おままごと

 

 

「そんな訳で、ここ暫くカイルさんは僕とラブラブだったんです!」

「………(汗)」

 

誰に聞いても「ああ…確かにべったりくっついてたな…ラブラブと言えない事も;二人でままごとしてた事もあったぞ?」というような答えを返され、カイルは少し嫌な汗を流していた。

 

「一体どうやって戻ったんだ?」

「愛の力ですね!―――まあ、それか時間切れで、」

「はっきり後者だろ、;」

「………(汗)」

記憶のなかった状態とはいえ、自分のしでかした(らしい)事は、さすがに恥ずかしくもある。

「まあなんにせよ、記憶戻って良かったですね!」

 

「――――――…」

一瞬、何かが凍り付くような感覚を覚えた。

心臓を鷲掴みに去れたような心地。

 

「お前は残念だろうがな…;」

「いや、もう満足満喫☆でしたからv」

「だから何してたんだ!?」

 

何か…何か忘れている?

 

「………」

思い出せずに、視線を地面に落とすカイルに、―――少年から向けられた視線は感情のこもらない物だった。

 

 

 

 

――――選択…

 

『僕は…』

『………』

――――選んだ物、

『……忘れ、たい…』

『そうですか、』

『全部を持っているのは辛いから…それだけを忘れるのには、大切な想い出だから…棄てたいのは全部…嫌な想い出は……全てを終わらせた僕自身…』

 

後悔はない、

けれど、辛い。

何を憎む事も出来ない…だから、憎む事が出来たのは、ただ自分自身

自分自身が<--->

形容し難い全ての想い、

 

『…………………わかりました、』

『………』

 

自分が選んだ物……そして――――

 

『でも、僕はカイルさんに忘れてほしくないんです、忘れられたくないんですよ、』

相手が選んだ物。

『だから、戻って下さいね、』

『!』

 

 

――――封じられた記憶。

封じられたのは、忘れたかった物…そう思った事実と会話…

 

 

 

 

 

 

「カイルさんvカイルさんv」

「?」

むぎゅっ!と抱き着きながら、いつものように話し掛ける。困ったような顔が可愛い。

「今の状態でもままごとしましょう!ちなみに僕が旦那さんで、カイルさんが奥さんです!子供は今の所無しの設定で!」

「………(汗)」

「カイルさんv好きですよ♪」

 

 

―――だから、もう少しこの茶番(おままごと)に付き合って下さい。

 

 

END