いで顔を拭っている。

「―――――最近また、戦、戦で景気がどうも不安定でしょうがねえな…」

「こんな御時世だからな、あの国…元同盟軍本拠地辺りじゃ、景気はいいらしいがな。」

「あそこか…また大きくなるんだろうな。一度行商に回ってみるか?」

「もう少し落ち着いてからだな。まあ…あの王様ならそう時間はかからせないだろうが…」

「何せ、周りの国を全部併合してアレだけの国をおさめてる程手腕だしな。確か……そう、トラン共和国って所だけには進出してないらしいがなー…?」

腰をあげる。

「今回もまた戦に勝ったんだって?」

「ああ。また敵側の生存者は残さず、って話だ。」

「戦上手っていうのかねえ?軍神でも宿ってるんじゃねえか?」

「違いない、違いない」

笑いながら、手拭いをポケットに無造作に詰め込む。

今度は民族衣装の価格について何か語り合いながら、男達は立ち去っていった。

 

―――――静寂。

 

……………パシャッ…

 

「――――…」

 

再び泉の中に足を踏み入れる少年。

白いシャツに水しぶきが飛び、所々水を含み暗い色を放った。

呆とした視線が宙を見つめる。

 

「――――――…カナ、タ……?」

 

 

 

少年の名は『カイル』、トランの英雄と評された人物―――――――……………

 

 

 

 

「………ぁ……」

上手く声を出す事が出来ない。

ここ何年も人と話すという行為をしていないから、当然だった……。

 

忘れてしまった。

1人で歩く事も、独りで過ごす事も………

 

どうすればいいのだろう…………

 

「も…う、……ぁ…わない、って誓…た……か、ら………」

――――――でも、

 

「でも…?」

 

濡れた身体を拭い、服に手を通す。

ローブを羽織る、大分着慣れたものらしく、それには所々にほつれが見えた。

カイルはフードを深く被ると、棍を手に取る。わずかに除く唇が、微かに震えて見えた。

 

―――――一目見る事は罪だろうか?

 

黙ったまま、カイルは一歩足を進めた…

その結果何が起こるとしても、今のカイルには知る由もない事だった………

 

 

 

 

 

 

-4-

 

凱旋…

 

ザッザッザッザ……

 

重い足音が響く。幾日もかけて帰城する。周囲の者はそれを苦とは思わず、今この場所まで辿り着いていた。

………。

――――――戦地から遠ざかるに連れて、広がる平和の匂い………

それを自らの手で勝ち取ったのだから、足取りも軽いというものなのだろう。

 

………僕は?

 

幾ら洗い浄めようとも、身体に染み付いた血と鉄の匂いがとれる事はない………。平和の血に戻る度にそう認識させられる…。

―――それを苦と思う程馬鹿ではないが…

周りから聞こえる歓声は耳障りだった。

 

それを表情に出す事なく、少年は、周囲に向かって手を振る。

 

「今帰りました〜♪」

「国王殿、もっと真面目なお言葉を……」

そんな言葉でも、熱気に煽られた民衆には良い方向にしか受け取られない。

「まったく…いつまでも、お変わりないですな貴方は…、」

シュウは溜息を付いて、そんな言葉を漏らすが…

――――――――やはり、過去に比べると、どこか違和感のある表情だった。ほんの僅かに、だが…。

その歪みに気づけるものはいない……………たった1人を除いては…

 

 

「………、」

ザァッと乾いた風が砂を運び、一瞬だけ視界を曇らせた。

目の中に入るのを避ける為、顔を横に背けると予期せぬ人物が瞳に映った――――!

 

どくん、

 

モノクロの世界の中で、ただ一人色を放つ人………。

 

どくん…

 

顔を隠し、マントでその身を包んでいても解る………。彼だけが色を持っているのだから、

「!」

視線が自身を捕らえた事に気付いたのか、その人影は、人垣をかき分けるようにその場から立ち去ろうとする。

 

―――――逃がさない

 

「国王殿!?」

 

鞍から飛び下り、後を追い縋る。じん、と足の裏に痺れるような感触が走るが、間を空ける事もなく、カナタは走った。

 

 

重い鎧のせいで、思う様に身体が動かない。―――――でも、不思議と重さは感じなかった。凱旋途中に抜け出した事で、辺りは騒然とした様子を見せていたが、そんな事は関係なかった。

走り逃げる相手の動きも、追いつけない程ではなかった。

 

―――――人気のない狭い路地に走り込んだ時、我慢し切れずに相手の名を叫んだ

 

 

「カイルさん!」

 

 

「………」

一瞬、相手の動きが止まる。

すかさず、カナタはその隙に距離を縮める。足が地面を蹴ると鉄の具足とぶつかり、ジャラジャラと音が響いた。

少年は、相手の腕を掴みムリヤリ振り向かせる。その直後に、

 

ドスッ………!

 

鳩尾に拳をめり込ませた。

 

フードが外れ、8年前と変わらぬ、整った顔立ちがようやく覗き見えた…。そこには、何が起こったかわからないと言う表情が、ありありと浮かんでおり……………

 

「………。」

 

カランッ………

乾いた音をたてて、彼の愛用の棍が地面に転がる。

力を失い、崩れ落ちる身体を抱きとめると、ギュッ…と抱き寄せた。鎧越しにも不思議と温もりが感じられる……

 

「もう……」

 

少年は感情の隠らない声で呟く…

 

「もう二度と離しませんからね………」

 

遠くを見つめるような瞳のままで、唇だけを吊り上げた…。

 

 

 

 

 

 

-5-

 

『手合わせ?』

 

誰かの声が響く…

 

『それなら、カイルに頼んだ方がいいんじゃないか?』

 

過去の記憶…

 

『絶対ダメですーーーーーー!カイルさんに手ぇ上げられる訳ないじゃないですかーー!!』

 

………

 

『それに――――…』

 

自身が首を傾げるのが分かる。

 

『カイルさん、戦うの嫌いですし』

 

その時、ふうわりとした感情が胸に溢れるのが伝わった。

 

…そのわりには、むりやり……つれ、きてない………それは……いわない…お約そ…

 

声が、過去の映像が、掠れてゆく…

 

 

眠る事は好きだった。

やさしい過去だけが訪れるから、

 

信じたくないものは見なくていいから………

 

 

 

カイルが目を覚ました時、辺りには薄明るい光が満ちていた。そう長い間気を失っていた訳ではなかったらしい。

視線だけで見回してみると、どこか見覚えのあるような広い部屋。幾度か改装されたようだが、忘れてはいない…。――――ずっと昔は2人で寝起きしていた場所。

けれど、なぜか―――――――なぜか、過去とはまるで雰囲気が重ならなかった。人の匂いのしない無機質な部屋。おざなりに置かれたトンファーだけが異色を放っている。

ゆっくりと身体を起こすと、腹部に鈍い痛みが走った。

「――――〜…」

眉をわずかに潜め、動きを止めても、ズキズキと痛みを訴える腹部は何も変わらなかった。

 

―――――――――――殴られた、

 

手を上げられたと言う事が、自分でも意外に思う程ショックだったらしい。懐かしい夢までみてしまった…

幾年も見ていなかった彼の姿は、とても変わっていたように思えた。変わるはずがないのだけれども…

それともただ自分が見ていなかっただけだろうか…?

整然とした軍を率い、騎上で輝きを放つ少年……………何故か見ていると、とても不安になった…。

笑顔を見せていても、それは過去とは比べ物にならない程壊れているように見えて………

「………」

 

わからない

 

 

「起きたんですか?」

 

「!」

音も立てずに扉から歩んでくる少年に、何故か驚いてしまった。

「お久しぶり、……………でしょうか?」

ニコニコと子供らしい笑みを浮かべて少年はカイルに声をかけた。

「…………」

 

――――――――カナタ?

 

普通の者では気付かない程だったが…

―――瞳に映っているのは、暗く澱んだ光…。

 

「今まで何してたんですか?」

一歩、近付いてくる。

「…………」

また、一歩

「僕は今まで頑張ってましたよ」

なぜ…こんな恐怖を感じるのだろうか……?

カイルは無意識の内にわずかに身じろぎ、後ずさるような動きを見せていた。

「貴方がいなかったこの8年間……」

ギッ…とベッドが小さな軋みを上げた。

追い詰めるように、カナタがベッドの上に乗り上げてきたのだ

「――――なんで逃げるんですか?」

「………、」

カナタの問いかけにどう答えていいのか分からず、カイルは緩く首を横に振るだけだった…。

いつの間にか少年の顔から笑みが消え失せている。

「何か喋ってくださいよ?」

グッとカナタの手が方にかかる、そのまま力が加えられたと思った瞬間、生地の裂ける嫌な音が静かな部屋に響いた。

老朽化していたのであろう服は、繊維の方向に一気に破れ、カイルの白い肌をその隙間から露出させた。そして、カイルはあまりの出来事に大きく目を見開き、呆然とした表情でいた……。

「あ………」

「ねえ、カイルさん…?」

呼び掛けにカイルはぼやけた焦点をカナタにあわせる。

「もう2度と逃がしませんからね…」

 

狂気を宿らせた瞳がそこにはあった…。

 

「どうして」、とカイルが疑問を抱くよりも早く、少年は目の前にいる『愛しい人』をベッドに押さえ付ける。

「カナ、タッ……!」

「ああ、ちゃんと名前覚えててくれたんですか?」

口元に再び笑みが浮かぶ。――――しかし、瞳はやはり笑っていない…

その事に対してカイルはゾクリと背筋に怯えにも似た感情を走らせてしまう。

「もう忘れてるのかと思いました」

「っ………」

ほとんど抵抗できないままに無理矢理服を剥ぎ取られる…。

何故こんな事になっているのか分からず、カイルはぎこちなく抵抗の色を示すが、その程度でこの少年を止められるはずがなかった。

押さえ付けているその腕を良く見てみると、そこには以前無かったはずの傷痕が幾つも刻まれているのがわかった。

何故今そんな事を思ったのか解らない…解らないのだが…………

―――――カイルには既に抵抗する意志がなかった。

「カイルさん……」

耳元に声が届いた瞬間、酷い激痛にカイルは身体が引き裂かれるような感覚を覚えた…。

 

 

 

 

 

-6-

 

……………………やっと逢えた。

 

8年振りのあの人を抱き締めた感触がまだ残っている。

あの人の上げた細い悲鳴が耳から未だに離れない………その事でようやく先程の事が現実であると感じられる。幻想でなく、夢でもない、現実のあの人。

夢や幻でしか逢えずに、毎日を空虚に過ごした日々…

――――――ようやく逢えた。二度とあえないと思っていたのに、

逢えないはず、逢えないはずなのに、逢えた………ならば、これが運命なのだろう。

もう二度と離せるはずはない。離せる訳がないではないか、そして―――――

 

離す必要もない

 

街の喧噪も耳に届かずにただ走る。頬に触れる風が冷たいのか暖かいのかもわからない。

ただ、感覚だけしか伝わらなくなってしまった。

「―――――――――あの人がいるのなら、もうここにいる理由なんてないよね、」

小さな呟きはただ風と喧噪の中に溶けて消える。

 

 

――――――――――――――戦闘員も民間人も関係なく、全滅させてきた…

これが最善の方法であるはずがない。

大体、ハイランド程の大きな土地になると、全滅させるよりも軍の上層部だけを潰して、後はこちらの有利なように条約を交わすのが上策なはずだ。

現に8年前はほとんどの敵兵を倒さずにハイランドに乗り込んだ。―――――その残った多くの兵が今反乱を起こしているのだが……

が、これも自分が望んだ事だ。反乱なぞ起こさせるのも、起こさせないのも簡単な事だ。

起こさせた理由はただ一つ。この土地を壊したかった。それだけだ。

あの人のいないこの地を滅ぼしてしまいたかっただけ。――――――――ただそれだけを望んで現状を手に入れていた。

あの人のいた国を残したいと思う反面、一緒に過ごした想い出が多く残るこの国を滅ぼしてしまいたかった………

―――――――本当は…

本当は別の理由からだともう一人の自身が囁くが、敢えてそれは聞こえない振りをした……。

しかし……こんな理由、他の者達――シュウとか――はもっと早く気付くかと思っていたけれど、その様子はまったくないようだ。『陶酔』とか言う物を僕にしているらしく、誰も止めてこなかった…。

意外に無能だ。

 

 

少年は思考を一旦止めると、更に足を早めた。

 

 

 


 

た、タイトル未定…(死亡)>な、なんかないですか…

しかも、書き終わりそうにない…(まだ、モノローグだし…)

ああ…逃げるか…☆(爽やかな笑顔)

長篇シリアス…向いてねえよ…(汗)

ちなみに、舞台裏(死亡)

 

カナタ:あーーーーーー!>頭抱えて絶叫。

セリフ多くて、舌噛みそうですーーーー!!>次の台本見てる

カイル:………(汗)>特にセリフがない。

カナタ:大体、なんで、僕とカイルさんが離ればなれなんですかーーーーー!!

なっとくいきませんーーーーーーーー!!(怒)

カイル:それに、もうすぐ『3』の発売日…

カナタ:まあ、ほとんど、オリジナルだから、そのへん関係なさそうですよ〜?

カイル:じゃあ、次の用意しないと…?

カナタ:あーーーーーーー!!(怒)鎧重いんですよーーーーー!!(絶叫)>台本…(以下略)

カイル:………(汗)

(7/9up分)

 

結局、『セリフが多い』回まで打ち込めなかった…(遠い目)

カナタ:………もしかしなくても、僕殺人犯じゃないですかーーーーーーー!!(絶叫)

いや、今さらだしよ…(汗)てか、コレ以上ツッコミ入れると、ネタバレする…(汗)

そして、どうでもよいが、今日は主坊本(他にもカップリングあるけど…)ゲットでるんるん♪

(7/10up分)

 

カナタ:っっだーーーーーーーー!!>鎧を地面にぶちまける。

くそ熱いんですよーーーーーー!!!(怒)かなり、蒸れますしーーー!!(暴)

カイル:………(汗)

がんばれ!(笑)アリシラ君なんて、もっと頑張っているぞ!!

カナタ:……………そう思うんなら、もっと更新したらどうですか?(八つ当たり)

がふっ!(汗)厳しっ………

カナタ:(無視)次、カイルさんの出番ですよね〜?どんなですか〜〜??>覗き込み

カイル:あ。(汗)

カナタ:って、いきなりヌードシーンですかっ!?(怒)くぉらっ!作者ーーーー!!(激怒)どういうことですかーーーーー!!

逃げろ〜〜〜…(汗)

(7/14up分)

 

あああああああ…(汗)

おもいつかないっ!!(爆)中身が思い付かないッ!!

カナタ:カイルさんーーーーっ!!バスタオルですーーーーー!!>ぐるぐるぐる

カイル:ありがとう…(汗)>息苦しい程にまかれている

カナタ:中身が考え付かないくらいなら、更新すんなですーーーーッ!!(怒)

痛いよ…(汗)その言葉…

(7/21up分)

 

本当にちょろっとだけ更新…

カナタ:一気にやれーです〜!(怒)

(7/29up分)

 

うーん…2とか、別のページに変えた方が良かったでしょうかね〜?

カナタ:うーーーーーん…(汗)カイルさんを〜〜〜…カイルさんを殴って〜…(汗)

カイル:カナタ!(汗)しっかりして…っ!!(汗)

ああ…寝込んでる寝込んでる…(笑)

(8/2up分)

 

カナタ:うわあああああああんっっっ!!(泣)カイルさんをーーーっ!カイルさんをーーー!!>崖から飛び下りようとしている。

カイル:カナタッ…!(汗)気にしてないからっ……!!>必死で説得

まだ、揉めてる揉めてる…(汗)

 

ああ…どうでもいい話を一つ。

着ている鎧について…。

基本は中国風…そう、つまりは鎧の上からまだマント(これはよし♪)、

衣服(?)等をまだ着ているという………

とてつもなく…

 

カナタ:暑いんですーーーーーーー!!!!!(激怒)>うりゃー!

 

ううっ…(汗)本当に…

夏場に書くものではないですな…(描写力ないから書けませんけど…>泣)

(8/4up分)

 

てへv何故か、気がついたら4ヶ月も経過してましたv

何故でしょう?

カナタ:いやもう、外道ですね。成仏した方がいいですよ?

うぐは〜〜〜っ!!(汗)だ、誰のせいだと…

ううっ…今回のシーンでヤバいシーンを入れるか入れないかでずっと悩んでいたと言うのにっ…

カナタ:で?

これで終わりv

カナタ:………知り合いから苦情でたのに、入れないつもりですか…(怒)

(12/22up分)

 

わ〜いvじりじり進んでます〜♪

カナタ:わ〜いv海月さ〜ん♪

何〜♪

カナタ:僕って人非人ですか?

うん。

カナタ:僕って人非人ですか?(詰め寄り)

うん。

カナタ:僕って人非人ですか?(更に詰め寄り)

うん。

カナタ:僕って…

カイル:………;(そのくらいにした方が…>汗)

(1/6up分)