観光編〜銀閣寺〜
「とりあえず、最初に銀閣寺向かいましょー!」
「…」
カナタが手を振り上げるのに合わせて、カイカも(無表情だが)おー!と手を上げた。
「大丈夫なのか…?;」
「……………(汗)」
今更ながら不安が過ぎるテッドとカイルだった。何せ、トラブルを引き起こすトラブルメーカーと、トラブルに巻き込まれやすいトラブルメーカーがいるのだ。
…それぞれの防波堤をしている2人には、様々な感慨があるだろう。
しかし、過ぎ去った刻は戻らず、なるようにしかならないのだ。
銀閣寺。
入ってすぐの所に作られた、背の高い生け垣の道は、短いながらも緑の迷路のようだった。
「凄いな…」
「うん…」
和の歴史に圧倒されるというか何と言うか…。正しく修学旅行生らしい感慨に耽っている。
カイカも見た事のない風景が珍しいのか、生け垣の下を覗き込んだりしており、割りと楽しんでいるようだ。(楽しみ方が妙だが)
しかし…。
「……………」
「……………」
「……………」
「……………カナタは?;」
いきなりいない。
不安が競り上がって来るのと同じタイミングで、カイカが黙って生け垣の中を指差した。
「かなた」
「ト●ロごっこですーー!!」
綺麗に掃かれている地面と生け垣の間から、にゅっとカナタの顔が出る。
「何でそんな所に入ってるの!!;」
「いや、何か入れそうだな〜って思ったら身体が勝手に入っちゃったんですよ♪」
「…?」
「カイカッ!(怒)オマエも入ろうとするなッッ!!;」
早く出て来て!というカイルの説得が成功し、何とか人に見られる前に少年を引きずり出せた。
池の向こうに立つ銀閣寺…。
「何て言うか〜―――地味ですね♪」
「カナタ…;」
「バチ当たるぞ…;」
思っていても口に出さないだろう事をハッキリ言うカナタだ。
確かに渋い建物だが、パッと見目立つ部分はないし、造形以外での見所は遠くからの眺めくらいだったりする。
「…ハチ」
「砂山を見ろ!;」
カイカはカイカで、綺麗に形作られた砂山――ではなく、そこで巣作りに励むハチを見ているし…で、あまり銀閣寺の観光になっていなかった。
しかし、それでも入場料を払ったのだからと中を一周する事にすると…
「マムシ注意。」
「マムシが出るのか…」
「山の中だから…」
「大丈夫です!マムシなんて出て来たら!この酒の中に漬け込んでやります!!」
………。
「…カナタ、何でお酒なんて持って来てるの?;」
「や、修学旅行の夜って言えば酒盛りと枕投げと告白大会ですから。つい。」
「?」
「良いから早く隠せッ!!;」
「…もう遅いぞ、お前ら…;」
「ははは、没収だな。そういうもんは、教師のいない所で出すべきだな」
…偶然同じ場所に来ていたフリックとビクトールに見つかり、酒は没収された。
注意だけで済んだのがもっけの幸いだろう。