カイルさんの日記。別名『カナタ君の思いつき』

 

○月×日

カナタがよくわからない事を言い出した。

 

 

「突然ですけど!僕、漢っぷりをあげに、アリシラさんとかリクさんとかと秘密の特訓してきます!!」

「え?」

唐突なカナタのセリフに、カイルは反応をどう返そうか悩んだ………

 

いきなり何?

なんでわからない人名出すの!

秘密ってばらしたら、秘密じゃないんじゃ………。

リク君ってどっちの!?

漢っぷり?

特訓って??? etc…

 

そして悩んでいるうちに、カナタは何やら大荷物を抱えてどこともなく走っていってしまった………。

「じゃあ、いってきますー!!今度帰ってきた時の僕は一皮違う僕になってますから!!」←一皮剥けた、と一味違ったが混ざっている…。

「あ…(汗)」

とめることの出来なかった手が、所在なく降ろされる………

 

三日後、帰ってきた。

 

「うわーーーん!!カイルさ〜んっ!!(泣)」

「カナタ、」

ぎゅーーーーーー!っと泣き叫びながらタックルをかます少年…………。

「終わったの……?」

「それがっ…!途中で何やってたのかわかんなくなっちゃいまして、『第78回男気見せつけ大会〜火の中の甘栗を素手で掴む〜』の時に我に返ったんです〜〜〜(泣)」

「第78回…?(汗)」

「他にも、生卵と知っておきながら、おでこで割る!とか、マヨネーズの残り少なくなったのをどれくらい出せるか!?とか実行したんです〜〜っっ!!」

 

○月△日

今日もよくわからない事をやり始めていた。

 

 

「お〜〜〜」

「………」

「おおーーーー。」

「………」

漫画本をよみながら、感心したような声を上げている………。

「じゃ!ちょっと、実践してきます!!」

「?」

シャー−−!と走り去ってゆくカナタの少年の後に残された物は、『修●の門』という約30冊の本…(ちなみに、格闘マンガ………。)

 

「むつえんめーりゅーーー!おーぎーーー!むくーーーはーーーーー!!」

 

被害者は…………

 

何か、城内が騒がしい日だった

 

 

□日◎日

今日は、魔法を使おうと、練習していた

 

 

「む〜〜〜〜〜〜!」

「…………(汗)」

謎の黒マントに身を包み、カナタは意識を集中しているようだ。

そこへ、カイルが声をかける。

「カナタ…………諦めた方が……(汗)」

「ダメですー−−!魔法が使えないと!一発芸が成功しないんです−ーーーー!!」

「一発芸って………(汗)」

「仕方ないです!!物置きにこもって、魔法学校からの手紙を待ちましょう!!」

こないって。

 

□月△日

池にカエルの卵があった。それをカナタが………。

 

「か、え、るの、た、ま、ご〜〜〜〜v」

「うん。」

目の前にある、グニョグニョとした粘物をジィ〜ッと見つめる。透明なゼリー状の物体に包まれた黒く丸いもの。

コレがいずれお玉じゃくしになると思うと、カイルはほのぼのとした感を覚えた。

しかし、カナタは………

「げっちゅ!」

「!?」

ぐわしっ!とカエルの卵をわし掴んだ。

「中の黒いヤツを取り出したいお年頃なんです−ーーーーー!!」

「カナタっ!!(汗)」

 

□月◇日

今日も………

 

 

 

たった今まで、食い入るように見ていた本から顔を上げカナタは不適な笑みを浮かべた。

前にある机は、壊されたのかボロボロになった引き出しが力なく開け放たれたままだ………。

「カイルさんの日記!僕の事ばっかりですね!!かなり安心しましたvvvvv」

「…………(人の日記をっ…!)」

 

この後、少年がどうなったのか誰も知らない…………。