帰省

 

 

「ひぃ〜〜〜〜っ!!カイルさーーーんっ!!ごめんなさいーーーっ!帰っちゃイヤですぅ〜〜〜〜〜っっっ!!!!!」

今日も今日とて、城内に少年の悲痛な叫びが上がる…。

また、何かしら、カイルを起こらせるような事をしでかしたらしい。悪い事でしかカイルは起こらないのだから、これはもう、一方的にカナタが悪いのだろう。

しかし、それでも許してしまうのは、やはり愛としか言い様がない。

…が、やはり怒りは怒り。今日は常よりも怒り度が高かったのか、ビクトールらにカナタを城から出さないように言い、自分は実家(トラン)へと帰ってしまった…。

 

 

 

「………」

ぽかぽかと天気がよい。こんな日は散歩が一番だろう。

いつもの習慣になっている、堀の周りの魚や鳥に餌をやると言う事をし終え、カイルはただぼうっと水面 を見つめていた。水面では、可愛らしくも鴨が愛嬌を振りまいているが、今のカイルには少し微笑を返すのが精一杯だ。

「……………」

トランの町中で多く植えられているラベンダーの香がどこからか風に運ばれて漂って来る…。

その匂いを感じながら、カイルは目を閉じ、そして…思った。

 

する事がない。

 

「………(汗)」

まさか、こんなにもやる事がないとは、自分でも思っていなかったのだ。カナタといる間はいつもその騒動に巻き込まれ、その対処に追われているからだろうが…

カナタと会う前には何をしていたのかと考えてみるが――――…

「―――――…」

何もしていなかった、と言うのが答えだった。

…そう考えると――――

…次にカナタが来た時には、家に入れてもいいかも知れないと思ってしまう………。

 

 

 

 

 

 

 

しかし。

 

「ひーーーっ!!カイルさんごめんなさいですーーー!!僕が悪かったですーーー!!もうしませんからーーーっ!!にっくきライバルのムササビをどさくさまぎれに抹殺しようと!拷問ごっこと称してん煮えたぎった油につけようとするなんて事はーーーーーっ!!!!!」

「………(怒)」

 

許す許さないは、別問題。