早朝……まだ、日が出て間もない頃…、同盟軍リーダーカナタの自室では……

 

ドーン…ドドーン!! パパパパパーーンッ!!!!!

 

謎の怪音が響き渡っていた…。

当然その自室にいる、カイルも気付かないはずもなく、眠い眼を擦りつつ、身を起こしていた…。

「ん……」

うとうととしてしまいそうになる意識を無理矢理覚醒させ、カイルは隣にいるはずの少年を見遣った―――――が、いない。

「…カナタ?」

辺りを見回してみると、すぐに少年の姿は見つかった。………何故か、鼻につんと来る刺激臭が漂っている…。

多少眉を顰めながらも、カイルは(とりあえずそれは置いておき、)カナタに声をかけた。

「カナタ…さっきの音何?」

その声にピクッと少年は反応すると、つーーっとカイルの側まで音もなく駆け寄った。

「あvおはようございますー☆さっきのは、太鼓のれんしゅーしてただけですよー☆もうちょっと寝てても大丈夫ですよ?」

「うん……」

あっさりと納得して、カイルは再び眠りにつこうと―――――――…

 

「………カナタ、『ドーン』まではいいけど、『パパパーン』って太鼓で鳴る?……それにこの匂い…火薬じゃ?(汗)」

 

………。

暫しの沈黙。

「ちぃっ気付かれましたか!」

悪びれる様子もなく、開き直るカナタだ…。なんかもう、色々とダメだろう。

「………今度は何してるの?」

「いえv今日から僕は、2主戦隊の漢イエロー!なんです!!」

 

………?

 

「とゆー訳で、今日から僕は正義の味方なんですよ!?」

「………(汗)」

カイルは思った…。

―――――何から突っ込もう…と、

「―――――イエローって…残りは?(汗)」

「はっ!鋭いツッコミですねっ!?それはっ………!」

クッ…と口惜しそうに拳を握りしめると、カナタはカイルに顔を近付けた。

「?」

「ないしょです〜♪」

ちゅう。

「―――――――――――――!!!!!!!!!!!!?(///)」

「今日のお昼あたりを楽しみにしてて下さい〜vあはははははーーーーーー!!!!!!」

 

笑いながらかけさってゆく少年を、カイルは顔を真っ赤にして、口を押さえたまま見送るのであった…。

 

 

『2主戦隊漢イエロー!』

 

 

そして、その昼…

「………(汗)」

一体何をやるんだろう…とカイルはレストランの一角で、どうしようもない不安を抱えていた。

ふぅ…と溜息をついて、カイルが立ち上がろうとしたその時。

 

――――ガッ!

 

「!?」

何者かがいきなりカイルを背後から羽交い締めにした。

思わず反撃に出ようとしたのだが、なんとなく見覚え―――というか、感じ憶えのある気配に、カイルは全身の緊張をといた…。

「動かないで下さい………(泣)」

「ジョウイ君……(汗)」

疲れた声で、カイルは背後にいる人物の名を呼んだ―――――…

そう、現在、トランの英雄を羽交い締めにし、そしてその顔に刃物を突き付けている人物こそ、ハイランド軍のリーダー、ジョウイ=ブライトその人であった―――…

「すみませんっ…!どうか理由は聞かないで下さいっ…!好き好んでこんな事をしている訳じゃ…」

聞かなくとも、それはわかる。

それはもう…はっきりと、

「ジョウイ君…」

「はっはい…!(汗)」

「―――――何か辛い事があったら、相談してね…(汗)」

「〜〜〜〜〜〜カッ、カイルさん…(泣)」

カイルが背後を振り向くと、そこにはとうとうと涙を流すジョウイの姿があった…

そして、ジョウイは何か決意を決めたような表情でキッと口を開いた。

「―――実はっ!これは、カナ……」

 

「そこまでです!!」

 

ドーーーーーーン!と派手に火薬を使い(しかもカラフル)、噂の人物、カナタが現れた。

「うっうわあっ!!(汗)」

「カナタ…(汗)」

 

「卑怯にもカイルさんを人質にとっての残虐非道な振る舞い!お天道様が許しても、この僕…漢イエローが許しません!!」

 

何故か全身黄色(いつもの服を黄色に染めたらしい)の衣装をして、訳のわからない事を言い出したカナタだ。どう考えても、被害者を出しているのはこの少年だろう。登場時の爆発に何名かのレストラン客が巻き込まれてそこらに転がっている。

「いっきまーす!!イエロープラズマキーックッ!!」

説明しよう!『イエロープラズマキック』とは、ただ普通の跳び蹴りに大層な名前をつけただけの物だ!!

「ちょっま……」

 

ドガッ!!

 

問答無用!とばかりに、カナタは既に武器も人質も捨てたジョウイに跳び蹴りを決めた。

―――――しかも、とどめとばかりに、ジョウイが倒れた所から、爆発が上がったりもしている…。(元々仕掛けていたらしい)――――残るのは、ただ黒焦げになった元人間の姿だけ…。

「正義と愛は勝ーーーつ!」

ビシィッ…と謎の決めポーズをとる…。

「カナタ……(汗)」

「はいっ!なんですか!?カイルさん!!―――――じゃなくて、人違いです!僕は通 りすがりの正義のヒーロー、漢イエローですよ!?」

「………………………(汗)」

微妙そうな表情でカイルは溜息をついた…。

「なんでジョウイ君を…」

「いえ、都合のいい悪ってなかなかいないもんですからv今ジョウイの飼ってる心の友、金魚のぴーちゃんを人質にとって、悪役に扮してもらったんです!」

それは俗に言う、『やらせ』というものだ。

「カナッ……!」

 

きゃーーーーーーー!!!!!!

 

カイルが今の内に怒っておこうとした瞬間、聞き慣れた少女の悲鳴が辺りを震わせた。

「!」

「ナナミ!!」

ばばん!といきなりシリアスな展開(?)になるのだったが―――――…

 

「せっかくカナタとカイルさんに今日のオヤツにって作った巨大ゼリーが逃げちゃったあ!!コラー!!まちなさーーーーーい!!!!!」

 

…………廊下の方で、そんな声が聞こえて来る。(後何か巨大な粘体が這う様な音も…)

普通のゼリーが逃げる訳がない為、どんなゼリーかと言う事は、押して知るべし…とった所だろうか?

「カナタ……、」

「あ、イエローとしては、カレーを美味しく食べなきゃいけませんよね〜。」

廊下を指差すカイルから、さっと目を逸らすと、カナタはあっさりとカレー(甘口)を注文して、はぐはぐと食べ始めた。(ヒーロー失格)

「カナタ(汗)」

「だって、今行くと危ないですよ!(色々と>汗)」

バッターーーーーン!!

揉めている所に、いきなりゼリー怪人(それらしく仮名)が現れた。

そして、それがいきなり、でろーっと触手(?)を伸ばしたと思った瞬間、

 

いきなりカイルを絡めとって行った。

 

「ッ!?」

「カイルさん!!」

グニャグニャとした透明な巨大ゼリーがカイルを体内に取り込もうと、動き続ける。

「っ…!!」

必死にカイルももがくが、相手はゼリー。どれだけ力を出そうとも、そのグニャグニャとした身体にはまったく効いていないのだ。

まさに絶体絶命の大ピンチ!

「おのれーーーーー!僕のカイルさんに何すんですかーーーーーーーー!!!!!!イエロースペシャルキーーック!!!!!」←名称が変わっている…

勢い良く、ジョウイを一撃でのしたキックが炸裂する…!しかし―――――

 

ボヨン。

 

ぺいっとばかりに、少年は弾き返された。

「なっ…!僕のキックが効かないなんてッ……!!」

説明しよう!!カナタ少年……もとい、漢イエローは、普段せこい手…更にもとい、裏技(ゲリラ戦法)ばかりで、相手を倒して来た為、著しく身体能力が低下していたのだ!!

「くぅ……っ!!」

「カナタ……」

本気で口惜しそうなカナタと、ちょっと疲れて来てどうでも良くなって来たカイルの視線が重なり合う…。

「こうなったらーーーーーーーーーーーーー!」

少年が叫んだ瞬間、ゴゴゴゴゴゴゴゴ…!と地響きが起きた。

「!?」

 

庭がパックリと割れ、(窓から見えた)その間から、巨大ロボ(からくり丸に酷似)が出現していた……。

 

「戦隊物!戦隊物と言えば巨大ロボ!!絶対必須ですよね!!みてろよ!巨大ゼリー!カイルさんに手を出した事を思いっきり後悔させてやりますッ!!」

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜……」

一体いつの間にこんな物を…(汗)

カイルはゼリーに取り込まれているのも忘れ、呆然とそれを眺めた。そう、庭に突然に出現した謎の巨大ロボ…と、罪もない人々がその開いた地割れに落ちてしまっているのを、(でもおそらく命は無事だろう)

「もー!こんな所にいたー!まだトッピングすんでないんだから、勝手にどこか言ったらダメでしょー!もうっ!………あれ?ジョウイだ!!わー!!!なんでこんな所に寝てるのかわかんないケド、起きたらまっ先にお姉ちゃん特製ゼリー食べてもらわなくっちゃっ!!よしっ!頑張るわよー!!!!!」

キシャーッ!

おたまでゼリー怪人(?)を撃退(?)しながら、ナナミはゼリーとジョウイ(一番不幸な人物だと言える)と共に退場する…。

「さーーーー!ロボに乗り込みです!!――――って、あれ?ゼリーはどこですか!?」

「…………」

自由の身になったカイルは、棍をガシッと掴むと、ゆらりと立ち上がった…。

そして…………

「カナタ………」

「はい?」

 

 

ベキィッ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――――――――反省しましたぁ〜〜〜(泣)もうしませんーーーーっっ!!(涙)」

頭にたんこぶを作ったカナタは、泣く泣くそう告げる。

そして、カイルはと言うと、夕陽をバックに疲れた表情で立っていた…。

「………………うん、(汗)」

 

―――負けるな!僕らのカイルさん!

   戦え!!僕らのカイルさん!!

   同盟軍の平和と未来は君の肩にかかっている!

   頑張れ!―――――カイルさん!!

 

完!

 

ED(スローで>笑)

 

る〜〜〜るるる〜〜〜〜♪

Ah〜〜〜今日の海は何故こんなに紅いんだろう〜〜

Ah〜〜〜それは敵が流した血〜〜仲間が流した汗〜〜

僕が君の為に流した涙さ〜〜〜♪

 

る〜〜るるるる〜〜〜♪

 

☆今日の海は愛ーー♪

君に燃える僕の愛ーー♪

きっといつまでも消えないーーーこの紅は〜〜〜♪

◎いつまでも〜〜〜♪

BURNING(バーニング)☆LOVE(ラブ)ーーーー!!

 

(☆繰り返し)

(◎2回繰り返し)

                          作詞カナタ

                          作曲カナタ

 

 

鈴鳴さんともろこさんと猫ノ森さんに捧げます………(吐血)