恐怖の宿題
「お、終わりません…」
暗い(雰囲気の)部屋の中ぐったりと身体を机の上に横たえ、息も絶え絶えに呟くカナタ…
その表情は死人のようだ。
コンコン
「は〜い…誰ですか〜〜〜………」
「カナタ、入ってもいい?」
聞き覚えのある、躊躇いがちな声にカナタ(の体力)は一気に全回復する。
そして部屋の扉を勢いよく開け放つ、
「カイルさ〜〜〜んッッッ!!」
むぎゅっと抱き着いた感触は、なぜやらもこもこしていた…
「なんか感触が違います???」
「ムムーーー!!」
「ムクムクだけど………」
「……カイルさ〜〜〜んッッッvvv」
一瞬固まった後、ムクムクを窓へと勢いよく投げ捨てると今度こそカイルに抱き着く。
「ムクムク………」
カイルは名残惜しそうに手を伸ばしたが、しょうがないと諦めた。
「カナタが一回も外に出て来ないから、何かあったのかなって…」
ぴたっと、カナタの動きが再び止まる。
「そうなんですよ〜!!!!!」
うわ〜〜〜んと泣き出したカナタ。いつものごとく本当に泣いているのかわからない泣き方だ。
「どうしたの?」
「…宿題やるの忘れてたんですっ」
「宿題?」
カナタの説明を聞く事には、年齢が低い者に一般常識のプリントが配られそれを今週中にやってくるというものだった。
「…それを忘れてたの?」
「はい、ナナミも忘れてて今、『シュウさんを誘惑してくる〜〜〜』とかって行っちゃいました。」
「…………」
どうコメントしていいものか。
「でも、カイルさんがこうして来てくれたんですからvもうあきらめて遊んじゃいま〜すっvvv」
「なんで!?」
「僕は愛の為に生きると決めたんですっ!!」
現実逃避だろう。
「さあ!!いざ行きましょう!!僕らの愛の世界へ〜〜!!」(←錯乱)
「ちょっ!カナタッ!!」
腕を引っ張られ、扉の方へと走り出そうとする。
べきいっ
勢いで外へ飛び出そうとしているカナタを棍で無理矢理止める。
「い、いたいです」
鼻を押さえながらカナタ、
「ごめんね、宿題手伝うから終わらせよう?ね、」
「えっ!カイルさんが教えてくれるんですかッ!?」
あまりに大袈裟な驚き方だ。
「え…?わかるところなら…」
「ということは、コレが噂の『美人教師の今日は私が教えてあげるv』ですねっ!?」
ぴしいっ
一瞬にして、今度はカイルの動きが止まる。
「カナタ…その怪し気な『』はなに………?」
「え?シーナさんが言ってたんですけどなんなんでしょうね?」
にっこりとわらってカナタ。どこか裏がある表情だったが、カイルはソレを見なかった…。
結局。
カナタの宿題を終えた後、その怪し気な『』内の事をしたかどうかは不明だ。
オチのないまま終わる