彼と彼と彼の事情〜告白編〜
「スキだ。(多分)」
「はぁ?」
ロイの自室のロイのベッドの上に、だらんと転がる(腐っても)王子に向かって言った言葉と、返ってきた言葉がそれだ。
ミアキスに「恋じゃないですか?」と言われ、色々考えに考えた結果、ロイは直球勝負に出ていた。
…というか、あまりにショックが大きく、2、3日寝ずに考えた結果の暴挙だろう。
どことなくいつもより髪がボサボサになっている気がする。―――で、言われたカルム(裏)はと言うと、(他人のベッドだからか堂々とその上で食べていた)薄切りのイモフライを摘むその手を止め、パキリと残りを噛み砕き、
「オレのどこに隙があんだってぇええええ!?(怒)」
「違ぇーーーーーーーーー!!;」
間。
危うく乱闘になりかけたが、ロイの否定の言葉に数分で暴行…騒動は終わった。
「あー?じゃあ何だ、この××。」
ぷんすかとそう言うカルムの態度は、多少機嫌が悪そうだったが、口から出る罵声程は悪くはないものだ。
その態度に押されるように、ロイはもう一度挑戦する覚悟を決めた。「だ、だだだだから、好きなんだ、アンタが。」
「………誰が?」
「オレが;」
「………誰を?」
「アンタを;」
「………。」言っている中、ロイは本当にこの人のシーツの上に菓子を撒き散らし、くだくだしたりする凶暴な生き物が好きなのかと、自問自答を繰り返している。
「……………?;」
ふさふさした銀色の睫毛を瞬かせ、珍しくもカルム(裏)は小首を傾げて少し考えた。
そして、口を開く。「…もう1回。ワンモワ。」
「――――っだぁーー!!(怒)」怒りやすく冷めやすいロイは、そんな反応に髪を逆立て激した。
「だから!――こうだってんだよ!」
「うぷっ」ロイはカルムの前まで近付くと、その銀色の頭を鷲掴んで引き寄せた。
―――。
実力行使。
まさにそれだ。…しかし。
(――――――――しょっぺぇえぇっ…!;)
両手でカルムの頭をホールドして、相手の口の中に舌を突っ込むと…イモのフライに塩がかかっていたのか、妙にスパイシーな味がした。
「………!」
「!」ぷちゅっと漏れた音に、カルムが我に返ったのか、ロイの手に身じろいだ気配が伝わった。
抵抗があるものと思い、掴んでいる手にも更に力が入るが―――…カルムは何を思ったか、逆にロイの頭も掴み返してグッと顔を寄せた。「!?;」
何事かとロイが目を開いて、至近距離にある相手の瞳を見てみれば…その目は闘争に燃えていた。
「っ…!」
「むっ…!」―――――男と男の意地をかけた戦い…!
趣旨が変わっていた。
「んんんんんっ…」
ちゅっちゅぅ。
「んくっ…」
ぷちゅ、
「んむっ」
ちゅ、く
「むっ、んっ、ぷっ…」
ぴちゃっ…
耳から腰に響くような水音が延々続いた後―――…
「っ…は、はっ…ま、負けたっ……!」
「はっ、はぁっ…オレの、勝ちだーーっ!」
床に手をついて赤くなって倒れたロイ(敗者)と、
床に座りながらもガッツポーズをとるカルム(勝者)の姿がそこにはあった。
色々ダメな光景だった…。
(意地で勝ったカルム王子。
でも両者の経験値は変わらなさそうな為、技値で勝利…?>笑)