同盟軍本拠地ぼっちゃんラブ城…。

何やら真の紋章持ちが増えたとはいえ、今日も今日とて平和。

 

 

「カイルさ〜んv今戻りましたー♪」

「…おかえり?;(で、いいのかな??)」

カナタが自室に戻り、中に残っているカイルがお帰りの挨拶をする。―――考え過ぎかもしれないが、カイルの居場所と言うか、家がこの城になって来てはいないだろうか?新婚夫婦のようだ…。

まあ、とにかく。ここまでは、今までの常の状態であったりする。

最近変化があったのは、今この場に1人面子が増えている事だ。

両手に薄い本を大量に抱えた少年の後ろに、やはりお同じように本を抱えた少年よりも少し年かさな少年が付いて来ていた。バンダナを付けた栗色の髪、同じく赤系色の服を着たカイカと言う少年である。

見た目年齢も、身長もカナタより年上なはずだと思われるのに、彼独特の雰囲気で、どうしてもカイカの方が幼く見えてしまっていた。

「それ、どうしたの?」

「いえ、図書館から借りてきたんですよー丁度読書週間でしたし。カイカさんが絵本好きだって言いましたから、―――――後、情操教育を始めようかと。」

「じょうそう…;」

子供じゃあるまいし…と思う反面、非常に見かけよりも幼い行動を取り続けるカイカを見ると―――…した方がいいのかもしれないとも思う。

「ちなみに僕が選本しましたー♪」

「…(♪)」

「…………(ちょっと不安かも…>汗)」

その言葉に一気に不安になったカイルだ。

「じゃあ絵本の時間を始めまーす♪」

「…(拍手)」

そんなカイルを気にせず、カナタはマイペースに宣言した。そして、まるっきり無表情にカイカから小さい拍手が起こる。………これでも、かなり喜んでいるのだ。見慣れた者には、彼の周りに嬉しそうな花オーラが飛んでいるのが見える。

微笑ましい気持ちでそれを見ているカイルだったが―――――…椅子に座っているカイルの横に2人してクッションと本を持って座った。

「?;」

「カイルさん読んで下さいねー☆」

「…(♪)」

「………(汗)」

ちょっと子持ちの主婦の気持ち…。(?)

しかし、カイルは子供(と動物)に弱い、一冊の絵本を渡され、(カナタに)膝の上に顔を乗せられると、仕方がないと思う心境になっていた。カイカも真剣な目で見つめているので、もう断る事は出来なかったりする…。

「読む、ね?」

「はい!」

「(こっくり)」

まずは、渡された絵本のタイトルから読む――――…

「『とにかくさけんでにげるんだ』、…?『わるい人から身をまもる本』―――――…って、カナタ。(汗)」

何の本を渡してるの!?;とカイルは困惑する。

内容は、変質者や知っている人からの性的ないたずらに子供がどう対処すればいいのか、それを教える為の教訓絵本だ。でも、声に出して読むにはちょっとヤバい。

「いや必要ですよ!カイカさんには必要な知識ですよ!!」

「そうかもしれないけど…;」

「?」

つづきは?つづきは?と呑気なのはカイカだけだ…。

 

 

 

「―――――じゃあ、後でね…;先にこっち、」

揉めに揉めた結果、後でカナタが代わりに読む事になった。

とにかく、カイルは今度は別の本を取り出し…

「―――『花くいライオン』、」

 

…。

 

「……………(泣)」

「ううっ…!(泣)絵本を”っえほん”を舐めてましたーッ…」

「…ライオン、おはな…(泣)」

全員がダメージを受けていた…。

絵本は何か泣ける話は泣けるのが多い。

「ライオンーーーーッ!なんで食べたんですかーーー!!食べちゃダメですよーーー!!(怒)」

「ひげで…そんな…(泣)」

「たべてもいい…(泣)」

カナタは、ライオンが唯一自分を愛してくれた花を食べた事に泣きつつ怒っているし、カイルはヒゲがなくなった事で王様の座から追いやられ、友情やら何やらも全部嘘だった事に涙を落としている。カイカは、このライオンに自分を食べさせてもいいとまで思いつめているようだ…。

 

情操教育…

成功したのか失敗したのかわからない結果となった…

 

『なんでもいいから、早くその本読んで教育してくれ…;』

そして、(ソウルイーターの中で)テッドは呟いていた…。

そう…一同肝心の本題を忘れきっていたのだった…。

 

完。

 

えー…本当にある絵本です。

『とにかくさけんでにげるんだ〜』はタイトル見た時笑いました…。

花くいライオンはなんとなく…

花が可愛いなと…(吐血)