『観用少年(プランツドール)』
一日3回のミルクと砂糖菓子、
それにたっぷりの愛情が人形(プランツ)には必要です―――
ふんわりと光沢を放つ、茶色の短い髪。
キラキラと輝く瞳は海の煌めきを宿している。
無表情にも映るけれども、愛らしい顔立ちは主人だけに最高の笑顔を見せる(…筈である、購入時以外の笑顔は未だ見れていない。)のだ。
「………」
コレが巷で貴族の遊びと呼ばれる『少年人形(プランツドール)』だ。
いや元々普通の物は、『少女人形』なのだが今テッドの目の前にあるのは『少年人形』だったのだ。
ついつい衝動的に買ってしまったが、この『人形』をどう扱っていいものか…テッドには持て余し気味だった。
チラッと横を見てみれば、『人形』は無表情ながらも機嫌良さそうに首を傾けた。
「?」
「……………」
―――可愛い。
…自分のダメっぷりを呪いたくなるテッドだ。
(あ…;そう言えばコイツ、名前何て言うんだ?)
そして肝心な事すらわかっていなかった。
「名前…ですか? それでしたら、お客様のお好きな名前をつけて下さったら結構ですよ?」
「そうなのか?」
出された茶を飲みつつ、店主を見る。まだ2度しか来た事のない店内は、独特の様式で何だか落ち着かない気分になるが、そんな気分も脇にくっついたほんのり温かな体温が和らげてくれる。
「それにしても…1日でよく懐いておりますねぇ」
「そう見えるか?…殆ど笑ってもないのに。」
「ええ、それはもう。笑う笑わない辺りは『少年』の性格にもよりますし…まあ、見ていればわかりますよ」
「ふーん…? 、そんなに性格に違いがあるのか?」
ふと疑問に思い、テッドは問い掛けてみる。
「そうですね、何しろ名人達の手にかかった少女達はそれぞれに特色が出るものですし…まあ、種類で言いますと『気難し屋』と呼ばれる『少女』などは、それなりに他の『少女』達とは一味違った性格をしておりますよ。我が儘を言う『少女』を好むお客様も多い事ですし…」
「へぇ…」
わざわざそんな性格を選ぶ奴の気がしれない…!
「この『少年』も少しその要素があるようですね、まあ本来の特色とは違った様子ですが。」
「……………」
―――――物好きなのはオレなのか!!;
「……………;」
気を取り直すように茶を一気に飲み干そうとカップに口を付けると、間近で海色の瞳が興味深そうにじぃっと自分を見つめているのに気付いた。
「飲むか?」
「…(こくり)」
「お客様、」
頷いて茶を受け取ろうとした『人形』の口を、むぎゅりっと手で押さえ、にっこりと店の主人は微笑んだ。
「『人形』にミルク以外の飲み物は与えてはいけませんと、最初に注意致しましたよねぇ…?」
にぃっこり
「わ、悪い…;」
店主の笑っているのに笑っていない迫力に負け、テッドは「そうだったか…?;」と呟きながら自分の手元からカップを遠ざけた。
その時、ほんの少しだけ『人形』が残念そうな表情を見せたのが、何故か印象に残っていた。
多少(精神的に)疲れつつも、家に帰り鍋でミルクを温める。
そんなテッドの背中を、『人形』はじぃっと見つめているが特に不快な感じはしなかった。…ただ、妙に落ち着かない気分にさせるだけで。
「…カイカ、」
「?」
湯呑みに入れた――家にはティーカップなどという装飾性に溢れた器などなかったのだ――ミルクを差し出しつつ、テッドは呟いた。
「お前の名前な、そう決めたから」
「…」
「…気に入らないのか?;」
ミルクを持ったまま見上げて来る『人形』は、何も言わず―――ただ、ふわりと微笑んだ。
「う…!;」
「?」
「……………いや、何でもない;」
そう言いながらも、心臓に悪い笑顔だとテッドは思った。
意味はないですが続けてみた。
…ええ、好きなんです…観●少女…
愛蔵版も出たので、つい。(買いたい…)
テド4は何かお約束展開の似合うCPだと主張したい…