散髪!断髪!!残髪!?

 

「カナタ、最近髪伸びてきたね………」

「え?そうですか〜?」

カイルの言葉に、カナタは髪を撫で付けた。確かに目の中に入り、チクチクしてくる。

「あー本当です。結構伸びてきてますー。」

「うん、」

どーしましょうか?と一瞬考えたカナタだが、何やら思い付いたらしくニコ〜と無邪気な笑みを浮かべた。

そう、それはもうニッコニッコと楽しそうに。

 

「カイルさんがきってくれませんか?」

「え?」

お願いですーーー!!!!と頼み込まれては、カイルに断る術はなかった………。

 

 

椅子に座りケープを纏ったカナタ。

ハサミを手に持ち、黙ったまま途方にくれているカイル。

「さあ!カイルさん一気にざっくりと!!」

かなりうきうきとしているカナタだ、どうやらカイルに髪をきってもらえるのが嬉しいらしい………。

「…………」

カイルはなんとか覚悟を決め、チャキッとハサミを構えた、

何しろ初挑戦のことだ、緊張するのも無理はない。

取り敢えず水で髪を湿らせ、櫛でとかす

「るるるーーーvvv」

「じゃあ、きるね…」

ちょきちょきと器用にハサミを動かす。何事もなければことは済んだのだろうが、カナタがじっとしていられるはずもない…………

「あっそうですv」

急にくるりと振り返るカナタ、―――そして…

 

――――――――ザクッ!

ハラリと落ちる、一房の髪………

 

「カナタッ!急に動くと危ないっ………(汗)」

「はうあっ!!すみませんっっ!!」

コレくらいならまだ揃えられそう、と気を取り直し動いちゃダメだよと警告し、髪をきろうと………

 

「所でカイルさん―――」

「うわっ(汗)」

 

「そう言えば……」

「カナタっっ…」

 

(以下十分繰り返し。)

 

「――――――カナタ……。ごめんね……(汗)」

「こっこれはっ!!」

鏡を覗き、衝撃を受けたような顔になる。

当然の反応だろう、鏡の中の彼は物凄い髪になっていたのだから…………

ところどころ短くなりすぎた髪は、なかなか笑えるだろう……。

 

「――――なんか叩くと文明開化の音がしそうですねv」

「……………。(そういう問題なのかな…?)」

 

めげない正確なカナタ少年だった。

 

 

 

そして翌日………。

 

「おはようございますーーー!!」

「おはよう………って!?」

 

見事に髪が生え揃ったカナタの姿があったそうだ……。

 

「なんで伸びてるのっッ!!?」

「愛の力ですねっッッ!!」←違う。

 

 

落ちないまま終わり。