喜怒哀楽

 

 

およそ一切の感情が欠けているように見える。

僕はじっとカイルさんを見つめながらそう思った。

 

「ねぇカイルさん、笑って下さい。」

「…?」

 

突飛な僕の申し出に、カイルさんは多少戸惑った様子だったが、困ったように少し微笑してくれた。

 

口元を軽く上げ、目尻を少し柔らかくした状態。

確かに笑っていた。

機械的に、

 

「ありがとうですーv」

「??」

 

その事を、自分では不自然と思っていないらしい。

凍り付いたような無表情だと言うのに、

 

 

カイルさんはどこかに感情を忘れて来ていた。

おそらくは3年前、

感情があるからこそ傷つき、苦しんだから。

だから全てを置いて来てしまったのだろう。

―――――もう疲れてしまっていたのかも知れない。

傷つく事、苦しむ事…

 

だからといって、僕がそれを取り戻させる事など、できる訳がない

 

僕も似たような物、

生まれつきの無感動、無気力

惰性で全てを見つめていた

 

でも貴方を好きなった。

だから貴方を見ている。

僕と同じ貴方を

僕と違う貴方を

 

「ねぇ、カイルさん。もう一回笑って下さいv」

「?」

 

END