エレベーターで…

 

 

事の起こり…

 

「あはははは♪次一階!三階と見せ掛けて、四階ーーー!!二階!」

などとカナタが調子にのって、エレベーターのボタンを連打しまくった事から始まった。

 

「カナタ、もう止めた方がっ…」

さすがにカイルが止めようとしたのだが、時はすでに遅すぎた。

 

 

「…………エレベーターの人根性ないですよね。」

「…………そう言う問題じゃない気がする…」

2人並んで座り、ぽつりと呟く。

エレベーター係の者が倒れたらしく、エレベーターは動きを止めてしまっていた。

「誰か気がついてくれるでしょうか〜?」

「さぁ…」

「とりあえずトランプでもしましょう!!」

 

どこからかカナタはトランプを取り出し、暫くはゲームに熱中していたのだが…

 

「はっ!!」

唐突にカナタが動きをとめる。

その顔にはありありと驚愕の表情が浮かんでいた。

「?カナタの番だよ?」

カイルはそれに気がつかない。

 

(そっ!そういえば!!これは絶好のチャンスじゃっ!?カイルさんと2人っきり!?カイルさんと2人っきり!!)

 

ようやくその事実に気づいたカナタはゆっくりとカイルの方を伺う。

「?」

カイルは訳がわからないながらもにこっと微笑えんだ。

その笑顔にカナタは鼻血を噴きそうになる。

 

(オッケー!?オッケーって事ですよね!!?)

 

そんな訳がない。

「カイルさん!!」

「わ、」

ガバアッと抱き着き、カナタはトランプの札を当たりにまき散らした。

それにしても、最近増々カイルの反応は鈍くなっていた。

「どうしたの?カナタ、」

じゃれつく動物をあやすようにカナタの頭を撫でる。

「カイルさんvここで…」

 

ぐきゅる〜〜〜〜〜

 

カナタのお腹の虫が大合唱した。

「お腹へったの?」

「そうなんですケド…(そうじゃないんですぅーーーっっ!!)」

よく考えると、お昼ご飯すら食べていない。

きゅぅ〜〜〜くるるるる〜〜

「………………お腹減りましたよね、」

「そうだね」

にこっと、カイルは微笑む。

育ち盛りの悲しい所。(今の所だが、)カナタの食欲は性欲よりも上回っていた。

「…このまま忘れられてたら、餓死でしょうか。」

もはや、三時間程経過していた。

 

『戦慄!!リーダー城内で餓死!?〜トランの英雄と共に散る…』

と言う見出しがカナタの脳裏に描かれていた。

 

「……………カイルさんっ!いざとなったら僕を食べて下さいねっ!!」

「カナタ…」

かなり本気な表情で、ぎゅっとカイルの手を握りしめた。

 

ググ〜〜〜〜〜〜ッ

 

「……………カナタも僕、食べていいよ」

どちらかと言うとそちらの可能性の方が高そうだ。

「ええっ!?た、食べるっ!?」

(カイルさんを………)

あえてカナタの頭のなかの描写はさけよう。

 

「じゃ、ちょっとだけいいですか♪」

何やら異様に嬉しそうな笑顔でカナタがにじり寄る。

「え?うん…」

戸惑いつつも、カイルは首を縦に振った。

そっとカナタの指が襟首にかかり、そこを乱される

「んっ………」

首筋に吸い付かれて、小さく息を呑む。

「…え?ちょっと……やっ、」

さすがにおかしいと気づいたカイルは抵抗を始める

(あ〜もう幸せです〜〜〜〜v)

しかし、幸せは長くは続かないものである。

 

ガーーーーッ

 

明るい光が開かれた扉から溢れる。

 

「あー、やっぱりな〜」

「こんな状況でやってない方がおかしいな、」

「君等ねえ…」

呆れた声やら、何やらしたり声やら、多数のざわめきがもれる。

どちらかといえば、楽しむような声が主だ。

 

「っっっっっっっっ!!!!」

「……………」

ぴしりと凍り付くWリーダー。

カイルが真っ赤になっているのと、

カナタが無表情になったのと、

どちらとも危険信号である。

勘のいい者は、素早く逃げていた。

 

 

『裁き』+『大爆発』が真っ赤になったカイルと、(最中を邪魔され、)怒りに燃えたカナタから放たれるのはそう遅くはないはずだ。

 

おわる