1 遅刻寸前

 

「ギャーーー!!(泣)遅刻ですーー!!」

幻水学園(仮)…。
その通学路では、1人の少年が人をも車をも跳ね飛ばす勢いで走っていた。
時間はもう朝のSHRが始まる所で、それでもまだ少年…カナタは学校に辿り着けてい
なかった。

(ああッ!;もう間に合いません…!! 別に遅刻は全然いいんですけど…)

全然良くないが、まあ…そんな不真面目な態度でいるカナタにも、それでも走らなけ
ればいけない理由があった…

(そう…諦めちゃダメです…ッ!! 朝の…朝の日課を終えるまでは――――!!)

カナタは必死に、限界のスピードの更に限界を超え、駆け続ける…。

きーんこーん…かーんこーん…♪

「カイルさん!!おはようございます〜〜♪♪」
「カナタ!?;ここ3階!! じゃなくて…えっと??;(混乱)遅刻するから…!;」
「カイルさんと朝の挨拶が出来ないくらいなら遅刻でいいんです!!」
「………;」
「あ、鳴り終わった。遅刻だな;」

2 廊下でばったり

「あvカイルさんっ!」
「カナタ、」
「わ〜いv きぐーです〜♪ 運命の出会いっぽいですよねっ!」
「うん…(苦笑)」
「やっぱり僕とカイルさんは赤い糸で結ばれてるんですよ♪もうこれは一気に結婚まで進むべきですよ!」
「え?;」
「あ〜でも、やっぱりちょっと早い気もしますし、年齢的にもまだですから!今は婚約の方向でどうでしょうか!?婚約指輪は給料3ヶ月ってコトもありませんし!伝説のナットの指輪と!僕のカイルさんへの思いを示す僕は死にまっしぇ〜ん!で勘弁して下さいねっ☆ 大丈夫です!僕まだ今は身長小さいですけど!将来的には身長も伸び!(※無理です。)イイ漢になりますからお買得です!生活力もバッチリです!!包容力はと言われたらちょっと困りますけど…いえ!いややっぱあります!僕は包容力も生活力もあります!!手に職付けて独立や職人になれる男です!!やります!やり遂げます!!僕のカイルさんへの熱い思いを嘗めないで下さい!!カイルさんの為なら世界征服でも出来ます!空も飛んでみせます!!」
「あの…;カナタ、もう授業始まりそうなんだけど…;(困)」

3 水道管

「カイルさん…!ここは僕に任せて…!行って下さい!!」
「でもっ…!」
ドドドドド…と、止まる事のない水は、その勢いを止める事なく溢れ続けていた。
「いいんです!!僕は大丈夫です!!」
「―――すぐに、人を呼んで来るから」
1人が離れた事によって、余計に水は勢いを増して溢れ出す。
瞬間、カイルは躊躇い、離れかけた足を止める…。
「行って下さい!!」
「カナタ―――」

「…君達、何やってるのさ?」

「ルック!;」
「わーっ!;僕が壊して、水が止まらなくなっちゃったんです〜!!全然止まりませんーー(泣)」
破壊された水道管から、水が噴き出し…廊下は、洪水のように水浸しになっていた…。
破壊箇所を押さえ続けるカナタと、助けて!;と訴えるカイル…。

元栓が止められ、救出されるまでまだ後5分…。

4 消しゴム貸して?

あ…
消しゴム忘れた…;

授業中にノートを取っていると、昨夜消しゴムを宿題をした時に、家に置いて来てしまった事に気付いた。
(どうしようかな…)
カイルは、少し悩んだ。
黒板に書かれていた文章を、間違って1行飛ばして書き取ってしまっていたのだ。
これでは、消して書き直すしかない。
カイルは授業中に話し掛け、迷惑をかけてしまう事を迷いながら、前の席のテッドに消しゴムを借りようとした。
が、その時。
「カイルさんカイルさん、僕の消しゴム半分あげます!(小声)」
横の席からにゅっと、割りたての消しゴムを持ったカナタの手が伸びて来た。
「え?いいの…割っちゃって…(小声)」
「カイルさんの為なら全然いいですよ!!(小声)」
「ありがとう…カナタ…――――カナタ?;」
あれ?;とカイルは首を傾げた。
………よく、考えてみる。
カナタは、確か…というか、確実に学年が違っているはずだ。
「Σカナタ!?;授業は!?」
「カイルさんと同じ授業に出たくて!!」
「自分の授業に出ないと…それに、隣の席にいたシーナは!?;」
「ちょっとアレコレな画策の末に!体育倉庫に行ってもらいました!!」

(結果)
…授業中に騒いだ為、2人して立たされました。

5 ランチタイム (主坊+テッド+4主?)

「今日は何となくのり巻き弁当です〜♪」
和風。
「カイルさんは何ですか〜v」
「サンドイッチだけど…」
洋風。
「取り替えっこしましょうっ!」
「うん、いいよ…」
「やったですー♪(ふふふ!ちゃんとさりげにリサーチして弁当の内容被んないようにしてますからね!取り替えっこプリーズ作戦はバッチリです☆)
 あ、テッドさんもカイルさんと同じお弁当なんですね…(次、ドッキリ☆同じ弁当 で運命を感じさせる!作戦がダメになりました…)」
「グレミオさんに作ってもらってるからな〜」
洋風。
「カイカさんは…」
「まんじゅう。」
中華?
「いや、弁当じゃないだろそれ;」
「でも和洋中は揃いました。(もぐもぐ)」
「栄養が…;」
「…(もぐもぐ)」←気にしてない。

6 放送

「あのねっカイルさん!」
朝、SHRが始まる前に、ナナミが珍しく1人でカイルの元に顔を出していた。
いつになく笑顔の少女につられて、思わずカイルも微笑んでしまう程だ。
――――次の爆弾発言を聞くまでは、
「カナタが昨日何か本読んでてね! 今日何かするんだって! きっと素敵な事があ
るから期待してて下さいっ♪」
「え?;」
カイルは凍り付いた。
しかも、その途端…

ピンポンパンポーン…♪

『3年×組カイルさん! 今度の日曜日デートに行きませんか!?』

「Σ!!!!?;(///)」
『直接お話出来そうになかったので、こんな形で失礼します!!』
(いや、直接話に来てッ!!;)

放送からのデートの申し込みに、カイルは硬直してしまい―――…校内中に愛の告白は響き渡ったと言う………。

→読んだ本『ラブロマ』

 

7 いたずら

本日、話題の主になっているのは、学内で人気ランキングに軽々3位には入っている存在…カイルについてだった。
そして、どちらかというと…その話題は良い物ではない。
…そう、彼の首筋にある印についての――――

「………」
「………」
「テッド、そこ間違ってる」
「え?…あ〜ホントだ。 …なあ、カイル〜頼む!一生のお願い!もう写させてくれよ〜」
「え、宿題は自分で…〜〜いいよ;」
「サンキュー♪」
ほのぼのと、次の時間の宿題を2人でやっているカイルだったが、その姿を教室の入り口から別のクラスや学年からやって来た生徒らが覗き…そして何故か涙して帰ってゆく。
本人は全く気付いていないようだが、その周囲の者らは―――かなり、鬱陶しくてしょうがないので、本人に原因を告げる事にした。
「どっちが言う?」
「言うなら、自分で言うんだね。」
「…怒れる大魔人にさせるスイッチを、俺が押すのか…あーヤダヤダ。」
それでも、シーナは席を立った。
「なあカイル」
「何?」
「首にさ…アト見えてるぜ」
「え??」
分かっていないカイルに、シーナは手鏡を渡して見せた。
「―――キスマーク。」

「は?」

身に覚えがないカイルは更に首を傾げ、自分でもその痕というのを見てみた。
確かに、鏡に映るそこには紫色の小さなアザのような物が付いていた。
「………」
そして、カイルは何を思ったかそこを強く指で拭ってみると―――――

その色が消えた。

「…取れたけど?;」
「はぁ!?;」
「汚れか何かだったんじゃないか?」
「うん。そうかも」

 

オチが付いたかと思いきや…
ここは、何故かカイルのクラスが見える物陰…。

「1、2、3、4、5…よし。またカイルさんを狙う奴らが消えましたよー!僕の特
殊メイクキッスマーク!?作戦がうまく行きました!!」
「ほほvうまく行きましたわね♪ でも、どうしてメイクだったんですの?本当に付けたらよろしかったのに…」
「まだそこまで進んで…いやいや…; だって☆メイクだったらバレた時でも『いたずら』♪で済みますけど、ホントに付けたら、絶対撲殺されちゃいますからー♪」
「ふふ♪そういう訳ですの…残念ですわv」

特殊な豚さん好きな兄を持つ、上級生の女生徒とカナタが悪代官と越後屋的な会話を交わしていた…。

8 国民の休日

「連休よ〜♪」
「………」
「連休なのよー☆」
「………はあ…」
「連休ーー♪…カナタ??」
「はあ〜〜〜」
魂が抜ける程の溜息をカナタは付いていた。
「ど、どうかしたの!?悩みがあるならお姉ちゃんに言って!!」
「…連休が憎いんだーーーッッ!!(泣)」
そして、ナナミからかけられた声に、わっ!とカナタは机に顔を伏せて泣き出した。
「前までなら喜んでたはずなのにね…;」
「そうよそうよ!病気なの!?」
「だって!休みに入るとカイルさんに会えないから!」
「あ…そうよね〜;」
「もう休みなんてクソ食らえって気持ちに〜〜〜ッ!!ううう〜(泣)」
じめじめとした空気が流れる。
正直鬱陶しい。
「カナタ!元気出すのよ!!お姉ちゃん休みは嬉しいから協力出来ないけど!慰めるわっ!」
「うううう〜(泣)」

「カナタ…」

そんな時、ふいにカイルはひょっこりと、教室の入り口から顔を覗かせていた。
「カイルさん!?」
「あの…休みなんだけど、良かったら遊びに来る?」
「〜〜〜〜〜」
カイルからのお誘い…
珍しく、とてつもなく美味しいシチェーションであった…。
しかし、カナタは即座に返答はせず…1拍おいた後に、

「ビバッ☆国民の休日っ☆」

と、とてもいい顔で宣言した。
「変わり身早ッ!!;」
「でも、元気になって良かったわ〜♪」
「?;(苦笑)」

9 小テスト

1年×組○番 カナタ

(1)愛してその悪を知る
愛を知ってその愛の罪深さにドキドキ☆する。
(2)悪に強ければ善人にも強し
悪人でも善人でも容赦なく倒せる。
(3)魚心あれば水心
お主も悪よのぅ越後屋…。
(4)縁の下の舞い
何かうっとおしい感じ。
(5)贔屓の引き倒し
ひいきされたけど、実は下心があって最後に押し倒されたとか。

0点

10 祭

<××年度 ×月 ファイル>
祭企画アンケート実施(大学部 生徒会)
集計結果
美少女コンテスト(可決)


・美女装コンテスト!
寧ろカイルさんのが見たいだけ!優勝は決まってますけどねー!!(アンケートコ
メント)
・まんじゅう早食い大食い大会
・もう何もしない方が良いと思います…(アンケートコメント 他多数同意見)

11 授業中の手紙

カナタへv きょうもカイルさんといっしょに帰るの?
うん!そのつもり!!ラブラブ下校→v
きゃ〜v ラブラブねっ デートなの??
残ねんだけど、デートは今日はできないってカイルさんが…(泣)
えっ!?ひょ、ひょっとしてカイルさんうわきしてるとかなのっ!?
うわっ!?;…ナナミ〜(泣)えんぎ(漢字わかんなかった)でもない〜〜; 今日はお義父さんvが帰って来るから寄り道できないんだって
なんで『義父さん』なの?? カイルさんのお父さんってキビシーの??
気が早かったかな〜vv? そうじゃなくて、忙しい人らしくてめったに会えないらしいよーえらい人。
ふーんエライ人なのね〜
カナタっナナミとずっと手紙回してるから、さっきからシュウ先生が睨んでるよっ!!;
ヅラ先生なんて気にしないし。 というか、ジョウイも今まわしてるし…(笑)
ジョウイからなんて回ってきたのー? お姉ちゃんもまぜて〜!!
ヅラって…!!カナタずっとそう言うけど、どう見てもヅラじゃないよ!?
ロンゲは意外に生え際からくるし…―――そう言えば、ジョウイもずっと後ろに向けて髪縛ってて…(笑)
じゃあわたしが今度ジョウイにワカメ料理つくってあげるねっ それと、シュウ先生がヅラってうわさわたしも聞いたことあるわ!
ナナミにも回ってるのかい?; それと、うわさあったのか…
ナナミが見たいっていうから。 ていうか、↑その噂僕が流した。(笑)
カナタが流したの?なんで〜?? じゃあシュウ先生ハゲてないの??
なんでまたそんな事を…;
何かムカついて(笑) ほら、上の学年のアップルさんっていう人に、親戚だか何だかで、寒い時に教材持たせてる所見てさ〜ピキッって☆
カナタふぇみにすとだもんねっ! エライわ! でも結局シュウ先生ってハゲなの??
ハゲじゃないよ…ナナミ;
いや、ハゲだって。…ていうか、僕ヅラってうわさしか流してないけどさ。
お姉ちゃんきいたのは、頭のてっぺんがカッパみたいになってて、そのまわりに残った髪を10本くらい短いみつあみにしてて!その上からヅラを被ってるってうわさよ!
カナタッ!? そんなの流したのかい!?;
確か、てっぺんがヤバいからヅラを被ってるって話だけだったような…増えるな〜。予想通り。(笑)
じゃあヅラなの?
ヅラじゃないって、
ハゲかもしれない!
ハゲなの?
ハゲては―――

「「「あ。」」」

「……ほう…?(怒)」

没収&(結果)居残り。

 

12 下駄箱

「…なぁクルガン、何でカナタの奴、今日ずっとあそこに居んだ?」
「…何でも、(教師としての職務を果たすべく、先程尋ねてみた所)今付き合ってい
る人物から、ラブレターが届くのを待っているらしい。」
「……………付き合ってんだったら、ムリじゃねぇ?」

 

13 屋上から叫べ!

「…ルック、何か…教室の人数少ない気がするんだけど」
「ふん、下らない催しがあるらしいよ。」
「催し?」
「テレビが来るとか言ってたね」

1、2人しか人の残っていない教室の中での会話だ。

「何してるんだろ…?」
「さあね、」
首を傾げるカイルに、そこまでは知らないよとルックは無愛想に答える。
そこで会話は終わりかけた時、意外な所からその答えは告げられる事になった。

「オイ、カイルー」
「シーナ、」
「お前いいのか?カナタが今日の企画に出るらしいぜ!」
「は??」
何を言われているのかわからない。
「企画…って、今日は一体何があるの?;」
「なんだ、知らねえのか?
テレビの企画でさ、屋上で自分の言いたい主張を叫ぶ催しだよ。」
「………」
嫌な予感がする。
カイルは窓辺に近づき、窓を開けると――――…

「カイルさんーーーーーッ!! 学校!卒業したら! 僕と結婚して下さいーーーーッッ!!」

…拡声器もなしの見事な大音声と、割れんばかりの歓声が耳に届く事になった………。

14 居眠り

カイルさんの背中に、キラキラ輝く天使の羽根が生えていた。

『カイルさん!』
『カナタ?』
『か、カイルさんの背中に羽が生えてますよ!?ま、まさか―――』
『うん…実は…』
『ああっ!やっぱり!!そうだったんですね!!』

「カイルさんは天使だったんですねーーーーッッvvv!!だって綺麗過ぎますからーーー♪♪!!」

キキキキキィィ〜〜〜…
「〜〜〜カナタ…頼むから、居眠りするのは構わない…構わないからっ;その寝言だけは止めてくれッ…!!(泣)」
フリック先生が、力無く黒板の上にチョークでウェーブを描かせていた…。

「今日は〜天使ーと、昨日は確かいたずら子猫ちゃん♪だったわよね?? その前はセクシーうさぎさん?」
「ナナミ…;メモ取ってるのかい…;」
「えっとね、ジルさんが取ってて〜って言ってたから。」

(ああ…この寝言、カイルさんにバレたら、大変な事になるだろうな…;)
と、ジョウイは思った。(でもカナタは起きなかった。)

 

15 「ばいばい」

「カイルさん…―――『ばいばい』って言葉、寂しいですよね。」

下校、ちょうど帰り道が別れる場所で、カナタは言った。

「え?」
あまりに唐突な言葉に、僕は一瞬何を言われたのかわからなかったけれど…
よく考えると確かに寂しい言葉かもしれない、と思った。

バイバイ、はもう別れる言葉。
次に会えるかわからない…。

「………」

じゃあ何て言おう?
寂しくない言葉を欲しがっているなら…
「それじゃあ…」だと、まだ寂しい気がする。
じゃあ…
「またね、」
かな?
そう言ってあげようと思った。
「カナ…」
―――僕はそう言おうと思ったけれど…

「明日もまた会いたいって!僕に抱きついて泣き崩れて下さいー♪♪♪」

…言えないままに終わった。
なんで泣き崩れてなの?(汗)