ゆで卵☆

 

「カナタカナターーーーーーーーーー♪」

「?」

 

スタタタタタ!と元気の良い足音が少年の背後から響いてきた。

そして、カナタは聞き覚えのある声に振り返ったのだが―――――――…

「えいっ☆」

 

ゴッ!

 

振り返った瞬間、目の前に火花が散った…。

 

 

――――――――少年はのちに、その時確かに宇宙を見た…と語ったそうな……(ヤバい。)

 

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っうが〜〜〜〜〜〜っっっっ!!!!!!(汗)」

カナタは、頭を抱え、絶叫した。

「あれ〜?やっぱり割れないわ〜」

「ナッナナミ〜〜〜〜〜っ…(泣)」

いきなり、義姉に凶器攻撃を受けたカナタはズキズキと傷む額を押さえ、涙ぐんだ瞳をナナミに注ぐ…。

そして、一体何で殴られたのかと見てみると、

 

――――――――卵。

 

「ナナミ、それ…」

「ゆで卵よ!お姉ちゃんはこれを額で割る事に今情熱を燃やしているのよ!」

額でゆで卵を割る………確かに基本技(?)である。

「ゆで卵?」

カナタは興味を引かれたのか、ナナミの手元を覗き込む。

「これがなかなか割れないのよー!」

「どれどれ?」

何で自分の頭で割らないんだ。というツッコミはせずに、カナタはゆで卵をナナミの手から受け取った。

「頭にぶつけるだけでいいんじゃないの?」

そういいつつ、少年は勢い良く額へと卵を振りかぶったが………

 

――――――――――ゴッ!

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっっっっっっっっ!!!!!!!!!!」

「カナター!しっかりするのよ〜〜〜っっ!!」

悶える程の痛みに、カナタは床をのたうちまわっている。

 

「……………カナタ?(汗)」

 

そんな所に(運悪く)登場するのが、カイルであった…。

「「カイルさんv!」」

ぱあっ!と表情を変えると、同時に2人は叫び、同時に喋り出す。

「聞いてくださいーーーーーーーっっっ!!!!!」

「卵がーーーーーーーー!!」

わー!きゃー!と騒ぎあう2人だ…。

2人の話をなんとか聞き取るカイルである…。色々と慣れてきたようだ…。

 

「――――――――ゆで卵をおでこで?」

 

「「はいっ!」」

元気良く返事をする姉弟の姿は(中身はどうであれ)非常に子供らしいものであった。

「? これを――――…」

ひょいっと卵を手に取ると、カイルは自らの額に振りかぶった。

「あーーーーー!;(危ないです!カイルさん!!)」

 

――――コツン。パキッ…

 

「はい…、」

スッと手渡されたそれは、確かにキレイにひび割れている。

「わっ!割れてます!!」

「カイルさん!すっご〜い!」

喜ぶ2人にカイルは困ったような表情で微笑んでいる…。

 

そして、2人はチャキッと新たな卵を取り出し、再び振りかぶった。

「僕もまだまだ負けませんーーーーーーーーっっ!!――――――ぐあっ!!(汗)」

「お姉ちゃんもーーーーーーーーーー…っっっっ!!(泣)」

「……………(止めた方がいいかな…>汗)」

 

ゴッ!ガ!と嫌な音が辺りに響き続けるのであった―――…。

 

 

 

 

 

 

おまけ

「全然割れません〜〜〜〜〜〜〜(怒)」

「………………いい加減に仕事の方に力を注いで頂きたいものですな…そんな下らない遊びなど止めて、」

「………(怒)」

ピキッ…と額に青筋を浮かべつつ、カナタはシュウに黙って卵を手渡す…。

「誰がそんな―――」

そう言って拒否する前に、カナタは思いっきりシュウの額めがけて卵を振りかぶった。

 

――――――――ぐしゃ!ベシャッッ!!

 

そう、生卵を。

「あはははははははははははは!卵の恨みを思い知ったかーーーーー!役立たず軍師ーーーーーーーー!!バーカバーカ!」

…………最近、言葉遣いまでも悪くなった少年である…。