ラスボス倒せば、バトルは終わる
「訓練を行って頂きたい。」
突然そうシュウが切り出してきた。
そして、そう切り出された少年はと言うと、カイルにくっついて幸せ(一方的)な時間を過ごしている為、当然無視した。―――――が、カイルに言われてしぶしぶとシュウに向き直ると、嫌そうに返事をした。
「誰の?」
「貴様のだーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッ!!!!!!!(怒)」
特大の雷が落ちた。
同盟軍の幼きリーダー、カナタ。その能力の高さ(?)は伝わるべき所には伝わっている程だ。(嘘かもしれないが…)
しかし!
――――――少年は、朝の鍛練等を全く行っていなかった…。(2主失格)
「う゛〜〜〜〜〜〜〜〜〜…」
思いっきりやる気のなさそうな顔でカナタは訓練場へ来ていた。
せっかくのカイルさんとの朝の憩いを…!(怒)と、文句が言いたい所なのだろう。ともかく、カイルも逃亡防止策として一緒に来ているが、くれぐれも逃がさない為にメニュー表を手渡されてしまっている。
「えっと…最初は、剣術だって、」
「は〜いです〜(トンファーだけでいいんですけどね〜…)」
そうはいかないだろう。
カナタは、剣(借り物)を手に持ってみる。
「―――――――なんか、…重いです……(汗)」
トンファーもそんなに軽くはないのだろうが、力の入れ加減が良くわからないのだろう、ぶるぶると危なっかしい手付きで剣を握っている。
ずっしりとした鉄の剣…。刃を潰してもいない物だ。そんな物を持たせていいのだろうか?
心配からか、カイルが声をかける。―――カナタか、カナタに被害に合わされる者のどちらかは不明だが、―――
「大丈夫…?(汗)」
「慣れたら大丈夫だと思いますケド…(汗)」
うーむと、考え深気な様子だ。そして、その少年に、指導役に捕獲された、フリックが声をかける。
「とりあえず、打ち合ってみるか?(汗)」
「オッケーです!勝負って事ですよね!」
しょっぱなからだが、興味を引かせる為なのだろう。
カイルは邪魔にならない距離まで離れた。
チャッ…と、剣を構える。
「そういえば…」
ぽつりと呟きを漏らす。
「―――――――――一番初めにあった時、ど突き倒されたましたよね………」
―――――本気でやらないと死ぬッ!(汗)
フリックは確信した。
―――――真剣な空気。
まあ、理由はどうであれ、だ。
かなり緊迫したムードが辺りに満ちている。
しかし、さすがに、青雷とまで異名の付いたフリックだ、その構えに隙はなかった…。
―――――先に動いたのはカナタだ。
大きく前に一歩踏み込む!
「とーーーーー!」
「!」
少年は………………!
―――――剣を一直線に投げた…。(しかも、おもいっきり頭を狙って…)
予期せぬ動きに、フリックはなんとか目前まで迫った剣を叩き落としたが…。
メキイッ!
――――カナタの膝蹴りが炸裂した…。
ドサッ………と倒れ込むフリック、跳躍した少年は見事に着地を決めた…。
「勝利ですーーーーーーーーーー!!」
「カナタッ!(怒)」
………………………………ほとんど、ゲリラ戦法だ。
「次は棒術………」
カイルはシュウからくれぐれも…!と手渡されたメニュー表を見る。
それから少年を見ると――――
「さーーー!いつでも来いですーーー♪」
ぶんぶんと棍(カイルから借りた。)をバットのように振り回し構えるカナタ…。
「………(は、中止。)」
「じゃあ、弓とか……」
「OKですーーーーー!」
何やら、面白くなったらしく、十分乗り気なカナタである。
「弓は実は、できるんですーーー♪」
「そうなの?」
自信たっぷりに言うカナタに、カイルは感心したような目を向けた。
そして、カナタは弓(借り物)を構える。
「…………」
キリリ…
真剣な表情で、弓を引き絞る。
空気を切る音がし、見事的へと…
『あた〜〜〜〜〜〜〜〜りぃ〜〜〜〜〜〜♪ ドドン!』
「命中ですーーーーーーー!」
「うん…(汗)それはいいケド、あの的…(汗)」
中心に矢が刺さっているのだが、白と赤の色合いが混じりクルクルと回り続けている的………。
宝くじやら、その手の物を彷佛させる………………………(しかも、妙な効果音付き)
「じゃあ、ともかく騎馬でも…」
カイルは疲れた表情で外へと歩き出す。突っ込む事は止めたらしい。
「カミューさん、マイクロトフさん、馬かして下さ〜〜〜〜〜い♪」
ほとんど、隣のクラスに辞書でも借りに来たような言いっぷりだ。
言われた方は、ほとんど気にせず笑顔で了承をだしたが………………まあ、慣れているのだろう。
「空いている物なら、どれでもお使い下さい」
「すみません……(汗)」
「いえいえ、」
愛想のよい笑みで、カミューは言うが、カイルの方が何故か畏まってしまう。カナタは全く気にしていないと言うのに……
しかも、少年が「カイルさんも乗ってくれなきゃ嫌ですーーーーー!!」とだだをこねた為、カイルまで馬を借りる事になっている…。
カイルは溜息をつくと、ヒョイッと馬に横乗りする。
「、横乗り、慣れておられますね?」
ふと、気がついたと言うように尋ねる赤騎士さん。
「……………ちょっと、学んだ時に間違えた物で…」
何やら、よくわからない過去があるらしいが、今は問うまい。
「そう言えば、カナタは……」
「あ゛ーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!(汗)頭噛まれましたぁあああああああああああ!!!!!!(叫)」
「カナタ様ッ!(汗)」
「「………………」」
少年の絶叫と、マイクロトフの慌てた声が聞こえてきた。
ともかく、兵法。
「コレは私がお教えしましょう……」
血走った目で言うシュウと、『ケッ!誰がお前に……』と思いっきり顔に書いてある少年…。
なかなか殺伐とした状態だ。
「さあ!まずはこの本に目を通して頂こう!!」
「う゛〜〜〜〜〜〜〜っ…」
バンッ!と積まれに積まれた書物の山に、カナタは嫌そうにうなる。
「―――――――――――カイルさ〜〜んっっお茶飲みたいですーーーーっ」
「、うん。入れるね」
膝の上に乗せた猫を抱え直すと、カイルは辺りを見回す。しかし、この部屋には急須がないようだ。
「下で貰ってくるね、」
そう声をかけてカイルは部屋を出てゆく。
「ありがとうございます〜〜〜〜vvvカイルさんの手ずからのお茶〜〜〜〜〜♪♪♪」
「とっとと目を通せっ!!(怒)」
嬉しそうな声をあげる少年に、ガァッ!と一喝する軍師殿だ。カナタの瞳が暗く光る……。
「――――――っちい。しょうがないから、真面目にやってやりますかっ!」
嫌みっぽい調子で言うと、カナタは一番薄い本に手を伸ばした。
「――――あ。」
バランスが悪かったのか、取り方が悪かったのか、何冊かの本が音をたてて床に散らばった。
「回収しないと〜〜〜」
「私が拾いましょう、」
=だから、テメエはとっとと真面目に仕事をやれ。
といった、感じであろうか?
シュウが屈み込み、本を取ろうとした瞬間…
シュッ!
「………。」
手首の捻りだけで、手に取った本を二つに折りまげ、素早くシュウの首に叩き付けた。
<※危険ですので、良い子の2主君は絶対にお止め下さいv>
「あれ?カナタ…もう終わったの……?」
「はいv」
パタパタと駆けてくる少年を見て、カイルは首を傾げる。お茶はどうしよう?といった様子だ。
「一緒にそのお茶飲みましょーーーーーーvvv(猫は置いて)」
「うん、(猫も一緒に)」
結論。危険なので、訓練はしない方がよい……。