風邪に御注意!!

オレは今すごく楽しい。なぜなら…

「お〜い、クルガン大丈夫かぁ〜♪」

「………何故お前だけ元気なのだ?」

そう、今、ハイランド中に悪質な風邪が流行っているんだ。さすがのクルガンも周りが寝込み始めた中、無事にとはいかず、熱を出して寝込んでんだ。

俺?俺はんなもん風邪なんか引いてねえ。みんな気合いが足らねーぜ!!………そういうわけでもねーのか。 まあ、なぜか俺は無事だった。クルガンだったら「バカは風邪を引かん」ぐれー 言いそうだけど………俺は断じてバカじゃねーぞ!!

「何を一人で百面相をしている」

「うるせー、病人は大人しく寝てろ」

げほげほと咳をしながら起き上がろうとするクルガンを無理矢理ベットに押し戻す。

(こんな時にしかこいつにゃあ勝てないからなぁ〜♪)

そんな事を思いながらにやにやと笑う俺を見てクルガンが言う。

「随分と楽しそうだな」

「え、いや、んなことねーぜ」

慌てて首を振ったけど………見透かされてら。

「それよりリンゴ食うか?風邪にはリンゴだろ」

がさごそと持ってきた紙袋からリンゴを取り出す。

「………お前が剥くのか?」

いやそーな顔をするクルガン。失礼な奴だぜ。

「俺、リンゴ剥くの上手いんだぜ?」

得意げに笑って言うと奴は小さく嘆息して言った。

「まあ、頼もうか」

むっ、まだ疑ってやがる!!

「わざわざ城下まで行って買って来たんだぜ」

「私のためにか?」

「ばっっっ!!!///」

図星を刺され真っ赤になる俺を奴は楽しそうに見ている。

(くそぉ〜、そのうち仕返ししてやる!!)

「良い色をしている…」

「だろっ?」

するするっと慣れた手付きでリンゴを剥いている俺にクルガンが言った。

「お前の瞳の色と同じ、美しい色だ」

「………はあ?」

突然のクルガンの言葉に俺は真っ赤になってしまった。

(こ、こいつ…何言って………!!)

「なななにバカの事言ってっっ!!」

焦ってどもる俺を引き寄せるとクルガンは瞼に口付けた。

「〜〜〜〜っっっ!!!」

金魚のように口をぱくぱく開閉させ動揺する俺を見てクルガンはにやにや笑っている。

(ちくしょー、遊ばれてやがる………)

そっぽを向き皿ごとリンゴをクルガンに突き出す。

「何だ、食べさせてくれるのではないのか?」

「なっ!!??」

(お、落ち着け、俺!相手は病人だ…!!)

自分に言い聞かせ、しぶしぶクルガンの口にリンゴを運ぶ。

 

「………なあ」

「何だ?」

「リンゴ、もうねーんだけど」

「そうだな」

リンゴを持っていた方の手をクルガンが口付け舐める。

はあ………こいつは………。

「なかなかの美味だった」

俺の手を解放してにやりと笑う。

(それは俺の手がか!?それともリンゴか!!??)

とりあえず聞かないでおく。うん、それが一番賢明だ。そうに決まっている!!

「そっか、上手かったか、もう一ついる?」

(俺も食べようかなぁ。)

そんな事を思いながらクルガンの口にリンゴを入れてやると、自分のをと思いリンゴに手を伸ばそうとすると、顎を掴まれ口付けられた。

「ん……ぅん…」

クルガンの舌とともに噛み砕かれたリンゴが俺の口腔に入ってくる。

こくん、と俺がリンゴを飲み込んだのを確認してからクルガンは唇を一舐めして俺を解放した。

「旨かろう」

「〜〜〜っっ!!!」

(カ、勝てねー。俺は風邪引いて寝込んでるクルガンにさえ勝てねーかっ!!)

頭を抱える俺にいたって平静なクルガン。

「………もう一個剥こうか?」

(もう……いいや………;涙)

半ば諦めたように2個目のリンゴを剥きはじめる俺にクルガンが唐突に言った。

「リンゴとお前は似ているな」

「ん?どこが?赤いから?」

「まあ、それもあるがな」

皮を途切れささないように剥く。

(おお、結構続いてる!やっぱ俺ってプロ!!)

半分まで剥けたリンゴを見てそんな事を思っていると、クルガンが言った。

「どちらとも剥かれ、私に食される」

ざくっ

「っってぇぇえ〜〜〜!!!」

クルガンの台詞に手を滑らせ、俺は指を切った。

「何をやっている」

呆れ顔のクルガンに俺は怒鳴る。

「てめーがよけーなことを言うからだぞ!!」

俺の指に赤い血が伝う。

「いってぇ〜、けっこう深く切ったぁ〜!!」

「どれ、見せてみろ」

「え?お、おい」

クルガンは俺の手を掴むと指を口に含んだ。

「おいっ!!」

「じっとしていろ、消毒だ」

そんな事を言われてはじっとする他なく俺はクルガンに従って大人しくする事にした。

 

「俺、手を切っただけなんだけど」

「そうだな」

「お前、風邪引いてんだろ ? 」

「そうだな」

「………元気なのはいい……いや、やっぱよくねえっつーかやめろ!!」

俺はいつの間にかクルガンに押し倒されていたのだ。

「心配するな、このぐらいの風邪ならば大丈夫だ」

「何が大丈夫なんだああぁぁ〜〜〜!!!!!」

 

一一一一次の日

「てめーの所為だぞ………」

「だからこうして面倒を見てやっているではないか」

あの後なし崩しに事を運ばれてしまい、クルガンの風邪をうつされたシードは熱を出して寝込むはめになったのであった。

「俺リンゴ食べたい。あ、ウサギのやつな」

「はいはい」

(我が侭な奴だ………)

「喉乾いた、ジュース飲みたい」

「はいはい」

(口移しで飲ませるぞ………)

「腹へったぁ〜!!くるがーん!!」

「はいはい」

(……………)

こうして、シードの風邪が治るまでクルガンは看病し続けた。

                                       end

 

あとがき

 う〜ん、これは7月に書いた物にオチを付けた物です。しかし……ねぇ?これはないでしょうってぐらい、クルガン氏甘えてます。(汗)サブタイトルは『甘えるクルガン氏!?』

海月:はいお決まりの乱入〜。あのねえ、(私作)主坊があまあまラブラブの両思いって

   紺ちゃんに言ったら、机投げられかけたよ〜!!

マジでながて欲しいらしいな………(机の端を持つ)

海月:ぎゃあっ!!だってさ〜…[ゴスッ]

ふっ、悪は滅んだ………。

海月:なにがだっ!!最後に一言!!!ラブラブだ!![脱兎]

甘いっ!![マシンガンを構え乱射]

                                       深海紺碧