タイムリミット

 

 

10、9、8、7、6…

タイムリミットはもうすぐそこ、

 

 

 

 

カチコチカチコチ…

非常にリズミカルな、規則的な音が響いている。

…しかし、今は聞きたくはない音だ。

「ふっ…;」

がっちりと足首にはめられた、硬質の合成金属の輪、その先に付けられた時計のような機械…。

…どう考えてもそれは、時限爆弾だろう。

「…カイルさーーーーんっ!!(泣)」

現在カナタは、足首に爆弾を付けられたまま、部屋に閉じ込められていた。

 

事の起こりは数十分前、カナタ本人の引き起こした事件だった。

 

「アダリーさん出来ましたか〜?」

「きっちり完成したわい!」

「………(汗)」

開発室とプレートのかかった部屋、アダリーの研究室である。

で何が出来たのかと言うと…

「カナタこれ…(汗)」

「時限爆弾ですvむちゃくちゃ設計苦労したんですよ〜♪一度発動したら、もう僕にも解体出来ないように頑張ったんです!この辺りに水銀仕込んでみたり〜♪ちなみに火薬は『また』クライブさんからパチクリました〜☆」

「わしとしては、この辺りの回路がややこしかったぞい!」

「………(汗)」

わやわやと楽しそうに発明談義に花を咲かせる2人に、カイルはたじたじだ。…しかし、ふいにその時限爆弾に足輪のような部分が付けられているのが目に入った。

「あの…これ(汗)」

「これか?」

ぷるぷると鎖と輪を指差すカイルに、アダリーはあっさりとそれを手にとる。

「これはこうして足首に付けてな、」

「そうです!これはオートロック式で、何をどうしようと一度閉めたら離れない仕組みになっていて、鎖も爆弾のスイッチを入れてしまってからでは振動で爆発するようになってて切れないんです!」

「で、スイッチはこれを押してじゃな、」

「後は30分後に爆発するという――――――…ってあーーーーーーっっ!!;」

カチコチカチコチ…

バッチリと時限爆弾、死ぬ真際まで拷問しちゃうゾ☆1号君は作動していた。

「カ、カナタ、落ち着いて…(汗)」

「どーすんですかーっっ!!(泣)スイッチ入れちゃってーーーーっ!!(怒)」

「むっ老人に暴力はいかんぞい、爆弾が繋がれたくらいでなんじゃ。それにそれは試作品じゃから、爆発しても足首が吹っ飛ぶくらいじゃ!―――むっ…繋ぐ、繋ぐ…」

「充分ヤバいですよーっ!!(泣怒)」

ガックンガックンとアダリーを振り揺さぶるカナタ…。他人に使おうとしてはいても、いざ自分の上に火の粉が降り掛かるとなると、さすがに嫌な物らしい…。しかし、アダリーの方はその揺れに動じず、

「閃いた―――――!!!!!こうしちゃおられん!」

「あ”ーーーー!!(汗)アダリーさんッ!?」

閃きを覚えた老人は、あっさりとどこかへととび出して行った…。

残されたカナタは、振動を与えると爆発する装置の為に、身動き取れずに空しく中に手を彷徨わせていた。これが科学をなめた少年の最後かも知れない………完。

「…完じゃないですよ(怒)」

「カナタ…(汗)」

さすがに心配そうな表情のカイルだ。

「カイルさんっ…お願いがあります(泣)」

「何?」

「工具とって下さい…(泣)それとアダリーさんを探して来て下さい、…もしかしたら何か細工をしてたりとかなんかで、解除出来るかも知れませんから…(汗)」

「わかった、」

どれくらい可能性が低いのかは、その声と顔色を見たらわかるだろう。しかし、それでも何かをやらなければ何も始まらない。

「…すぐ、戻って来るから、」

「カイルさんっラブパワーですっ!だから(?)生き延びてみせます!!足首が吹っ飛んでもっ!」

「………(汗)」

うん、と言ってもいい物か悩むカイルだった。「せめて別れのキッスを〜〜っ!」と叫んでいるカナタを放って、カイルはアダリーを探しに走った。

 

…で、現在。

 

「ううっ…;生きるか死ぬか…デッドオアアライブ…」

爆弾の蓋を開けて、せめて残り時間は見えるようになったが、そこまでだった。自分の使えるだけの思考能力を使って作り出した設計に太刀打ちするには、自分が今すぐそれ以上の思考能力を得て、それを越えなければならない。…しかし数十分やそこらで、そんな事ができるはずがない。回路と設計図が頭の中に入っている事が、せめてもの救いだ。

「なんか、爆弾をつけらえたバトロ●のキャラクターの気持ちがちょっとわかる気がします〜(泣)」

残り時間5分、既に現実逃避を始めている…。

「ミス●ルでバトルロワイヤルとか、ハリ●タでは見た事ありますケド、幻水でバト●ワやってるサイトさんってあるんでしょうかね〜…あったらどうって訳じゃないんですけど、」

やけくそだ。

「作者が昔、某宅にて、リクしてましたけど〜」

あれは楽しかったですー…と走馬灯。

残り4分。とりあえず、巻き込まれるメンバーが出ないようにと、ズリズリと這って、戸の鍵を閉める。

見事に振動を与えない動きだ。

 

外ではどんどん!とドアを叩き付ける音が、

「カナターッ!お姉ちゃんーーーッ!!ここを開けるのよーっ!!」

「危ないから来ちゃだめー」

「そんなのダメよーーーッ!!」

姉弟喧嘩が始まってしまうが、これは仕方がない事だと割り切るしかない。

残り3分。

カイルが戻って来た。

「カナタッ…アダリーさんどうしても見つからなくて…今、フリック達にも頼んで探してもらってるけど…」

「ええっ!カイルさんっ…じゃあッ…」

「………」

嫌な沈黙が満ちる。

「カイルさん…」

「うん…」

「足首飛んでも死ぬ訳じゃないですから、安心して下さいね、」

「…じゃあ、ドア、開けて…」

「危ないからダメです、」

本当は、致死量の火薬が入っているのかも知れない、

「………」

カイルは黙ったまま、ナナミに下がって、という合図を送る。

「カイルさん?」

「………」

ガコンッ!!

力のこもった棍の一撃で、戸は打ち砕かれた。これで中に入れる。

そして、素早く中に滑り込むと、カナタの元へと進む。

「カイルさん!?」

「…」

驚くカナタに、カイルは怒ったような表情で黙っていた。そしてしゃがみ込み、無言で抱き着く。

残り、1分。

「カイルさん…」

「………」

何も聞かないとばかりに、カイルは抱き着いた手に力を込める。…背に手が回され、きゅっと力強く抱き締められる。

「カイルさん、好きですよ…愛してます、」

「うん…………………僕も、」

「最後くらいちゃんと言葉にして下さいよ、」

「……愛してる…」

「ちゅうもv」

「…」

 

10…

9…

8…

7…

6…

5…

4…

3…

2…

1…

 

 

「カナタッ!!」

「遅かったか!?」

 

 

…。

 

 

1…

2…

3…

4…

 

「………」

「………」

「………」

「………あれ?;」

時間をオーバーしても、何の衝撃も起こらない。

さすがに訝しく思ったカナタは、そ〜っとドライバーを使って、火薬の入っている部分を開けてみる…

「…………………………火薬、入ってません…」

 

 

 

「…そう何度も盗られてたまるか、」

そう呟いたクライブの手には、信管の取り付けられる前に奪い返した、火薬の入った袋があった。

 

 

…。

その後、2、3日…カイルはまともにカナタの顔が見れずに、逃げ隠れしていたそうだ…(恥ずかしくて)

そして、城内はカナタとカイルの意外な?愛の熱烈劇の話題で持ち切りだったと言う…。

―――ついでに、『死ぬ真際まで拷問しちゃうゾ☆』シリーズは製作打ち切りになった事だけをここに記す。

 

END