闇なべ

 

 

「カイルさん♪鍋のレシピ手に入れたんですけど、作って一緒に食べませんかv」

カナタは手に入れたばかりのレシピを、楽し気に手に持っていた。

「うん…いいけど、」

「わ〜いっv闇なべですね!!」

一回食べてみたかったんです〜vとカナタはカイルと楽し気に笑っていたが、それに巻き込まれる同盟軍のメンバーたちはかなり迷惑だろう。

 

 

「箸をつけたものは絶対食べて下さい!!」

いつもよりも気合いの入った声でカナタが言う。

ムリヤリハイ・ヨ−のレストランを占領し、メニューをすべて闇なべに変更したのだ。

勘のいい者はとっくに逃げ出している…

「カナタ、闇なべの中身って食べられるの?」

「え〜っと…?ナナミに任せたからわかりませんv」

ガタンッ

幾人かのメンバーたちは席を立ち上がって逃げ出してゆく。

「じゃあ、カーテン閉めますねーv」

日の光が閉め出され、闇が満ちる…辺りにはただ異臭のみが漂っていた。

残った人々は思わず息をのむ…

「さあ!食べましょう!!」

軍主命令だ。

メンバー達は死の覚悟を決めた………

 

「ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!」

 

 

ぼ〜っとカイルは食べるか食べないかを考えていた。

その時背後から殺気がはしる

「っっっ!?」

素早く立ち上がり、自分が先ほどまで座っていた場所を見ると一一一一…

 

箸があった。

 

「あっ避けちゃダメですー。」

「カナタ?」

姿が見えないが、声でそれとわかる。

「どうしたの???」

「えっとvカイルさんを食べようかなってvvv箸で掴んだ物は何でも食べなきゃいけないんですからv」

カチカチと箸をあわせる音が響く

カイルは『えっ』と言う顔になったが、反射的に身体は戦闘体制になる

「カイルさん大人しく食べられて下さい!!」

「ちょっ、やめっっ…」

なんとか止めさせようとするが、妙な迫力に押されてしまう。

「カイルさ〜んvvv」

「うわっっ」

ぎりぎりと寸前の所で動きをとどめる。

「何事ですかッッ!?(怒)カナタ殿!!」

バタンと音がし、レストラン内に光が入る。

 

…中は地獄絵図だった。

一口食べただけで卒倒してしまった同盟軍メンバー達。

そして押し倒されているトランの英雄。

 

 

今日も城中にシュウの怒声が響き渡ったそうだ。

 

 

終わる