H a p p y  B i r t h d a y t o y o u

 

 

「ねぇ、シト・・・。これは一体どうなってるの・・・?」

「何って・・・見たまんまですよ?」

「見た・・・まんま・・・?」

そう言うとミオは首をかしげる。

見たまんまって言われても・・・何が何だか分かんないだけど・・・。そう思いながら。

ミオがそう思うのも無理はない。

今日の朝、いきなりシトが家に訪ねて来たと思えば、「ミオさん!ついて来て下さい!!」とだけ言い無理やりここまで引っ張られて来たのだ。

いつもシトは突然やって来る。

しかし今日のシトはいつもよりも強引さが確実に上だった。

有無を言わさず、そんな言葉が今日の彼には良く似合う。

「ねぇ・・・見たままって言われても僕には何の事だかさっぱり分からないんだけど・・・」

再び尋ねる。

しかしシトはさっきと同じように、「見たままと言ったら見たままなんです!」と言うだけだった。この答え以外は、言ってくれそうにない。

なので仕方なくミオはもう一度辺りを見回してみる。

色とりどりのリボンや可愛い飾り付けが施されている壁、そして美味しそうなお菓子や食事などが所狭しと並べられている。

何度見回してみてもそれは変わらない。

今日って何かのお祭りだっけ・・・?そう思わずにはいられないような場所へと、いつもの見なれた本拠地は変化していた。

っていうかここはホントに同盟軍のお城なのかな・・・。

少しだけ不安に感じたミオだった・・・。

「・・・よう!ミオ!!今日はおめでとう、だな!!」

突然ミオの背後から熊・・・ことビクトールの大声が聞こえた。

「おめでとう・・・?僕・・・何かしたっけ・・・・?」

ミオはそう怪訝に呟く。いくら考えてもまったく何の検討もつかない。

今日って・・・何?

さっきから何度も同じこの疑問が、頭の中を駆け巡っている。

「・・・・はぁ?何かしたって・・・今日はお前の・・・・・」

その続きをミオが聞こうとした時、だった。シトがビクトールのみぞおちを殴ったのは・・・。

「何でもないですよ!熊が何か勝手に勘違いしてるだけですっ!」

何でもなくないような気がするんだけど・・・。っていうかビクトールは大丈夫なの・・・?

でもミオはそう思っただけで、無理に何があるかは追求しようとはしなかった。

ビクトールと同じ目に遭いたくなかったからだ。

半分不信に思いながらも、シトに連れられてただ後をついて行く。

ビクトールは瀕死状態だったが、そのうち誰かが見つけて介護してくれるだろう。

そうして瀕死状態の熊を置き去りにしたまま、二人はその場を後にした。

 

 

「ここも・・・?」

次にシトに連れて来られたのは、広間だった。

ミオが言ったように、ここもさっき同様色とりどりの飾り付けが施されている。

ただ違うのは、ここにはミオの知ってる人がたくさんいる、という事だけ。みんな忙しそうにうろうろしている。

「みんなあんなに忙しそうにして・・・・。僕も手伝おっか・・・?」

「ミオさんはいいんです。・・・あ、オレちょっと手伝って来るんで、オレの部屋かミオさんの部屋で待ってて下さい」

「え?ちょっ・・・シト〜?!」

シトまでどっか行っちゃった・・・。っていうかホントに手伝わなくていいの・・・?

そう思ってももう後の祭り。シトはすでに姿すら見えないし、今更手伝いに行っても邪魔者になるだけだろう。

言われた通り、部屋に行こう。

そう思い直してミオはいつまで経っても見慣れない廊下を歩いて行った。

 

 

「う〜ん・・・」

部屋に戻ったミオは、ずっとさっきの事を考え込んでいた。

今日って11月の、何日だったっけ・・・?でも11月ってお祭りみたいなのあった気はしないんだけど・・・?

ハロウィンは確か一日でしょ・・・?でも今日は一日じゃない・・・よね?

「う〜ん・・・」

――コンコン。

そこへ、ドアをノックする音が響いた。

シトが手伝いでも終わったんだろうな〜、と思いながらミオはドアを開ける。するとそこには一人の少年が、立っていた。

「ルック!!久しぶりだね。どうしたの?」

ルックと呼ばれた少年は、少し照れくさそうに「・・・コレ」と言いながら何かを差し出した。

「え・・・?何?」

「何って・・・いいから受け取りなよ」

「でも・・・僕ルックに物もらう理由なんてないのに・・・?」

「君ってやっぱりバカなんだね。今日が何の日か覚えてないの?」

それだけ言うとルックは、心底呆れたという表情になる。それでもミオはさっぱり何のことだか分からないのだ。

「分かんない・・・。ねぇ、今日って何があるの?」

「はぁっ。君がそこまでバカだと思わなかったな。とりあえず、これは渡しておくから。・・・今日が何の日か分かったら開けなよ。じゃあね」

そして無理やりミオに綺麗にラッピングされている箱を渡すと、ルックは早々にそこから去って行った。

「ねぇ!教えてくれないの〜?!」

そう叫んでももう彼からの返事は帰ってこなかった・・・。

「・・・ルックっていじわる・・・。教えてくれたっていいじゃん・・・」

そうぶつぶつとぐちりながら、ミオは再び部屋へと戻る。すると・・・。

――コンコン。

またドアをノックする音がした。

今度は誰なんだろう?今度こそ・・・シトなのかな・・・?

そう思いながらさっき閉めたばかりのドアを再び開ける。

「よぉ・・・」

そこにはブルーサンダーことフリックが、ルック同様、少し照れくさそうに立っていた。

「フリック!!どうしたの?!」

「イヤ・・・今日はお前の誕生日だろう?だからさ・・・」

「え・・・。たん・・・じょう、び・・・?僕の・・・?」

「何だよ・・・。お前、自分の誕生日も忘れてたワケ?」

ミオの反応を見たフリックは驚くというよりは呆れたという表情になる。

「うん・・・・。・・・ッ?!じゃあさっきルックが言ってたのも・・・・!!」

ミオはそう言うと、慌ててさっきルックからもらった箱に手をかける。

丁寧にラッピングを外していくと、そこには一枚のカードがはさまれてあった。

「誕生日・・・おめでとう・・・?――ルックってばガラじゃないことするね・・・」

ミオはそう口では言いながらも、表情はすごく嬉しそうだった。家族以外の人から祝われた事がミオには無かったのだ。

「先を越されちまったみたいだな・・・。ま、仕方ないか。ミオ・・・。誕生日おめでとう」

「あ・・・有難う。フリック・・・。覚えててくれるなんて・・・」

「好きなヤツの誕生日くらい、みんな覚えてるさ・・・」

「え?何・・・?」

「何でもないよ。・・・コレ・・・」

そう言いながらフリックは手にしていた箱を差し出す。それもルック同様、綺麗にラッピングされている物だった。

「悪いよ・・・そんなの・・・」

「何だよ、ルックからのは受け取っておいてオレからのは受け取らないのか?」

「そういうワケじゃないよ・・・。ルックからのだって後で返すつもりだし・・・」

「お前・・・それはやめとけ。せっかくの人の好意を無駄にする気か?」

「だって・・・」

「だってじゃねぇよ。いいから素直に受け取れ。な?」

「・・・うん・・・。有難う・・・」

俯きながらそう言うミオにフリックは

「そんな顔して・・・嬉しくないのか?」

と少し怒り気味に尋ねる。

「ッ?!そんな事ない!!すっごく嬉しいよ!!」

慌てて顔を上げ、ミオはフリックにそう返事を返した。にっこりと笑顔を浮かべて。

「そっか。なら良かった。じゃあとりあえず物は渡したし、ひとまずこれでオレは帰るぜ」

「うん。ね、フリック?」

「ん?」

「ホントに有難う・・・。すっごく嬉しかった・・・」

「そんなに喜んでくれるとこっちまで嬉しくなるよ。じゃあな」

にっこりと笑顔を浮かべながらフリックはその場を去って行った。

・・・・今日って僕の誕生日だったんだ・・・。全然覚えてなかったな〜・・・。

でも・・・こうして祝ってくれる人がいるなんて僕は幸せなんだよね。感謝しなきゃ・・・。

そう思いながらミオは再び部屋へと戻って行った。

 

 

――コンコン。

結構待っていたような気がするが、さっきから何分経ったのだろう。再びドアをノックする音がした。

「ミオさ〜ん!!」

立ち上がり、ドアを開けようとした時聞き慣れた声が外から聞こえた。

「シト・・・。お疲れ様。お手伝いはもう終わったの?」

「はい!長い間待たせちゃってごめんなさい!っていうか、オレの部屋にいるかと思って先にそっち行っちゃいましたよ〜?」

「あ、ごめんね?勝手に入ったら悪いかなって思って・・・」

「ミオさんなら全然オッケーですから!気にせずどんどん入っちゃって下さい!」

「・・・そう?」

「あッ!!こんな所で長話してる暇はないんです!ミオさん、行きましょう!」

「え?行くってどこに?!」

「着いたら分かります〜!」

シトはそれだけ言うとミオを無理やりどこかへと引っ張って行った。

 

「ここは・・・?」

シトに無理やり連れてこられたミオが一番最初に目にした光景は、さっき見た時よりもさらに飾り付けが施されている広間だった。

「ミオさん。お誕生日おめでとうございます!!」

「え・・・シト・・・?」

突然のシトの声にミオは正直驚きを隠せなかった。

「ミオさん、今日の事すっかり忘れてたでしょう?」

「うん。フリックに聞くまで忘れてた・・・。みんな覚えててくれたんだね。・・・・有難う」

「ミオさんの事ですから!ちゃあんと覚えてますよっ」

「シト・・・」

「さぁ、今日はお祝いの日です!!ミオさんも!ホラ、楽しんで下さいね!!その為にみんなをこき使って準備したんですからっ!」

「こき使って・・・?」

「な・・何でもないです!ぱあ〜っと行きましょう!!」

最後のシトの言葉にミオは少し不満を感じたが、そこはあえて無視することにした。

そう考えるとミオも、少しはシトやこの城のみんなに影響されてきているのだろう。

そして仲間全員を巻き込んでミオのバースデーパーティが、始まった・・・。

 

 

 

「ふぅ〜。お腹いっぱい、だね?」

「はい。・・・・ねぇミオさん?」

「ん?何?」

「今日・・・楽しかったですか?」

「うん。とっても楽しかったよ。ホントに有難う・・・。すごく嬉しい・・・」

「ミオさんにそんなに喜んでもらえたらオレたちも頑張ったかいがあったよ!」

「プレゼントまでもらっちゃったしね・・・」

そう言うミオの手の中には抱えきれない程のプレゼントがある。

ルックやフリックには先にもらったので部屋に置いてあるのでいいが、シーナやマイク、カミューそしてフッチなど他にもたくさんの人からもらった物は持ち帰るのも厳しいかもしれない。

それ程にミオがもらったプレゼントはすごい量なのだ。

「あ〜あ。ミオさんには一番にオレからのプレゼント受け取って欲しかったのにな。ルックなんかに一番取られるなんて!」

「ううん。僕はこのパーティをしてくれただけでホントに嬉しかったから・・・。僕にはこれが一番のプレゼントだよ」

「ミオさん・・・。でも・・・オレからのプレゼントもちゃんと受け取ってくれるよね?」

シトはそう言うとミオの返事を聞かずに半ば強引に唇を合わせた。

「Happy Birthday、ミオさんっ!!!」

ミオは顔を真っ赤にしながらも「有難う」と小声で呟いた・・・。

 

 

オマケvv

 

「ちゃんと普通のプレゼントもあるんですよ!ホラっ!」

「ホラってこれは・・・・」

「セーラー服でっす!」

「は?何でこんなの持ってるの・・・?」

「それは秘密です!」

「別にいいけど・・・僕は着ないから」

「が〜ん!!!着て下さいよぅ〜〜!せっかく買ったんですから!」

「ヤだ」

「ミオさんのバカ〜!」

「バカでもいいよ。何とでも言って。絶対に!着ないから」

「じゃあ・・・オレが着たら着てくれますか?」

「な・・・何でそうなるの?」

「聞いてるんです!どうなんですか?」

「う・・・(どうしよう・・・。でもシトも着るって言ってるし・・・)いい・・・かな・・・」

「やったあ!!じゃあミオさんはコレね!で、オレはこっち」

「分かったよ。じゃあ着ればいいんだね?でもシトも絶対だからね?!」

「は〜い!じゃあ着てきます〜」

「これ・・・着方分からないかも・・・」


数十分後・・・。


「ミオさ〜ん・・・着れました?」

「これで・・・いいのかな・・・」

「――ッ?!か・・・可愛いです!!」

「ちょ・・・!抱きつかないでよ!っていうかシトが着てるの何?!」

「何って学ランです。セーラー服にはつき物でしょ?」

「そんなの知らないよ!!シト・・・ズルイ!」

「だってオレその服を着るとは言ってないです!」

「ッ?!ズルいっ!!!」

「というワケで!いいですよね〜、ミオさん」

「ち、ちょっと!!!もー・・・シトのバカっ!!」

「オレからの三つ目の誕生日プレゼントです」

「そんなの嬉しくない〜〜〜っ!!!」

そして――暗転・・・でございます・・・。

 

 

 


名前を変えられても、可愛らしいです!!

と言う訳で、新たに頂いて来て☆きゃvな感じでしたvvv(鼻血)

ら〜ぶりぃ〜〜☆やはり、基本はセーラー服でしょうか?

最終的には花嫁ドレスで!

何はともあれ、ありがとうございました〜〜!