マッチョ、筋肉、肉体美(hえ…>汗)

 

「マッチョになりたいです!!」

 

「「は?」」

唐突の一声に周りの者は変な声を上げてしまった。

元々何を考えているのかわからない少年だが、本日もまた訳のわからない事を言っていた。

「もう決めましたッ!」

ガタンと席を立って外へと出て行こうとするカナタに、フリック(ツッコミ担当)はして当然の質問を投げかける。

「ど、どこいくんだ?」

「ドーピングするために怪し気な裏路地に行くんですっ!!」

「なんでだっっ!?―――いや、まず普通は筋トレだろうがっ!!」

「裏路地がダメなら!どこぞのオリンピック会場がいいですかッ!?なんか使ってる人多そうですしッッ!!」

「それは喧嘩うってるのかッッ!!?(汗)」

 

フリックからまあ、落ち着け!!と説得されカナタは再び椅子に座る。

「h〜〜〜〜。」

「どうしてそんな事突然言い出したんだまた、」

「―――――僕とビクトールさんの体格をみてください。」

ビシイッと飲んだくれている熊(?)を指差し、カナタは言う。

そして、フリックがビクトールと自分を見比べ、一拍おいてから口を開いた。

「どう思いますか?」

「どうって言われてもな………(汗)言うなれば、『大人と子供』………」

「それですっっ!!」

バンッと机を叩き、叫ぶ

「僕全然身長が伸びないんですっッ!!」

「まあ…」

「つーか、成長してないんですっ!!このままじゃカイルさんにあわす顔がありません!!」

があっと頭を抱え、そのまま左右に振り回す。

どうやら、今回も当然のごとくカイル絡みらしい………

「カ、カイルとマッチョとどう言う関係が………?」

怪訝そうな表情でフリック。

「それは関係ないですっ!!いえ、なんか僕身長コレ以上伸びないような気がして………」

「そんなことはないだろうが、まだまだ成長期だろうし」

たしかにカナタ少年はマッチョ……体格がいいとは言えないが、(それを言うならカイルの方が細い。)まだまだ成長途中の少年らしい体つきだ。まだ成長する要素はある。

「いいえっ!自分の身体の事は自分がよくわかってますッッ!!」

「カナタ………」

珍しくシリアスな調子でカナタは叫ぶと、俯きじっと自分の手を見つめていた。

その様子にフリックは、相手が一筋縄で行かない少年だと言うことを忘れ、本気で話に聞き入って(?)いた………。

「………なんか、コレって闘病の話みたいですね。」

「おい。」

「まあ!それはともかくフリックさんもマッチョになる特訓付き合って下さいっ♪」

「なにっ!?」

「せめて、身長が伸びないんなら筋肉だけでもという、僕の心意気ですっっ!!!さあ!行きましょう!!」

ずるずると引き摺られ、フリックはカナタと共に旅立っていった。

そして、周りでは何事もないようにふるまっていた人々が何事もなかったように酒を飲み続けていた……………。

 

 

 

「さあ!一気にやって下さい!!」

「食えるかっ!!こんなもの!!!!(汗)」

ごぼごぼと怪し気な湯気を上げ、音を立てて沸騰しているどんぶりを挟んでの乱闘だ。

「身体にいいですよっ!?『ぷろていん丼』!!」

絶対死ぬ。

良い子はまねしないで下さい。もちろん悪い子も。

「自分で飲んだらどうなんだっっ!?」

フリックは慌てた調子でカナタに丼を押し付ける

「こんな怪し気なもの飲めません!!つーか、僕は自分で作った薬は自分で飲まない主義なんです!!」

ぐい〜と押し返しながら、カナタは明かされた新事実(?)を告げる。

「なんだそりゃ!?(汗)」

「麻薬売人の基本ですっ!!」

おい。

「お前は麻薬売人じゃない!!」

「問答無用です〜〜〜〜〜〜!!!!!」

 

ギャースギャースと争った末、残されたのは微妙な色をした人のような物体……………。

 

 

「うわあ……やっぱ副作用がすごいですよね………市販の薬はヤバいので使用不可と……」

档<bノそう書き加え、カナタはダッシュで駆け去った。

 

 

 

「やっぱり!地道な特訓です〜〜〜!!」

と悟ったカナタは、

『マラソン』、『腕立て』、『腹筋』、『筋トレ』、etc…

と様々な試みを本気で開始した………(もちろん被害者多発。)

 

そして……結果はどうなったかと言うと……………

 

 

 

 

「なんでなんですかーーーーーーーーーーーー!!!!!」

酒場からカナタの絶叫が轟いた。

 

「なんで全然筋肉ついてないんですかッッ!?」

トレーニング前と全く変わっていない様子でカナタは男泣きに泣いていた(?)。

それはもう、特異体質としか言い様がないだろう。

ちなみにフリックは未だ集中治療室にいる。

「うわーんっっっっ!!!」

「カナタ………?」

ヒョコッと酒場の入口から顔を出した人物にカナタは、釘付けになり、その後猛烈なダッシュでその人物に抱き着きにいった。

「カイルさーーーーーーーーーーーーんッッッッッッッッッ!!!!!。。。。。」

「うわっ…」

 

どがっしゃーーーん!

 

筋肉は全くついていなかったが、力はちゃんとついていたようだった………

前よりパワーアップした体当たりに、壁にぶち当たるカイルだ。

「〜〜〜〜〜どうしたの…?」

 

かくかくしかじか…(嘘も含まれるカナタの説明)

 

「筋トレ……?」

「はい!筋肉付けようと思ったんです!!」

トレーニングで会えなかった分も触っているような勢いでカナタはカイルに嬉しそうに擦りついている。

「へー…」

何か考えるようなカイルの表情………

そしてカイルは口を開いた………………………………

 

「じゃあ…僕も一緒にしようかなぁ………」

「はっっ!?」

ビシリとカナタはその言葉に凍り付いた。

「カッカイルさん今なんて!?」

「え…?だから一緒に………」

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっ」

 

 

「ダメですーーーーーーーーーーーーッッッッッッッッッッッ!!!!!!!カイルさんは今のままがいいんですうぅぅぅうぅううぅうううぅううぅううぅうううううう!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

こうして、今回の事件(?)はカナタの心からの叫びで締めくくられた。(ちなみに血の涙付き)

そして、不幸なのはどうしても巻き込まれたメンバー達なのだった…………………………

 

わからんまま終わる。