チェリー

 

「シード、後で私の部屋に来い」

早朝会議終了後、シードはクルガンに呼び出しをくらった。

「何だろ…。俺なんかしたっけか?」

小首を傾げながらクルガンの自室前まで来ていた。

「う〜ん。ま、いっか」

あまり深く考えずに部屋に入って行った。

「遅かったな。」

「ん〜、わりーわりー、で?このばかデカイ箱は何だ?」

床に置かれた人一人は入れそうな箱。

「…開けてみろ」

クルガンが何か諦めたような表情で言う。

「???」

(何が入ってんだ?)

シードは箱へと手を伸ばした。

「なんっだこりゃあああ〜〜〜!!!!!」

「見ての通りチェリーだ」

短く嘆息しながらクルガンが言う。

「そうじゃねぇ、俺が言いたいのは…!!」

何でこんな膨大な量のチェリーがあるのか。

そう聞く前にクルガンが説明した。

「お前、以前ジル様にチェリーが好きだと言っただろう。」

「だからって何でこんなに大量に…っていうか何でクルガンんとこにくるんだよ!?」

「…それは一種のシャレか?」

顔をしかめながらクルガンが言った。

「どあほっ!!!」

シードの拳を難無く受け止めながらクルガンがいう。

「ジル様が…」

 

『シードと二人で食べてねvそしてこのチェリーのような甘い夜を過ごしてねv』

 

「………………何考えてんだ、あの人も…」

がっくりと項垂れてシードが言う。

「さあな何も無理して食べることもなかろう。誰かに送れば良いのだ」

「おいおい、仮にも皇女様からの贈り物を…」

「では全部お前が食べるのか?」

「…結構です」

シードにしては珍しいまともな意見もクルガンの一言により撃沈される。

「んで?誰に送んだよ」

「ふむ、カナタ殿に半分… 」

「カナタ?…最近仲いいな…」

額に怒りマークを浮かべシードが言う。

「何だ、嫉妬か?」

「ふん、馬鹿言え!!」

シードは笑って言った。が、

「顔が引きつっているぞ」

にやにやとクルガンが人の悪そうな笑みを浮かべて言った。

「…う、うるせー!!!」

真っ赤になってそっぽを向く 。

そんな子供っぽいシードの仕草を見てクルガンはさらに湧き上がる笑いを堪えた。

(まったく、見てて飽きん奴だ)

「なあクルガン、カナタに半分送って半分残しとくよな?」

考えにふけるクルガンの服の袖をくいくいっと引っ張りながらシードが問う。

「お前、半分なら食べるつもりでいるのか?」

珍しくクルガンが驚きを表に出す。

「え?当たり前だろっ!!」

無意味なポーズを決め、得意気に言うシードを見てクルガンは目眩を覚えた。

「もちろんお前も食べんだろ?」

にこーっと笑って言うシードの腕をクルガンは囁いた。

「私にはもう別の果物が用意されているから」

と言うなりシードの服を剥ぎ始める。

「なっ!!お、俺は果物じゃねーーー!!!!!」

「何処が違う、甘いではないか」

「どあほーーーーー!!!!!!!!」

 

果物…もとい、シードの 叫びも空しくクルガンにおいしくいただかれてしまった…。

 

 

                              

 

 

 

                                      あれ?なんか届いてます