―――――僕が、………したら、貴方は記憶を取り戻します、

そして――――…

 

 

 

 

五日目。

さすがに、こう長く記憶を失ったままの状態が続くと、周囲のメンバーからも不安が沸く。

「なんか方法はないのか?」

「あははvないですね〜何せ僕自身も眠りこけて忘れたんですから!」

「最初から催眠術なんてするなよっ!!;」

背中にピットリとカイルをくっつけたカナタは、最近の日課になっているカイルとの散歩の真っ最中だったりする。

…そんな呑気なリーダーの姿を見て、多少のショックを与えても何らかの解決の糸口を求めようと周りがし始めても、おかしな事ではなかった。

 

 

 

「―――――――――――ッ…」

 

ガタンッ!と大きな音が辺りに響き、少しカイルから目を離していたカナタは、慌ててその音の元へと走る。

そして見た物は、倒れたカイルの姿と、立ちすくんでいたフリックらの姿だった。

「リーダー…」

「何したんですか?…ちなみに、答えによっては死ぬ方がマシな拷問に合わせてから、一生涯生き地獄を味合わせますからね、」

「落ち着けカナタ、」

既に締め上げられているフリックを見兼ねて、ビクトールが口を挟む。

それを横目で見遣ると、あっさりフリックを床に投げ捨て、そんな行動がなかったのごとく、優しくカイルを抱き起こす。

「…何したんですか?」

もう一度同じ質問。

今度は本気の視線だ。

「絵を見せたんだよ、」

「絵?」

「…カイルの部屋に飾ってあるやつだ」

「…」

 

親友の、写真。

忘れた中で、一番忘れ難い想い出…。

 

「お前もこのままでいいとは、本当は思ってないんだろ?」

「………」

「カナタ…」

 

 

 

 

 

 

 

「カイルさん…」

「?」

もう落ち着いた様子で、カイルはベットに寝たまま幼い笑みを浮かべている。

その表情に少し嬉しいような、悲しいような気持ちになりながらも、視線を合わせる為に座り込んだ。

一旦人払いをし、この場には二人きり。

今度は自分が最後の選択をする番、

「…忘れたかったんですよね、それとも―――――…自分自身が嫌だったんですか?」

「?」

何もわからずに微笑んでいる姿は、何の苦悩も抱いていない。

 

このままでもよかった…

でもそれは、閉じこもった殻が壊れるまでの話、必ず入ると思っていた亀裂が、思っていたよりも早く入ってしまったから…

 

これで、終わり、

 

「―――――――もう一度聞きます、カイルさん本当に、」

「………」

―――――僕が、もう一度同じ質問をしたら…

「忘れたい嫌な思いでありますか?嫌な想い出でも忘れたいんですか?」

そして――――…

もう一度貴方に選択を、

「………」

 

 

 

殻は、割れる。