猫な話
さて、皆様は覚えておいででしょうか?
紺碧さんのSS『ネコ化』の事を……。
その時に、カナタがクルガン氏に送った薬の事を…………
実は、その薬はまだ残っていたのです。
最近ではようやくカイルとラブラブ(?)になりはじめ、薬の事など忘れ始めていた時の話です………
ある日カイルさんが誤って、その薬を飲んでしまいました☆
「……………」
カイルは呆然としながらも、自分の身に何が起こったのか考えていた。
戸棚の上で埃を被っている小瓶を見つけて、何気なく手を延ばしたのだ………そして、蓋が弛んでいたのか、手が滑った途端に中に入っていた液体が自分の頭に…………………。
「にゃぁ…」
一言声を発しようと口をあけると、どうしてもそんな声しか出ない。
ふうっ、と何かを諦めると自分の服の上から降りるカイル。
先ほど落とした瓶のラベルを見ると、『ネコ化薬原液v』とよく見慣れた字で書かれてあった。
そう、よく見慣れた字で。
ついさっきまでとは変わってしまった視界の中、カイルは寝台の上へと軽々と飛び上がる。寝台の上にはカナタが無造作に置き捨てたまたたきの手鏡がある。
それを覗き込むと、カイルはもうどうする事もなくシーツの上に横たわった…。
鏡に映った自分は猫だったのだ。
『はあ………どうしようかな…………?』
カイルは艶やかな黒い毛並みのしっぽを左右に振り、このまま眠って現実逃避したくなるのをなんとか堪える。
カナタと朝ご飯を食べる約束があるのだ。
だが、現リーダーの性格を考えると、このままここに現れないと言う事は、
まったくない!
「カイルさ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜んッッッッッ!!!!!!!」
バッターーン!といつもの勢いでドアを開き、バタバタと寝台の方に駆けてくる。
カイルは急に大きい音を出され、耳としっぽをピンとたたせた。もはや、ネコな感じだ。
「もーーーっ!カイルさん遅いですーーッッ!早く一緒にご飯食べましょうっ♪♪♪」
つかつかつか。がしっ!
「さあ!行きましょうーーー♪♪♪♪♪」
「………(汗)」
カナタは一瞬の迷いもなく完璧に猫と化したカイルを抱えて、外へと駆け出した。
「ようやくカイルさん見つけました〜♪」
「いや、て言うかそれは…(汗)」
「カイルじゃないだろう?(汗)」
レストランに猫を抱えた幼い軍主が、そんな事を言いだしたので同盟軍メンバー達はイヤな汗をだらだらと流した。
「何失礼な事言ってんですかッッ!!どこをどう見てもカイルさんじゃないですか!!!!!」
「いや、どう見ても猫だそれは。」
青雷氏のつっこみに、カナタはじい〜っとネコなカイルを見つめる。
「………………あれ?いつの間に???」
「にゃ…(カナタ…)>汗」
「お前が入ってきた時からそうだぞ………」
「えーーーでも!コレは絶対カイルさんですっっ!!!!!」
野生の勘か、愛故か、カナタは譲らない。
「またお前が何かやらかしたんだろ?」
楽し気にビクトールはカナタに尋ねる。
カイルの視線も何か言いた気にカナタに注がれる。
「うーーーん???あっ!あの賞味期限切れの猫化………」
そこまで言ってしまってから、カナタはぼふっと自分の口を塞いだ。
カイルは『何に使おうとしてたのかな〜?』というように、カナタの頭や頬にしっぽをぺしぺしと軽く当てる。
「まあ、原因は確定したな。」
ガタガタと周りで椅子に座り直す音が聞こえる、犯人が現リーダーと知れば皆も納得だ。
何事もなかったように朝食を取り始める。
「で、どうすんだ?」
シーナもパンをちぎり、ニヤつきながら尋ねた。
「カイルさんvミルク飲みますか〜〜〜♪♪♪―――へ?何かいいましたか?」
「ナァ…(それより早く戻してほしい…)」
「戻さないのかって、」
「あー…(勿体無いな〜)戻しちゃうんですか〜〜〜?」
「当たり前だろ…。」
周囲のメンバー達に説得され、カナタはしぶしぶ行動を起こす。
「じゃあ、基本的なアレ………」
カナタは言いながら、フリックのマントを剥ぐ。
「愛のキッスで。」
―――ちゅうv
テキトーな事を言ったのだろうが、何せカナタが作った薬である。
ちゃんと元に戻った……。
「あ、戻れた……」
「わーいvvvよかったです〜♪―――今こっち見たら紋章攻撃です〜〜〜♪♪♪」
なにせ、マントを羽織っただけの恰好なカイルだ。
紋章攻撃、それは、Wリーダーで来る事は確定済みだろう。レストラン中のメンバーはあわてて目を伏せた………。
ひとまずはめでたしめでたし………。
後日。
「あー。なんか、要らないもの増えてますー。」
パタパタと羽根帚で瓶の上の埃を払うカナタ少年。
「早く処分した方がいいよね〜」
――――ガシャン
「カナター、ご飯食べに行く?」
「わん!」
訪れたカイルは、何事もなかったように犬なカナタを背中に引っ付けて部屋から出て行った………………………。
以下、エンドレス。(死)>わけワカメ!