「はい?坊ちゃんのお好きな物ですか?それはもう!昔から犬や猫と言った動物がとても好きで…!…あ、そうですか、他には……ああ!昔レパント様の御屋敷にあった巨大なルーレットがとても気にいっていらっしゃって何度も遊んでいらっしゃいましたよ!」

 

 

ロシアン☆ルーレット♪

 

 

 

「やっぱり全部をからくり化するのはムリですね〜。やっぱりここは動力を人力にするしかないですね!」

「ふむ。じゃが、設置する場所はどうするんじゃ?」

「あたしは大広間が使えると思うんだけど〜…」

「そうですね、じゃあ横の壁もぶち抜いて場所を確保しましょう!お店の人達にはちょっと退いてもらって。―――――ばれない為には、一夜だけの突貫作業になりますケド、大丈夫ですか?」

「大丈夫じゃ、」

「他の場所で準備して行って、組み立てるだけなら、何とか間に合うかも。」

「じゃあX日までに…」

 

どこかもわからない部屋の中で、3人の少年少女老人らがひそひそと何やら企てごとをしていた………

 

 

 

X日…

 

「カーイルさんv」

楽し気な少年の声がカイルを呼び止めた。

何やらいつもより、1.5倍程わくわくさが高い…。

「?」

首を傾げて、カイルは何?と問いかける。

「いいもの作ったんですケド、一緒に遊びませんかv」

「いいもの?」

なんだろう…?とカイルは思った。

大概においてこの少年が企む事はろくな事がないのだが…………しかし、次にカナタがいった言葉に、カイルの頭からは全ての不安が吹き飛んだ。

 

「じゃーーーーんっ!なんと!カイルさんが好きって噂の『巨大ルーレット』を作ったんですv」

 

しーん…

 

何故か静まり返る一瞬。

「あれ?(汗)」

反応が何も帰らない事に、カナタはイヤな汗を浮かべて頭をかいた。…しかし。

「カナタ……」

「は、はい」

ガシッと手を握られた。

そして、それをカイルは胸の前まで引き寄せて――――――…

「ありがとうっ…!」

キラキラキラ…

そんな音が聞こえるように、瞳を涙で輝かせるカイルだ。もちろん、涙はうれし涙である…。

「いえ…(そんなキャラが変わるまで喜ばれるなんて、なんてゆーか嬉しいようなルーレットにむかつくのやら…)」

 

ルーレットにめちゃくちゃ嫉妬です…と少年は心中で呟きながら、騒動の中へと喜び中のカイルを誘うのであった。

 

「じゃかじゃかじゃーーーーーーん!これが今回完成した『新巨大ルーレット』です!!ちなみに、協力開発者にアダリーさんとメグがいます!!」

「わ〜…v」

でーーーん!とそびえ立つのは、元大広間であったと思われる場所にある謎の建築物。…しかも、壁まで壊され、大変な様子を見せていた。(ちなみに、石版はルックごと別 の階に移動させられたらしい。)

あまりに巨大過ぎて、一応ルーレットである事は判別できるのだが、一体どんなコマがあるのかまではまったく持ってわからないのだった…。

「当社比1.5倍の大きさで、止まるコマの種類は数知れず!な感じなんです!しかも乗る場所を増やす事によって大人数での遊びも楽しめるんです!ちなみに、動力は人力ですからエレベーターは封鎖中ですよ!」

自慢げにいう少年に、カイルは感心した表情で拍手を送っていた。いつものように、止めようとはまったくしていない…。

「とゆー訳で、暇な人は参加して下さいね〜v」

とゆー訳も何も…ここまで城を改造されていては、本日の活動は全て中止だろう…。何せこのルーレット、外まで進出しているのだから…。

既に騒動に慣れた者や、怖い物見たさなメンバーは参加する事を決めて、それぞれ3人グループで乗り口に向かっている…。あまり自殺願望は持たない方が利口だと思うのだが、やはり習うより慣れろなちょっと以上になっている城内メンバー達だ。

「何はともかく始めましょう!」

「うん、」

いつもからは考えられない程の強い頷きをカイルは返した。

「じゃあ、ここどうぞvメインブロック(?)ですvここでルーレットを動かせるんですよー!」

言い換えれば、この場所以外ではこのルーレットを止められないという事だ…。

 

「ルーレットスタートv」

 

ガションッ!とお約束な感じのレバー(銀色の棒に丸い飾りがついている物)をカナタは引き倒した。

 

ゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!

 

「はっ!はやっ!!(汗)」

思いもやらぬスピードで回転したルーレットに、少年は風圧で飛ばされかけていた。溜まらずに、カナタは床へとうずくまる。

――――――何名かの参加者は既に飛されているのが見える。

「どわーーーーーー!!(汗)」

かなり近くで更に叫び声が響いた。その声にカナタは薄目を空けると、同じようにフリックが必死でうずくまっているのがみえる。

「あっ。フリックさん。なんでこんな所に乗ってるんですか。」

「好きで乗った訳じゃないッ!勝手に乗せられて……どわああああああああああ!!!!?」

相変わらず不幸なフリックだった…。

ただひたすら襲い掛かる不幸に悲鳴をあげるばかりだ…。

「はっ!カイルさんはっ!?」

そんな事はどうでもいい少年は、カイルの姿を確認するが……

 

平然と立っていたりした…。

 

「…………カイルさん…」

とか何とかやっているうちに、回転速度は落ちて来た。

 

「お〜〜〜…ようやくストップですね〜…」

「何が出るかな?」

「どうでもいいから、オレを下ろしてくれッ…(汗)頼む…」

フリックの意見を無視しつつ、少年らの止まったコマはというと…

 

『宝箱』

 

「わ〜…v」

「中身なんでしょうねーv色々宝箱にも種類ありますし〜v」

わくわくと少年らは上から降って来た宝箱を一緒に開ける。その下で…

「できれば『おくすり』にしてくれ……」

フリックが苦し気に呟いていた…。どうやら落ちて来た時に潰されたらしい。

しかし、まあ予想に反してというか、でてきたものは…

―――――――まごの手。

「???」

よくわからない物だ。

「まあ、最初ですからこんなもんですね!フリックさんに進呈します!」

「どうしろっていうんだ!これを;」

ちなみに、他の組みでは、金ダライが降って来たり、くり(イガ付)が箱に入っていたりしていて、何かもバツゲーム大会のような様子を見せていたりする。

「じゃあ、次いきましょー!」

「カナタ…、次、スイッチ押させて」

 

わくわくと目を輝かせたカイルに操縦権は渡される事となった…。

第2回転。

 

「ぎゃーーーーー!(汗)」

「わーーーーーー!!(汗)」

「もう下ろしてくれーーーーーーっ!!(汗)」

 

阿鼻叫喚の場とかした元大広間だが、楽しく回っているカイルとカナタにはまったくそんな物は気にならなかった。迷惑な話である。

「と…止まった…今度はなんだ?(汗)」

 

『猫』

 

「「「猫v」です!」?(汗)」

ニャーニャーニャー

どささささ!と落ちてくるのは猫の集団…。

「一体なんでこんなコマがッ!?」

「ネタ切れだったんです…あーーーー!カイルさん!!猫に頬擦りなんかしないで下さいっ!!(泣)」

「v〜〜〜」

にゃーにゃー

 

 

「何はともあれ、3回転目いきましょーかっ!」

「……うん。」

猫は全部返却させられたようだ…。そこはかとなく、カイルの機嫌が悪い。

ゴーーー!と再び高速回転が始まる。

 

『敵』

 

「はっ!モンスターコマに止まりましたよ!かなり強いの入れましたからね!ダンジョンボス並みの!」

カナタのその言葉に、チャキッと戦闘体勢に入るカイルとフリック。本当に何が出てくるのかわからない…。

一体何が!?と緊張する一瞬だったが…

 

ぼとっと天井から落とされて出て来た物は、簀巻きにされたジョウイ=ブライトその人だった…。

 

「カ、カナタッ…!一体どういうつもりで…!」

「いや、一応ラスボスだから、強いかな〜?って」

ジョウイの質問に、あっさりとカナタは言い放っている。

「…………」

ちなみに、その後ろでカイルが倒すかどうか悩んでいた…。

「ちなみに、他にはナナミ料理やシードさんも入っていて色々と死闘が楽しめますよ☆」

「カナタ…そこで暴れてるのがそうじゃないのか…?(汗)」

フリックが怒りで暴れる赤髪の青年を指差しながらいうが、少年はまったく聞いていなかった…。

 

 

 

「ふーーー!なかなかよく遊びましたね!」

「そうだね、」

「ハズレのコマの方が多かった気がするんだが…(汗)」

いきいきとしている2人に、フリックは疲れた表情で尋ねるが、かなり無視されていたりする。

「さーーー!何はともあれ、次いきましょー!」

勢いよくカナタがレバーを引く………が。

 

ボキリッ。

 

…イヤな音がした。

決して、カナタが殴られ(て骨が折れ)た音ではない。

そう…………

「レバー…とれちゃいましたv」

何故か正座で少年がてへvと的確に状況を説明した。

その手元にはボッキリと折られたレバーが握られていたりする…。

 

「「!!!!!」」

 

 

そして、ゴーーーーーッ!と回り続けるルーレット…。

 

 

 

その日、回転し続けて土台から外れて飛んだ巨大ルーレットは、シュウの自室に突き刺さったという……。

死人は出なかったらしい。

 

えんど。(爆)