プレゼント<謎の薬1

クルガンさんへ

何となく暇だったので、薬を作ったら変なのが出来ちゃいましたv

『ネコ化薬』です!!カイルさんにばれたら捨てられちゃうので(僕と薬どっちでしょうね?)、

あげますv

ちょこクッキーにまぜてみたので、誰かにでも食べさせて下さい!!

注意:量が多いと本物のネコになりますよv

                           カナタより。

 

「……………」

手紙と一緒に届いたクッキーを片手にぼんやりとしていると、

「ちぃ〜すっ!!クルガン元気しってっか〜?」

ノックもなしにシードが入ってくる。

「……いつもノックをしろと言っているであろう」

呆れたようにクルガンが言うが、シードは気にした様子もなくからからと笑っている。

「んな細けぇこと気にすんなって!!」

「…………………」

額に青筋を浮かべながらため息をつく。

「それよりお前また貰ったのか?」

クルガンの手元の派手なラッピングを見てシードが尋ねる。

「ああ、まあな。……気になるか?」

人の悪い笑みを浮かべシードの顔を覗き込む。

「だぁ〜れが!!」

そう言って部屋を出ていこうとするシードの腕を掴み引き寄せた。

「え?ちょっ、何…むがっ!!」

抗議の声を上げようとしたシードの顎をひっ掴み口の中にクッキーを放り込む。

「………何のまねだよ…」

クッキーを飲み込んだのを確認してからクルガンはシードを解放した。

「いや、旨いか?」

「……旨かったけど…」

「ならいい」

そう言うとクルガンはソファーに腰をおろした。

(もしかして機嫌取りのつもりだったのかな?)

シードはそう思った瞬間言い様のない嬉しさにかられ、先ほどまでの機嫌の悪さは

吹き飛んでしまっていた。

「なあなあこのクッキーって誰に貰ったんだ?」

小首を傾げながら聞いてくるシードにクルガンは、

「お前にやるようにと、ある人からの贈り物だ。」

「俺ぇ?ある人って……???」

「まあ気にせずに貰っておけ」

「???まあ、クルガンがそう言うなら…」

後々自分のこの気軽さを呪うシードであったが、彼に学習能力というものは見受けられなかった…。

 

次の日………

「なぁぁ〜〜」

(……どうなってんだ???)

鏡を見ているのは自分なのに映っている姿はネコ。

試しに自分の頬をつねってみるが、痛みがある。

(夢じゃねぇ………ってことは何か?俺はネコになっちまったと?)

以外と冷静に事を受け止めているように思えたシードであった。が…

「にゃああぁぁ〜〜〜〜〜!!!!!!」

(なぁにいいぃぃ〜〜〜〜!!!!!!)

しっかり錯乱していた。

 

「シード、起きろ……?」

クルガンがシードの補佐官に泣き付かれシードを起こしにきたのだが、そこにシード本人はおらず、

ネコ一匹ちょこんと座っていた。

「……………」

クルガンにはすぐにこのネコが誰なのかわかっていたが、

「シードは何所にいったんだ??」

わざと知らないフリをする。

「んにゃああ〜〜〜!!!」

必死にまとわりついてくるシードを見て思わず吹き出しそうになったクルガンであったが、

それをなんとか堪え、ひょいっとシードを抱き上げた。

「………シードか?」

わざと考えるフリをしてシードに尋ねる。

「んにゃあぁ〜〜vv」

こくこくと激しく首を縦に振り肯定するシード。

「まさかな」

がくっ

クルガンの一言に意気消沈するシードを見てさらなる笑いを堪えた。

「腹が減っているのだろう、何か食べるか?」

(機嫌を損ねていなくなられても困るからな…)

そんな事を思いながら聞くと、一転して嬉しそうに鳴いた。

 

(あ〜あ、俺元に戻れんのかなぁ〜………)

クルガン腕の中からクルガンを見上げる。

(こいつは気づいてくれそうにねぇーしな…)

ふうっとため息まじりに息を吐く。

「どうした?心配事か?」

「!!!???」

突然のクルガンの言葉に弾かれたように顔を上げる。

「何故そんな事がわかるのか?といったとこか…」

「!!!!!!」

クルガンはシードの頭を優しく撫でながら言った。

「お前の事なら何でもわかる。心配するな、必ず元に戻る」

「なぁ〜〜」

クルガンの手の暖かさを感じながら、シードはうとうとし始めた。

(あれ?そういえば何で……???)

 

目が覚めた時シードは元の姿に戻っていた。

そして………

「ク〜ル〜ガ〜ン〜〜〜!!!!!」

烈火のごとく怒ったシードがクルガンの執務室に訪れてきた。

「どうした、シード」

「てめ〜俺がネコになったときよくも嘯いてくれたなぁ〜!!」

「何の事だ?」

しれっと答えるクルガン。

「とぼけるなぁ〜!!クルガンのバカヤロォ〜〜〜!!!!!」

今日もルルノイエにシードの怒鳴り声が響いたそうな………

                                       end

 

な、長い………当初の予定ではこんなに長くなるはずではなかったのに…。

はぁ…、疲れました。海月は横で暑中見舞いのハガキ書いてるし…。

シードの半ネコバージョン、裏にあります。

って言っても、誰も見たくねーだろうなぁ…。<遠い目>

ではでは。          

                                       深海紺碧