「なんでダメなんですかーーーーーっっ!!!!!(怒)」

 

少年の怒声が響く…。

場所は坊ちゃんラブ城、オレンジドラゴン軍の本拠地だった…。

この城では日々、何事か騒動が勃発しているのだが、今回の規模もとてつもない物だったりした。

 

 

 

「ネコとか犬とかは大量にいるんですから一匹くらい増えてもいいじゃないですかーーーっっ!!!」

「ネコや犬も許可した覚えはありません!!それに犬やネコではなく―――」

「そーです!人だよ人ー!!人材ですよ!人が増えるんだからいいじゃないですかーー?(上がり調に、人の神経を逆撫でする口調)」

「よけいな人材は要りません!(怒)大体これ以上――」

一応なんちゃって軍主的な存在であるカナタと、その軍師シュウは怒鳴りあっていた。

これはいつもの事だとも言えるが、カナタ切れてまともに口喧嘩している事は珍しい。…いつもならば容赦なく、笑って脱毛剤を相手にぶちまけるカナタが、一体何を怒鳴りあっているかというと――――…

 

「ッこれ以上真の紋章持ちを集めてどうするって言うんだこの馬鹿軍主がーーーーーッッ!!(キレた。)」

「トリプル紋章攻撃が出来るかもしれないだろこのハゲーーーー!!」

「国が滅ぶわッ!!(激怒)」

 

そして、それを眺めているカイルと―――…マリンブルーの目の異国の少年。カイカだ。

そう、この人物が問題だった。(本人は全然騒動に気付いていないが)

カナタとカイルが仲良く遺跡探検に行ってみた所、空けてみた宝箱からあらビックリ!………150年前の、(歴史にあんまり残らなかった)英雄が出て来たのだ。

本人から話を聞いた所、間違って転がり入って、そのまま寝転けていたらしい…。不老だけれども、不死ではない真の紋章持ち…。そんなに長く寝れるかと言えば疑問なのだが、まあ…冬眠中の熊も、冬の間は寝れると言う事で、問題は解決した。

が、そこで問題だ。

普通に黙って連れて帰り、どさくさに仲間にしておいたらいい物の、愉快犯な性格の少年は――――…

 

「ちょっとバイオレンスでサスペンスな罰の紋章の保持者です〜♪」

 

と、紹介したから今の騒動になっていた。

「………はぁ;」

カイルは溜息を付いた。

ギャーー!ワーーー!とノドが潰れるんじゃないかという程の声量でがなりあっている二人を見つつ、カイルはいつになったら終わるのかと困り果 てていた。そしてついでに言うと―――…

「………(汗)」

「…」

何故かカイカに懐かれていた。

別にくっつかれている訳ではないが、ちょこんとカイルの横に座っている。

「………;」

「?」

どうして?;と困ったように悩むが、相手はただ小首を傾げるばかりだ。

自分よりも身長も年齢も高いはずの相手だが、雰囲気が異様に幼い為、ついついほだされてしまう…。この辺りがカイルの弱い部分だが…

ふいに大事な事に気付く。

「…(そう言えば)お腹、減ってる?」

「…(こっくり)」

相手は冬眠明け(?)の人物だ。空腹でないはずがない、

「…じゃあもうカナタ放って行こうか…;」

 

いつまでも喧嘩を止めようとしていない少年を放置する事にし、二人は手を繋いでレストランへと行った…。

 

 

…ちなみに、カナタはやっぱり実力行使でカイカさんの居住権を勝ち取ったらしい。

 

 

まあ、そんな3人の日常が今、始まる…(オチなかった…;)