ずっしりと手に減り込んでくる重さが憎い。

「………」

バケツの中に入った水が、時間が立つごとに重さを増してくるような気がするのは気のせいだろうか?

いや、断じてそう言う事はないだろう。

「くっ…(怒)なんでこんな基本的な…」

子泣きジジイでも入っているのか!?と思わず叫ぶ少年が一人。

そう、新一年生、カナタはナゼダかお決まりのごとく教室の前、つまり廊下にバケツを持って立たされていたのだ。この寒い中御苦労な事だ。

頭に一つと、手に二つ。なみなみと注がれた水が、バケツの上を表面張力している。

この罰、実は授業中に原稿用紙100枚程をかけて、上級生であるカイルさんにラブレターを書こうとした所を発見された(隠してないのでそりゃばれるだろう)結果 の上での事だった。

「あのヅラハゲ社会教師次こそ病院送りにっ…!(怒)」

にっくき社会科教師の名前は、一部に同情の声が上がっている事なので明かさない事にしよう。

カナタが廊下に立たされて、もうかれこれ30分は経過した所である、そんな中ふいに上級生の列が通 過して来た。一年の教室とは階が違う為、珍しい事である。

「〜〜〜〜〜」

これはもしかしなくとも、さらし物であろう。

気にしないとはいえ、気になるお年頃であるカナタは、心の中で『滅滅滅滅滅…』と呪いのように唱えてやり過ごそうとしたが…ふいに気になる声が耳に入る。

 

「あ、おいカイル。アレ、」

「え?」

 

確かにその時キラリと少年の瞳は輝いた。

「カイルさんーーーーーー!!」

「カナタ…」

「バケツ。バケツ、」

とーーーー!!と周りも見ずにかけよったカナタの頭から落ちたバケツを、カイルの隣にいた生徒(テッド)がキャッチする。

「カイルさんっこんな所で会うなんて寄寓ですね!!愛ですね!で、何してるんですかv?」

「カナタこそ…;」

「立たされボウズやってます!でも、主坊です!」

訳のわからない事を言わないでほしい。

で、カイルらはと言うと、ちょうど理科の実験か何かで移動している所らしい。

 

「僕もお供しますね〜♪どうせ立たされてるんですから、どこで立ってても同じですし〜v」

「それはちょっと…」

「いいんじゃないのか〜カイル?一人ぐらい増えててもばれないだろうしな、(笑)」

「先輩話せますねー☆」

「………(汗)」

困り顔のカイルだ。親友もこの後輩も言い出したら聞かないと言う事を百も承知なのだろう。

「お礼にバケツを振り回しても水が溢れないと言う芸を…」

「表面張力してるのは無理だからっ!!;」

「わははははは!」

どういう訳だか、そういう訳で、退場してしまった一同…。

 

 

…授業終了後に不幸なのは、社会科の教師だけ………

 

END