秘!料理作戦!?
「ららら〜♪」
厨房から謎的に楽し気な歌が聞こえてくる。
そして、辺りには物凄い匂いが漂っていた。別にナナミが料理を作っている訳ではない、
「カイルさんのために〜♪愛のこもった料理ぃ〜〜〜♪」
カナタである。
拳がきいている歌はともかくとして、何か料理を作っているようだ。
「う〜ん…この、ジルさんからもらった『これでニクイあの人もいちころ☆一口で昇天間違いなシチュー』のレシピ何か違うような?」
ようやく気づいたのだろうか?しかし…
一一一もはや料理は八割方できている………
「ま、いいかな。 そして〜♪詳しくは裏キリリク『FOR YOU』をみてください〜〜♪♪♪」
よくない↑。
だんだんだんと、普通なら堅くてきれないようなモンスターをみじん切りにしてゆく。
無論、あたりは血みどろである。
そしてカナタ自身も返り血にまみれていた。
「『マンドラゴラ』も入れてっと、」
ざざざと、多量の毒草と思しき物体等を流し込む。
なべの中はもはや原形をとどめてないような液体で溢れている…。
「ふふふふふふ…あとは最後の材料を入れるだけで、カイルさんは永遠に僕(だけ)の物です〜vvv」
きゃ〜vとさっきまでモンスターを切り刻んでいた包丁を振り回す。
壁にぴしゃぴしゃと血が飛び散っているように見えるのは気のせいではないだろう。
「え〜っと?最後の材料は…」
『ムササビの生き肝』
「……………」
「カナタ?用事すんだの?」
さっき『ちょっと用事が〜♪』と、どこからか届いた手紙を持って走って行ったカナタが再びカイルの前に姿を現したのだ。
しかも後ろ手に何か隠すようにして………
「い、いえ、ちょっと…ムクムクに用事ですv」
カイルとムササビ達は、にこ〜vと笑う幼い軍主の頬に血が付いているのをハッキリと見取った。
屋上に一筋の冷たい風が吹く…
「怪我したの?」
ムササビ達は(動物の本能で)カナタの妙な殺気を気づいていたが、ときどき鈍いトランの英雄は気づいていない、
スッとカナタの頬に手が伸ばされる、
もちろんカナタがそんな事をされてノーリアクションな訳がない。
反射的(というか、本能的)にカイルに抱き着こうとする。
一一一手に凶器を持っている事も忘れて…
「カイルさ〜〜〜ん♪♪(そんなに僕の事心配してくれるなんて〜〜〜vvv)」
一一シュパッ
「………っっ?!」
ハラリとカイルの髪が数本落ちる。
「ああああああっっ!!すみません!一一一こうなったら仕方ありません!!実力行使で『ムクムクの生き肝』は頂いていきます〜〜〜〜〜!!!」
どうなったらだ。
一応混乱しているらしい、カナタは手近なムクムクを捕獲し始めた…
「ムームムーーーー!!!」
「ムクムクー!痛いのは一瞬だから大丈夫っ!!」
そういう問題ではない。
「っっっっっっっ!!」(怒りボルテージ↑)
「ムームムムムーーー!!!」
「僕のために犠牲になってーーー!!」
「っっっっっつつつつつ!!!」
屋上に『雷の紋章』が落ちた、という話が城内に噂されてたそうだ…『いつもの事』として、
「あっ、別にムクムクじゃなくても野生のムササビでもよかったんですよね!」
「カナタ、『ソウルイーター』と『雷の紋章』どっちがいい?」
懲りない少年にもう一度紋章攻撃が与えられたかどうかは定かではない。
ちなみに『これでニクイあの人もいちころ☆一口で昇天間違いなシチュー』のレシピとなべは没収され、ハイランドのとある婿養子に送られたそうだ…。
おわる